※具体的なネタバレはしていないつもりですが、大体の結末が読める書き方なのでご注意。
100点満点で、70点。
人の手の形をした呪物的なモノを握り、
「トーク・トゥ・ミー(Talk to me:私に話しかけて)」とつぶやくと、
霊が目の前に現れ、
続いて「レット・ミー・イン(Let me in:私の中に入って)」と言うと、
霊に憑依されるという現象を、
ある若者たちが、パーティーでの「遊び」として扱うのだが、
調子に乗ってナメた真似をしていたら、シャレにならん事が起こってしまったんですけど・・・・というお話。
まず初めに、自分の事で恐縮なのだが、僕は霊感めいたものを持っていないので、霊の存在も基本的に信じていない。
よって、これまでの人生において、霊的な体験をしたことは皆無なのだが、
一方で、霊に関するあれやこれやの話は嫌いではないし、無関心でもない。
僕の基本的な考えとしては、自分の知覚で捉えられていない事を、
「見たことがないから」、「体験したことがないから」という理由だけで興味の対象外にしてしまうのは、
人生の知見を育んでいく上で、いささかもったいないような気がするのだ。
僕は霊の存在を信じていないクセに、
オカルト系動画などにアップされる、
沖縄のユタのような、いわゆる能力者の話に魅了されたりするし、
平将門の首塚の伝説や、ツタンカーメンの伝説といった、いわゆる「祟り(たたり)」とか「呪い」的なものも、
ちょっと信じているというか、怖いと思っている節がある。
まあ何が言いたいかというと、
自分が体験していないことや、知覚していない不思議な現象や言われに対しては、
霊的な事に限らず、
敬意に欠ける認識を持ったり、無闇に軽率な行動を取るのは、あまり良い事ではない、と僕は思っているのだ。
子供の頃に「コックリさん」という、
オカルト的儀式(子供にすれば、遊び以外の何物でもないが)が流行したことがあった。
僕も遊び心が働いて、その行いに参加したことがあるが、
今になって思えば、子供心に「なんかこれって・・・、あんまり良い事じゃないんではなかろうか?」という、
微細な違和感を感じた記憶がある。
実際にこのような類の儀式を行って、
過去に、コロンビアで数十人の女子高生が集団ヒステリー的な行動を起こしたり、
失神したりして、救急搬送されたという事例もあるようだし(日本でも、コックリさんが原因と思われる集団パニックの事例があるという)、
最悪な事には、人が死に至ったというケースも報告されている。
何とも気の毒な話だが、反面、僕はそのような事例を知る時、「自業自得」という言葉も頭にチラついてしまう。
これらの現象の当事者になった人たちのパーソナリティを知らずして断罪することには、少しばかり心が引けるものがあるのだが、
それでも敢えて言わせてもらうと、
こういう現象に「捕まってしまった」人たちは、霊的な事柄のみならず、
普段から、自分と、自分の身の回りの事柄に対して、
どこかしら「軽く見ている」フシがあったのではないだろうか?
もう少しキツい言い方をすると、「人生において、色々とナメている」フシがあったのではないだろうか?
心霊スポットに、キャッキャと浮かれ騒いで馳せ参じるのは、
大体が「キミら、どこか人生ナメてるよね?」というヤンチャな風貌の、運転免許取りたて若者集団だったりするし。
人生、敬意を持って接したが、それに対して自分が敬意を払われる結果は返ってきませんでした、というのは、
よくある話だが(悲しいのう)、
その逆は、見事なまでの返報性を伴っていると思う。
要するに「ナメた事をすると、それと同等か、その何倍ものしっぺ返しを食らう」という事である。
というわけで、この映画は冒頭のあらすじでも触れたように、
霊的な現象をナメた若者が、とんでもないシッペ返しを食らうわけだが、
みんな普段からそこまで「ナメくさったヤツではない」ので(むしろ、まともな部類のティーンエイジャー)、
最終的にあんな悲惨な事になるなんて、
「ちょっと可哀想だなあ」という気持ちにもなった。
しかし、これはホラームービーである。
慈悲の無い結末であるが、このジャンルなら致し方ない。
オチに関しては、個人的に驚嘆するレベルではなかったが、まあそれなりにうまくオチをつけたというか、
一言で言うと「ミイラ取りが・・・」的な終わり方である。
最近、めっきりこの手のジャンルは苦手になったが、
どことなく興味を掻き立てられる予告編だったので、多少の怖いもの見たさも相まって劇場まで足を運んでみた。
気になったのは、映画内設定で、
呪物の手を握って90秒以内に手を離さないと霊に乗っ取られる、との事なのだが、
僕は、「その90秒のソースはどこから?誰が最初にそれを突き止めた?」と思ってしまった。
まあ別にこれについては、
しっかりとした裏付けをしていなくても、大枠においては問題ないのだが、
細かい部分を気にしてしまう僕のアンテナに引っ掛かってしまった次第である。
という事で、クドいようだが、
今回のまとめとして、
霊に対しても、その他の何事においても、ナメたことをしてはイカンという事を、
この映画を通じて言いたいのであった。