シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(重要部のネタバレはなし)「THE BATMAN ーザ・バットマンー」 一本の映画として、とても丁寧に作り込まれていると思うが、なんせ3時間は長い。

 

おとといは、なんばパークスシネマにて

「THE BATMANザ・バットマンー」を鑑賞。

 

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2022年のアメリカ映画。

 

10月31日、ハロウィーンの夜。

ゴッサムシティ市長ドン・ミッチェルが、

自宅で何者かに殺害された。

 

遺体の頭部はテープでぐるぐる巻きにされ、

遺体には「バットマンへ」と書かれた

メッセージカードが添えられていた。

 

メッセージカードには犯人からの謎かけが書かれており、

暗号文も同封されていた。

 

捜査を進めると、市長が反社会的な集団と関わりを持っていた事実が判明する。

 

そして、その黒い関わりは、

市長だけではなく、

警察官や検事などの、本来、市民を守る側の公務員の大勢にも広がっていた。

 

市長を殺害した犯人の標的は、

このような「表向きは市民の味方のふりをしているが、裏では汚職を働いている公務員たち」であった。

 

しかし、それと同時に、犯行のたびに、

バットマンに対しても挑戦的なメッセージを送ってくるのである。

 

果たして、この知能犯の真の目的とは・・・

という、あらすじ。

 

僕は、バットマンシリーズは過去にそれほど多く見たことはなく、

しっかりと見たのは、

1989年公開の、マイケル・キートンが主演した「バットマン」と、

2008年公開の、クリスチャン・ベールが主演した「ダークナイト」だけである。

 

マイケル・キートン演じるバットマン↓)

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(「ダークナイト」でのクリスチャン・ベール↓)

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1989年の「バットマン」の公開は、

たしか僕が小学6年の頃だったが、

公開前にめちゃくちゃ期待していた割には、

実際に見ると「思ってたほど・・・かな」といった感想を抱いた記憶がある。

 

しかし、映画の内容よりも僕の記憶に残っているのは、

この1989年の「バットマン」は、

僕の両親と、僕のいとこの家族で見に行ったのだが、

上映していた「千日会館」という名の映画館が、めちゃくちゃ「小さかった」こと。

 

大阪の難波の「千日前」というアーケード通りにマクドナルドがあるのだが、

当時、その隣に「千日会館」という映画館があったのだ(今はもうない)。

 

大阪に在住経験があり、

難波に出かけたことのある経験がそれなりにある人なら、

「千日前のマクドナルド」と聞くと、すぐに

「ああ、あそこな」と、ピンとくると思う。

 

そのマクドナルドの隣に、

座席数が30席くらいしかない、

パッと見、

「俺の学校の視聴覚室より狭いんちゃうか?」と言える規模の映画館があったのである。

 

当時の僕は、映画鑑賞については、

「ハリウッド大作たるもの、デカいスクリーンと、迫力ある音響設備の整った劇場で見てなんぼ」という、

「こだわり」というか、思想めいたものを心に強く抱いていたので、

 

親が事前に買っておいた前売り券の券面に、

「当券で入場できる劇場」として指定されていた、この「千日会館」に初めて足を踏み入れた時、

多大なるショックを受けたものだ。

 

「・・・スクリーン、小っちゃ!!」

 

劇場内に入るなり、僕は思わず声を出してしまった。

 

母親も

「いや、なにここ・・・?!小っちゃ!」と、

驚嘆の声を上げていたものである。

 

僕は「なんで南街シネマ(懐かしい)とか、松竹の劇場ちゃうねん・・・」と、

心の中で呟きながらも、

幼少の頃から、いつも僕を映画に連れていってくれている親に対しての、

感謝と気遣いの気持ちもあるので、

 

「楽しみにしていたバットマンを、こんな『視聴覚室』で見なあかんのか・・・」

 

という溢れ出そうな本心も、

口には出さずにグッとこらえて、席に着いたのである。

 

そして、映画の内容については、

前述のとおり「うーん、そんなに・・・」だったのだが、

それ以上に、子供心にショックだったことがある。

 

それは、僕の隣に座っていた僕の親父が、

映画が始まって20分もしないうちに、座席で眠りこけていたことである。

 

上映開始後しばらくして、

何か右側で「スー・・・、スー・・・」という、

「空気が漏れているような音」がしている、

と感じた僕。

 

「まさか・・・」と横目で親父を見ると、

完全に寝ているのである(笑)。

 

