今日はTOHOシネマズなんばにて、
「ゴヤの名画と優しい泥棒」を鑑賞。
1961年に、イギリスのロンドン・ナショナル・ギャラリーで実際に起こった、
絵画の盗難事件についての映画。
盗まれたのは、
芸術史に名を残す、スペインの名画家ゴヤの作品「ウェリントン公爵」の肖像画。
(こんな絵です↓)
盗まれた事は、当時のイギリスで話題騒然だったらしいが(そりゃそうだろう)、
犯人が判明し、その動機が明らかになった時も話題騒然だったらしい(まあ、それもわかる)。
犯人は、ケンプトン・バントンという、
年金暮らしのバス運転手(映画ではタクシーの運転手、その後、失職してパン工場で働く労働者として描かれている)。
バントンは、
「なぜ、少ない年金で生活をやりくりしている、家計が苦しい孤独な老人たちにまで、テレビ受信料を徴収するのか?」と、
政府やBBC(イギリスの国営放送局)といった、いわば「権力といえるもの」に、
日頃から憤りを抱いていた。
そしてバントンは、自分の主張を世に知らしめる抗議活動をするため、
首都ロンドンに赴き、マスコミの本社などにアポなし突撃するのだが、
もちろん、その主張は受け入れられるわけはなく、受付で門前払い。
そこで、バントンが取った驚くべき行動とは・・・・、
というのが、大筋のあらすじである。
まず、映画作品としての僕の個人的評価を先に言わせてもらうと、
「悪くはないけど、感動するほどでもない」といったところ。
ネタバレになるので詳細は言えないが、
この事件には、後々判明する「ある真相」が隠されている。
だが、それを知ったところで、あくまでも僕としては、
「・・・・あ・・・・そうなんや・・・。
けど、まあ別に・・・・」といった感じで、
さして驚くほどのものではなかった。
国営放送の受信料制度に異議を唱えるため、
活動している人と言えば・・・・、
僕たち日本人なら、すぐに思い浮かぶ人物がいる。
そう「NHKを、ぶっ壊〜す」のフレーズでお馴染みの、立花孝志氏である。
「ああ、昔のイギリスにもこういう人がいたんだなあ」と思いながら、この映画を見ていたし、
警察に捕まって、裁判にかけられ、
ある種の有罪判決を受けるという流れも、
酷似しているではないか。
立花氏の活動や人物像に対する私評については、今回ここでは述べないが、
NHKの受信料制度については、
僕自身も完全に「やり方がおかしい」と思っていることは、
この場を借りて記しておきたい。
映画の話に戻るが、
裁判のシーンを見ていて、つくづく「イギリスだなあ」と思った。
イギリスに行ったことも住んだこともない僕が言うのも何なのだが(笑)。
ここが、この映画のハイライトであり、
感動ポイントになるのだろうけど、
やはり当時のイギリスに住んでいない日本人の僕としては、
あの傍聴人たちの判決に対する反応も、
いまいちピンとこない、というか何というか。
実際の当時のイギリスの世論って、どんな感じだったのだろう?
ここが全くわからないので、
裁判シーンにおけるカタルシス的な描写が、
いまいち腑に落ちないのである。
僕としては、全体的に退屈はしなかったし、
バントン夫婦の描き方に微笑ましいものを感じたので、
作品に対しての好感度はやや高めなのだが、
「みんなに見てほしい!」と思えるほどの作品でもない。
単純に「良い話」ではないと思うし。
色々、主張と理屈はあれど、
美術館に飾っている絵を無断で持ち出すのは・・・
僕としては、やっぱりアウトだわな(笑)。
映画としての評価は、
100点満点中、55点といったところか。
今回は自分自身、予告編に釣られた感がある。
この予告編、うまいこと作っていると思う。
「なんか面白そう」って思ってしまうもん、この予告編の作り(あくまでも僕はね)。
まあ映画を見終わって「騙された」とも思っていないが(予告編のリンク↓)。
ちょっと期待しすぎたかな?
という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。