(今回の記事は、映画未見の人で内容を知りたくない人にはおすすめしません)
昨日は、なんばパークスシネマにて、
「ドライブ・マイ・カー」を鑑賞。
今月、アカデミー賞の4部門にノミネートされたという事で、話題になったこの映画。
公開当時から興味はあったが、
昨日ようやく見ることになった。
原作は村上春樹。
原作の小説は、僕は未読。
少々ネタバレ気味に、物語の内容をざっくり言うと、
俳優でもあり舞台演出家でもある男(西島秀俊)が、
ある日、妻の不倫現場を目撃してしまうのだけれど、
見て見ぬふりをする感じでスルーし、
その後も妻に対しても何も言わず、
そうこうしてるうちに、妻はある日突然死ぬ。
奇しくも仕事で関わる事になるのだが・・・・
という話。
上映時間は、ほぼ3時間である。
ほとんど読んだ事がない村上春樹氏の小説(僕が読んだのは「象の消滅」くらい。正確には「読んだ」わけではなく、ラジオの朗読を聴いた)が元になっている、
派手な演出もなかろう、
いわゆる「文学的映画」を、
僕は最後まで寝ずに見終える事ができるだろうか?と、
上映前からいささか心配であった。
結論から言うと、これが意外と見れた。
たしかに長いとは感じたし、
終始淡々とした雰囲気なのだが、
なんだか見てしまう。
この映画に出演している多くの俳優が、
いかにも「演技してます」といった演技を極力抑えたかのような、
かと言って「自然」とも言いがたい、
ある面で朴訥とした感じの、
時には棒読みとさえ言えるような、
けれどやっぱり「演技と言える」ような、
どことなく浮遊感が漂うかのようなセリフ回しで会話していくのだが、
この感じ、この雰囲気は、誤解を恐れずに言えば、
僕が最近見た映画で言うと「ノマドランド」を思い起こさせるものがあった(車がキーワードになっているのも、そう思わせた要因かもしれない)。
ノマドランドも「なんだこれ。どこで盛り上がるんだ?」と思いつつも、
なんだか不思議と見てしまう一本であったが、
この映画もその類である。
でも、
僕の知人、友人などが、この「ドライブ・マイ・カー」を見てみようかな?と、
僕に言ってきたとしたら、僕は決してオススメはしないと思う。
人を選ぶ作品であるし、
「俺は、なんか知らんけど最後まで見れたよ。俺はね」という感想のみを、知人なり友人に伝えると思う。
ちなみに、もしその人たちが、
子供や親と共に暮らしていて、一緒にこの映画を見ようと考えている場合、
あるいは、子供や親と一緒に映画館に見に行こうと考えている場合は、それだけは「やめとけ」と言いたい。
序盤で露骨なセックスシーンがあるし、
冒頭から、西島秀俊の妻役の人が「オナニー 」と言うフレーズを口走るから。
家族の誰かと一緒に見るなら、せめて奥さんとだけにしろ、と。
まあ、そんな部分も含めて、人を選ぶ一本であると思う。
アカデミー賞は・・・・どうだろう?
作品賞はさすがにないかな・・・とは思っているが、何が起こるかわからない。
韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」の前例があるから。
ちなみに僕は、この「パラサイト」は、ノミネートされたと知った時、アカデミー作品賞を獲ると思った(自慢してるわけじゃございません。悪しからず)。
僕としては、「ドライブ・マイ・カー」は、「良かった」という感想よりも、
「3時間、見れたなあ。いけたなあ」という感想の方が強い。
けど、それって映画の感想としては、どうなんだ?という感じだが(笑)。
僕の評価は100点満点で、65点といったところか。
最後の「あとはお客様のご想像にお任せします」的な展開は、正直、僕にはどう解釈したものか、よくわからない。
今回の記事は、すでに見た人向けに書かせていただくが、
あれは結局、西島秀俊とドライバーは結婚したのか?
車だけ譲り受けたのか?
なぜ韓国でもあの車に乗っているのか?
あの犬は、なぜあの車に一緒にいる?
そもそも韓国で生活している?何があった?
原作の結末はどうなっているんだろう?
原作を読んだら、あの部分の説明はあるのだろうか?
あれは映画用の脚色なのか?
だとしても、ちょっと展開が飛び過ぎていないだろうか?
最後に関しては、
僕のうがった見方かもしれないが、
いかにも「このヨーロッパ映画らしい(客の想像に委ねる)終わり方、採用してみました」感があざとく出ている感じがして、
ちょっとやらしいな、と思ったりしてしまった。
あとは、ところどころ、
雰囲気やセリフが、いかにも「純文学してる」感が鼻につくような場面もあった。
終盤の方で、岡田将生演じる俳優の男が、
西島秀俊に「(あなたは)奥さんに感謝しなくちゃいけないと思うんです」というセリフを言った時は、
「イラッ」としてしまった。
「どの立場で、そんな事が言えるねん。コイツは」と。
まあ、そんなヤツだから、最終的にあんな不祥事を起こすんだろうな、とも思ったが。
さて、繰り返しになるが、この映画がアカデミー賞の何かしらの賞を受賞すれば、
また超話題になって、更なるロングラン上映になるだろう。
念押しで言わせてもらうが、
その時、多くの人が「アカデミー賞、獲ったんだって!」と、
家族や友人と共にこの映画を見ようとするかもしれないが、
家族団欒が凍りつくシーンがある事だけは、
どうか頭に留めておいてほしい。
という事で、
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。