シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【ネタバレあり】「さかなのこ」 子供の好きなものを否定しない親には、宝くじの1等に当たったくらいの感謝をしないといけないと思う。

 

「さかなのこ」を鑑賞。


100点満点で、81点。

 

今回の記事はネタバレがあります。未見の方はご注意。


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タレント、魚類学者、イラストレーターなどの肩書を持ち、
日本を代表する「魚博士」として有名な、
さかなクンの半自伝的映画である。


実際のさかなクンは、宮澤正之(みやざわまさゆき)さんという男性だが、
本作で主演を務めるのは、女性俳優の、のん。


このキャスティングからしても、
かなりチャレンジングな意欲が見て取れるが、
中身の方も、謎のファンタジー要素が挟み込まれるような、型にとらわれない作風である


正直な気持ちとして、
見る前は「のんがさかなクンを演じるって、どんな感じになるんだ?」とか、
共感性羞恥のような感情を抱いてしまうかもしれない、
といったような不安を抱いていたのだが、
その心配は杞憂に終わった。


映画が始まってすぐに、画面上にバーン!と出てくる、「男か女かはどうでもいい」といった内容の文言が、
必要だったのかどうかはさておき、
「のんの演じるさかなクン」は、
僕の目には全編通して何の違和感もない。


それどころか、途中から、「このキャラクターを演じられるのは、のん以外ない」とさえ思ったくらいだ。


それくらいのハマり役に感じたし、
のんを若かりし頃のさかなクンとして起用した監督に拍手を贈りたい気持ちになった。


前半の子供時代から高校時代までは、
フワッとした雰囲気のコメディ的色合いが強く、
これがかなりいい感じだったのだが、
僕としては、前半を面白く感じた分、中盤に少し中だるみを感じて、
後半は前半よりもトーンダウンした印象を受けた(それでも決して内容自体が悪かったわけではない。さかなクンがテレビに初登場するクライマックスシーンでは、自然と涙が溢れてきたくらいに良かった)。


それにしても不思議な映画だ。


さかなクンの半生を見せる映画なのに、
何故か本物の「さかなクン」が、
トレードマークのあの帽子を被って、
子供時代のさかなクンの近所に住む謎のおじさん役として出演するという、
一瞬、「は?」となる奇天烈な演出(笑)についても、
個人的に何故か許せてしまうものがある。


誰もが「そんなの叶うわけない」と思うような夢を叶える話に加え、
ヤンキーが立派な大人になる話という、
多くの日本人が好む物語二大要素(笑)を絶妙なセンスで配合した良作。


久しぶりに、監督のセンスの良さにしびれるものを感じた作品であった。