昨日は自宅で「ジーサンズ はじめての強盗」を鑑賞。
2017年公開のアメリカ映画。
この映画は、1979年に公開された
「お達者コメディ/シルバーギャング」(僕は未見)という映画のリメイクとのこと。
あらすじは、簡単に言うと、
長年勤めていた会社が買収され、
企業年金が支払われなくなった3人の老人が、
直接的であれ間接的であれ、
自分たち市民の生活も苦しめる銀行への怒りも相まって、
一念発起して銀行強盗にチャレンジする、という無茶苦茶な話である(笑)。
僕の目には、良くも悪くも「アメリカのコメディ映画」という感じで、
つまらなくもないが、
手を叩いて爆笑するような類のものでもなかった。
笑い的には「まあ、それなり」である。
割と高い世間的な評価に釣られて、
何気なしに見た一本だったが、
最終的に銀行強盗が成功して、
ジイさんたちが楽しい生活を手に入れる、という
このオチは正直どうなんだ?と思う。
途中まではコメディ調だが、
最終的には強盗失敗で、シリアスな雰囲気に移行して切ない終わり方をするのかな?
などと勘繰っていた僕が甘かった。
見事に金を盗むことに成功し、
その金で美味いモノを食い、
行きつけのダイニングのチップには札束を置いていき、
老人仲間たちにも、札束のぎっしり詰まった菓子折りをプレゼントしたりして、
実に楽しそうな結末。
これはありなのか?
いや、アカンでしょ(笑)。
完全なる犯罪肯定映画である。
下の太字の文は、
ウィキペディアに載っていた、
この映画の脚本を書いたセオドア・メルフィの言葉である。
「この現代において、
私は自分の心血を注いで書き上げた主人公たちが、最後に死ぬか投獄されてしまう映画なんて見たくないのです。
私は彼らが成功する姿を見たいのです。
今や誰もが銀行を憎んでいるのですから、銀行強盗をした主人公が幸せになった方が完璧な出来になると思います。
だからこそ、3人には立派に強盗をやり遂げさせる必要があるのです。
夕日の下で成功を喜んでもらう必要があります。」
・・・・冷静になって考えなくとも、
かなりメチャクチャな論理と主張である、
と僕は思うのだが、皆さんはどうだろうか?
いくら銀行を憎んでも、強盗はアカン、さすがに(笑)。
まあ、明るいノリの荒唐無稽なコメディ映画なので、
僕はこの作品が、青少年や一般庶民に悪影響を与えるとは到底思っていないし、
おそらく誰もこの作品をシリアスには捉えないだろう。
かつて「スカイリム」というロールプレイングゲームで、
何の罪もない善良な村人や町の住人を、
斧や剣で手当たり次第に殺しまくる鬼畜プレイに興じていた経験のある僕(皆さん、引かないでね)が、
「こんな犯罪肯定映画は許せない!」と、
偽善者ぶって正論をかざそうとも思わない。
それこそ「グランド・セフト・オート」シリーズなんて、
誤解を恐れずに言えば「犯罪を楽しむゲーム」なのだから、
こっちが与えそうな影響に比べたら、
この映画の描写なんて、全然かわいいものだろう。
僕としては、この作品は
「コンセプトとメッセージに全く賛同する事はない、クスッとなる箇所もある、そこそこのコメディ映画」という感じ。
100点満点で、49点。
この「潔い」とも言えるレベルの犯罪肯定ぶりに、
ウンザリしたり、怒ったりなどしていないが、
「まあ、このオチはないわな」と、
無表情でエンドロールを眺めていた。
警察に対するアリバイ工作の秘密が披露される一連のシーンは、それなりに面白いと思ったりもしたが、
普通に考えてみて「そんな、うまいこといくかいな」というツッコミが、やはり出てしまう。
と言っても、ただのコメディ映画だから、
そんな事も別に目くじらを立てずに、見たまんまを楽しみゃいい話なのだが、
やっぱり真面目な事を言うと、
債務不履行の通知を受け取った老人が、
(強盗をして金が入ったので)突如として借金を返す目処がついた時点で、
当局から怪しまれるに決まっているので、
いずれ絶対捕まると思うんだけどなあ・・・。
ま、もういいか、ツッコむのは。
という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。