「コットンテール」を鑑賞。
100点満点で、73点。
※今回、ネタバレを含んでいます。未見の方はご注意。
妻に先立たれて自暴自棄になっているオヤジをリリー・フランキーが演じる。
妻が遺言として残した手紙に、
「私の遺骨をイギリスのウインダミア湖に撒いてほしい」と書かれていたので、
オヤジは自分の息子夫婦と共にイギリスへ向かうのだが、
まあとにかくこのオヤジが、
不器用というか自由気ままというか、その場の思いつきに任せた自分勝手な行動を取って、息子夫婦を困らせるのである。
ちょっと途中で僕も「いったい何やってんだ?このおっさん?」と、見ていてイライラしてしまったのだが、
オヤジと死んだ奥さんの馴れ初めからお別れまでの一連の回想シーンが、要所要所で展開される度に、
「ああ、そういうことだったのか。なんか・・・ちょっとごめん」みたいな感じになってしまって、終盤ともなると、オヤジにかなり同情してしまった。
僕自身も、かつて家族に同時期に認知症を発症した人間が2人いて(父と祖母)、自分で言うのもなんだが、
大変な苦しみの感情を味わった人間なので、あの苦しみ、苛立ち、やるせなさがわかるというか、まあ本当に大袈裟でなく、ちょっとした「地獄」を見たのである。
なので、最終的にオヤジと息子夫婦が、亡くなった奥さんからのお願いを遂行できた時、「大変だったでしょう。お疲れ様」といった、ホッとした気持ちになった。
作品としては、間違いなく良作だし、
僕も最後の方は、オヤジと息子の会話に感極まって泣きそうになったのだが、
個人的には、全体的に若干薄味というか、
どことなく物語に迫真性や重厚さが感じられないというか、
オヤジと息子の人間関係が、いまいち良好でないものになってしまった理由がわかるような決定的な描写が無かったので、
物足りなさのようなものを感じたのは正直なところ。
もう少し上映時間が伸びてもいいから、
そのあたりの掘り下げがあれば、もう一段上の深い感動を味わえる作品に仕上がったかもしれない。
あと最後にね、いくら奥さんのお願いが大事でも、人の自転車をパクってはいけない。
普通に犯罪なので。