これはショックだった(笑)。

 

子供というものは、

家族一緒に出かけたイベントの楽しさを、

家族全員で分かち合いたい生き物である。

 

家族一緒に映画を見に行ったら、

鑑賞後に「あそこはよかったね」とか、

「あそこはイマイチだったね」とか、

あれこれ感想を言い合って帰路に着くのも、

少年時代における僕の映画鑑賞の醍醐味の一つだったのだ。

 

しかし、親父は寝た。 

 

「おとん、この席、家の布団と思ってる?」

というレベルの寝息を立てながら。

 

自分史上、最も小さい映画館での鑑賞と、

親父の爆睡という、

二大ショック要素により、

僕のテンションはダダ下がり。

 

今となっては、もちろん何とも思っていないが(むしろ思い出すと、ちょっと微笑ましい)

当時は「え〜、この人寝てるし〜・・・」と、それなりのショックはあった。

 

映画が終わったあと、

「おとん、もう終わったで」と、

肩を軽く叩いて親父を起こした時には、

「1300円払って熟睡できてよかったな」と、僕ももう笑っていたが(笑)。

 

あの時の親父の、半ば照れたような苦笑いは忘れない。

 

まあ、当時44歳で、今の僕と同じくらいの年齢の、大人の親父にとっては、

「眠たくなるような映画」だったのかもしれない、あの「バットマン」は。

 

というわけで、

話は本題の「ザ・バットマン」に戻るが、

これがまさに「これ、人によっては爆睡ちゃうか?」と思わせる作品なのである。

 

まず長い。

 

上映時間は、3時間弱。

 

とにかく長い。

少なくとも僕は長く感じた。

 

けれど一方で、これは致し方ないのかな?という気もする。

 

冒頭からエンディングまで、

終始ダークでシリアスな雰囲気が貫かれたこの作品は、

バットマンの活躍を描いたヒーローもの」ではなく、

バットマンという存在を軸に展開されるサスペンス・ミステリー」と言えるものであり、

 

映画作品として、

とても丁寧に作り込まれている印象が随所に見て取れるので、

「この話を一本の映画にまとめたら、やはり3時間の長尺映画になってしまうか」と、

ある種、納得してしまう部分もあった。

 

僕個人の感想としては、

「長いなあ」と、時々チラッと思いつつも、

まあ全体としては、そこそこ楽しめたと言える。

 

ただし、他の映画とは一線を画すような目新しい魅力や感動は、

特にこの映画からは見つけられなかったので、

見終わってからの大きな感動というものもない。

 

尺に占めるアクションシーンの割合の少なさ加減も、

とにかく作り手としては、

今回は「サスペンス」「ミステリー」ないし

「スリラー」系のバットマンを撮りたかった、という意思が伝わってくる。

 

カーアクションシーンは、

それなりに緊張感を醸し出す、質の高いものであったとは思うし、

最後の敵との戦いのシーンも別に悪くはなかった(しかし犯人の正体が分かった時の「お前、誰や?」感は、なかなかのものがある)。

 

ただ、やはり強く思ったのは、しつこいようだがもう一度言わせてもらおう。

 

長い!

 

けど、なんだろうな?

「ドライブ・マイ・カー」も3時間あって、確かに長さは感じたが、

今回の「ザ・バットマン」ほど

「これ、長いなあ・・・いつ終わるんやろ」とは不思議と思わなかった。

 

(「ドライブ・マイ・カー」のレビューはこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2022/02/13/151853

 

あと、この1年以内に見た映画で、

「長い」と思ったのは、

「DUNE/デューン 砂の惑星」。

 

あれも3時間とまではいかないが(確か2時間30分くらい)、

けっこう長く感じた映画である。

 

(「DUNE/デューン 砂の惑星」のレビューはこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2021/10/26/210806

 

まあ、その時の体調とか、気分の問題も関係してくると思うので、

短い映画でも見ていて疲れるものは多数あるし、

長い映画だからといって、

「編集を上手いことして縮めたら、もっと面白くなるんじゃないか?」

といったことではないので、

「映画作品における最適な上映時間とは?」と問われたら、

これまた答えを出すのが難しい問題であると思う。

 

僕としては、この「THE BATMANザ・バットマンー」は、

一度見たらもういいかな。

 

僕の評価は100点満点で、69点。

 

製作者の熱意とこだわりを感じる、

という意味では、

割と好感を持てる作品ではあった。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。