シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「ボイリング・ポイント/沸騰」(詳細なネタバレはなし) 無理を通せば、道理が引っ込むのである。

 

7月25日、なんばパークスシネマにて、

「ボイリング・ポイント/沸騰」を鑑賞。

 

f:id:otomiyashintaro:20220725230758j:image

 

日本公開は2022年。

製作国はイギリス。

 

クリスマス前の超絶忙しい時期に、

イギリスのとあるレストランで繰り広げられる、

様々なトラブルや、人間模様を描いた作品。

 

この映画の最大の売りは、何と言っても、

「全編完全ノーカットで撮影された」という事である。

 

見てもらえればわかるが、編集は一切されていないし、

CGを駆使した映像加工も全くなし。

 

一台のカメラのみが演者たちを追いかけ、

シームレスにドラマが繰り広げられる。

 

本当に力量のある俳優と、

スタッフたちでなければ成立しない、

「プロフェッショナルな映像作品」だと思うし、

あらためて「役者ってすげえな・・・」と思わせてくれる一本であった。

 

肝心の内容についてだが、

これについては、

ストーリーがどうこう、というよりも、

「ある職場での、1日の諸々を描写」という感じである。

 

最終的な結末にいたっての感想については、

賛否が分かれるだろう。

 

僕としても「え?これで終わり?」というか、

途中で巻き起こる様々なドタバタが、

どう帰結していくのか、

内容が進むにつれて興味津々だったので、

オチに関しては、ちょっと梯子を外されたというか、

若干の肩透かしを食らった感はある。

 

まあ、あんまり言うと、ぼんやりと中身がわかってしまうので、

詳しくは書けないが、

なんとも「ちゃぶ台返し」的な結末である(料理の映画だけに)。

 

作品内で巻き起こる様々なトラブルは、

飲食業で、それなりの期間勤めた経験のある人なら、

「あるある」と共感してしまうようなシチュエーションが満載だと思う。

 

僕も20歳前後の若い頃、アルバイトながら、

飲食業での経験が数年あるが、

まあ忙しい時は本当に大変だった。

 

殺人的忙しさに加えて、

従業員を困らせる注文をしてきたり、

偉そうな態度をしてくる客、

サボって働かない一部のスタッフ、

現場で切り盛りしている人間の大変さをわかっていないオーナー(もしくは店長)、

忙しい時に限って、いや、忙しい時だからこそやらかしてしまう調理ミス、

やらかしの責任追求でスタッフ同士のケンカ、それに伴う仲間割れ・・・、

僕も忙しい飲食店で経験するであろう、

大体のことは経験してきた。

 

多くのお客さんをかなりの時間待たせていて、

客とスタッフのイライラが店内に充満していた時に、

突如、「わあああ!!!!」と叫びながら

店を飛び出してやろうか?と思った事が、

2度3度ある(笑)。

 

店の種類や繁盛具合にもよるが、

飲食業ならではの、

あの「発狂してもおかしくない忙しさ」は、

もう2度と経験したくない。

 

ちなみに、これは余談で、

映画の中でそのような描写はないが、

他に「飲食店あるある」と言えば、

「男の店長、バイトの女の子に手を出しがち」

問題などもある(笑)。

 

今でも鮮明に覚えているのは、

ある時、僕が普段の上がり時間よりも、

早く上がれるようになった日があって、

「やったー、さっさと帰ろ(ウキウキ)」と、

颯爽と事務所に通じる階段を駆け上がり、

ドアをコンコンとノックして開けると、

そこには椅子に座った店長と、

店長のすぐ前で、

なぜか店長に向かってひざまづいている、

女の子のアルバイトの姿が目に飛び込んできたのである。

 

店長とバイトの子は、

2人とも妙な笑顔と、テンション高めの声で、

「あ、あ、あれ〜?!

今日、早上がり〜?」と、僕に聞いてきたわけだが、

よく見ると、店長のズボンは、ベルトが外されていた。

 

・・・まあ、これ以上は何も語らないでおこう(笑)。

 

果たして、あの光景は、

「これから」だったのか、

それとも「その後」だったのか、

今となってはもう分からないが(もうええやろ笑)、

飲食店では(別に飲食店に限った話ではないが)、そういう事もあるのだ。

 

だって人間だもの(笑)。

 

・・・話がかなり横道に逸れてしまったが、

僕はこの映画から、

「人生、あんまり忙しくし過ぎるなよ」

という事を、あらためて学んだ。

 

無理を通し続けたことのツケは、

必ず払わなければならないのである。

 

僕のこの映画に対する評価は、

100点満点で、69点。

 

俳優たちは素晴らしいし、

90分ノーカットという、

チャレンジングな撮影も大いに評価できるが

(ぶっちゃけ本音を言うと、編集ありの「普通の撮り方」でも良かったんじゃないか?と思ってたりする)、

僕の中では、ラストのあのオチも含め、

色々とモヤッとしたものが残ったので、

少々辛めの評価となった。

 

個人的には、

「後日談」的な続編を、ちょっと見てみたい。

 

あと、主人公のシェフ、いくらなんでも厨房離れすぎ(笑)。

あれはもう、途中から完全に店が回ってないと思う。

 

まあとにかく全編通して、かなり「ストレスフル」な作品である。

 

これから進路をどうしようか?

と悩んでいる学生などの若い人たちが、

この映画を見たら、

「飲食だけは絶対やめとこう」と思う子もいるかもしれないし、

進路に悩む学生諸君には、

見ておいて損はない作品、とも言えるかもしれない。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。