シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「ちょっと思い出しただけ」(核心部のネタバレなし) この映画を見ていたら、まさに自分のことを「ちょっと思い出した」。

 

6月15日、自宅で「ちょっと思い出しただけ」を鑑賞。

 

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2022年の日本映画。

 

あるタクシードライバーの女と、

元ダンサーの男の恋愛を振り返る物語。

 

コロナ禍の現在、

その時にはすでに別れている2人が、

過去にどのようなかたちで出会い、

どのような日々を過ごしたのかを、

時間を遡っていくかたちで描いた、

この作品。

 

派手な演出や、

いかにも「演技してます」というタイプの演技、

現実離れしたストーリー展開などを抑えて、

人間を描くことに注力した、といえる作風。

 

地味で、静かで、淡々としていて、

人によっては、どうしようもない退屈さを覚えるタイプの映画かもしれないが、

個人的には中々良かった。

 

僕は好きである。

 

主演の伊藤沙莉の名前は、

1年ほど前に、

彼女が、お笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介の妹である、

ということで初めて知り、

以前から名前だけは知っていたのだが、

この映画を見るまで、

彼女の動いている姿、話している姿を、僕は見たことがなかった。

 

なので、

今回初めて、伊藤沙莉という女優の演技を拝見したのだが、

僕が彼女に対して抱いた印象を

一言で言い表すと、

「めちゃいいな、この人」である。

 

まず、声にびっくりした。

 

「こんなにもハスキーなんや!」と。

 

何を隠そう、女性については、

僕は大のハスキーボイス好きなのである。

 

あくまで自分の感覚だが、

女性のハスキーボイスというものは、

そのサウンド自体に「色気が含まれている」ように感じられる。

 

なぜそのように感じるのか、

自分でも理由はよくわからないが、

とにかく、

ハスキーボイスの持ち主、というだけで、

僕にとってのお気に入りになってしまうくらい、

女性のハスキーボイスは、僕の心を捕らえるのだ。

 

ちなみに男性のハスキーボイスについては、

天龍源一郎のハスキーボイスだけは、

別の意味で、僕の心を鷲掴みにして離さない(どうでもいい情報でしたね。すみません)

 

もちろん、伊藤沙莉という女優の良さは、

声だけではない。

 

演技も素晴らしい。

 

この映画では、主演の2人が、

その絡みの中で、

「演技というより、素の喋り」っぽい

やり取りを時折挟んでくるのだが、

これが実にいい。

(この「素の喋り」の感じは、他の演者も見せる瞬間があって、これらもかなり良い感じである)

 

僕は基本的に「(演技)やってます」的な

演技を見せられるのが苦手な人間なのだが

(そういうのが全部ダメなわけではないけど)、

この映画における、

池松壮亮伊藤沙莉の「恋人の会話」と、

「恋人同士のわちゃわちゃしている(「イチャイチャ」とはまた違う)様子」においては、

所々、演技の中に挟まれる、

自然体に振る舞っているように感じられるやり取りが、

時に見ていて心地良い、とさえ感じるほどで、

これがとても良かった。

 

この2人を見ているうちに、

僕は、今までの人生の中で、

最も「濃いお付き合い」をしたと言える、

ある女性のことを思い出してしまった。

 

「あ〜、この感じ。

俺とあの子(元カノ)も、こんな感じの頃あったなあ。

なんか・・・懐かしいなあ」と、

思いながら見ていたのだが、

僕が何とも言えない気分になったのは、

その元カノと伊藤沙莉の顔が、

同系統の顔で、ちょっと似ているのである。

 

タバコを吸っていたのも共通しているし、

最終的に2人が辿っている道も、

僕のパターンと奇しくも一緒である。

ネタバレになるので詳しくは書けないが、

向こうはすでにアレで、

僕は今もコレである。

(なんのこっちゃわからん?

けど何となくわかるでしょ?笑

「すでに」と「今も」がヒントです)

 

こうなると、思い出しすぎて、若干キツい(笑)。

ちなみに、その元カノは、ハスキーボイスではない。

 

まあ、この映画で描かれているような、

「あの時期の、あの恋(もれなくホロ苦い)」みたいなものは、

それなりに年齢を重ねた大人なら、

大体みんな、一度は経験していると思うので、

共感を覚える人も少なくないのではなかろうか?

 

マイナスに感じた部分は、

この作品を全体的に好意的な目で見ていた僕でさえ、

途中、やはり退屈に感じる部分があったのと、

公園のベンチに座り続ける永瀬正敏の役柄は、

果たして本当に必要かな?と思ったこと。

 

特に土砂降りの雨のシーンは、

「何を見せたいんだ?」という感じであった。

 

この映画に対する僕の評価は、

100点満点で、74点。

 

ところで、

劇中に出てくる尾崎世界観のバンド、

クリープハイプの曲も、

僕はこの映画で初めて聴いたのだが、

これもとても良かった。

 

この映画は、

主演が伊藤沙莉ではなく、他の女優なら、

もしかすると、僕はもう少し評価を下げたかもしれない。

 

そう思ってしまうくらい、いい女優さんだ。

 

最後に、もう一度言いたい。

 

女性のハスキーボイスは、良い。

 

ということで(笑)、

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。