「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」を鑑賞。
見る直前まで、これが基本的にミュージカル映画だとは知らなかった。
公開前の予告編でも、ミュージカル劇を匂わせる編集ではなかったと思う。
鑑賞の前日に、映画情報サイトのレビューを見ていると、「ミュージカル映画です」という記述があったので、
僕は「あ、どうしようかな」となったのである。
何が言いたいかというと、以前にも書いたかもしれないが、
僕は子供の頃からミュージカル的なものが苦手である。
何を見たから苦手になったとか、嫌になったとかではなく、
とにかくミュージカル的な場面が始まると、
「なんで急に歌いだすねん」というツッコミと共に、
見ているこちらが小っ恥ずかしくなるような妙な羞恥心が沸き起こったりするのである。
もちろん、ミュージカル要素があれば何でもダメというわけではない。
知り合いが高く評価していたので見てみた「レ・ミゼラブル」や、
「グレイテスト・ショーマン」は、
ミュージカルアレルギーの自分が見ても、かなり良いと思ったし(でも本音を言うと、「レ・ミゼラブル」に関しては普通の会話劇で見たかった)、
もう少し前の作品になると、ビヨンセが出演していた「ドリームガールズ」なんかは、音楽が良かったのでけっこう楽しめた。
あとは「ミュージカル映画」というカテゴリに入れるのはどうかと思うが、
インド映画における歌とダンスは、とてつもなく最高であると思う(笑)。
インド映画における「なぜ、そこで突然歌い踊るのだあ?!」というツッコミは、
ハリウッド製の作品を見た時に生じるような批判的な感情を伴っておらず、
むしろ「実はそれ、待ってました!」となるのだから不思議だ。
まあ単純に、インドの歌と踊りは味がありまくりで、僕にとっては、見ていてかなり面白いので、
あれは僕の中で「良いですね」なのである。
で、この「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」であるが、結論から言うと、とても良かった(笑)。
歌が入ろうが、純粋に楽しめた・・・というか、この作品のファンタジックなビジュアルイメージには、ミュージカル的要素があまりにもマッチしている、と思わざるを得なかったからである。
急に歌い出しても、何の違和感も感じなかったし、むしろストーリーの展開に躍動感を与えるという意味では、ミュージカル要素が無いほうが逆に退屈してしまうかもしれない。
「そりゃ、歌ってしまうよね」と思わせるような世界観である。
もちろんすべての場面を手放しで褒めるものではなく、
夜中に動物園に忍び込んでからの、風船で空を飛ぶ、しっとりしたシーンなんかは、
心の汚れたおっさん(僕です)には、
「こういうのは退屈だね」などと、中だるみに思えてしまったし、
ミュージカル部分における曲は、もちろんプロ中のプロが作った高い完成度の曲ばかりではあるけれども、
その中でも突出して「これは名曲だな」と、僕の心に響く一曲はなかった(「グレイテスト・ショーマン」にはあった。もちろんオープニングである。あれは素晴らしいと思う)。
何はともあれ、最近は救いのない作品を立て続けに見ていた事もあってか、
久しぶりに楽しい映画を見れた、という感覚である。
鑑賞前は、主に子供が楽しむ映画なんだろうなと、高を括っていた部分があったのだが、実のところ脚本的には、
大人が見てもけっこう楽しめるものであると思う。
あまり使いたくない表現ではあるが、見ている間、ちょっと「童心に帰る」事ができた作品である。
100点満点で、81点。