「ナポレオン」を鑑賞。
ナポレオンといえば、日本人でもほぼ誰もが知っているであろう、フランスの皇帝として君臨した歴史上の人物である。
そのナポレオンの栄光と挫折の物語を、
「エイリアン」「ブレードランナー」「グラディエーター」などを手掛けた巨匠リドリー・スコット監督が手掛けたとなると、僕的には、鑑賞前から否応にも期待値が高まったわけだが、結論から言うと、つまらなかった。
戦闘シーンなどは、まさにハリウッドの資本を投入してこそ得られる臨場感と迫力で、
それなりに見ごたえがあったのだが(それでも「それなり」である)、
その他のドラマ部分である、政治戦略上の駆け引きや、夫婦生活における描写などが、
ことごとく面白味に欠け、
史実をなぞった内容(といってもナポレオンと妻との会話のやり取りは、脚本上の想像に過ぎないものと思われる)が、
ただただ淡々と展開していく様は、2時間半を超える長さも相まって、まさに「退屈」以外の何物でもない、と思わせる代物であった。
これはあくまで僕の中での見解ではあるが、
大体、誰もが知っているレベルの歴史上の人物を扱った映画は、
当たり外れがデカいというか、下手をすれば、すごくつまらない作品が出来上がるリスクを秘めているように思える。
インド独立のために非暴力非服従のスローガンを掲げ、民衆と共に闘ったマハトマ・ガンディーを描いた映画「ガンジー」もやたら長くてしんどかったし、
仏教の開祖ゴータマ・シッダールタを、キアヌ・リーヴスの主演で描いた「ブッダ」も、僕的には全くもってつまらなかった。
イエス・キリストの物語として描かれた大作「ベン・ハー」も、前半はそれなりに楽しめど、後半はつまらなかった。
中国最後の皇帝・溥儀(ふぎ)を描いた「ラストエンペラー」も、僕は途中で寝てしまったくらいだ(ちなみにキリストといえば、メル・ギブソン監督の「パッション」は、世間的に評価が高いらしいが、僕は未見である)。
そして、この「ナポレオン」であるが、
個人的には失敗作と言わざるを得ない。
そういえば、フランスの英雄といえば、ジャンヌ・ダルクの名を忘れてはいけないが、
彼女を描いた映画もことごとく面白くなかった記憶がある。
なんだろう?
こういう史実に基づくような映画は、監督も肩に力が入りすぎるのか、はたまた「これだけ大きいテーマ(人物)を扱うのだから変なものは作れない」という重圧がのしかかるからなのか、結果的に調子を狂わせたかのような作品が出来上がってしまう可能性が高いように思える。
非常に大金を掛けて、真面目に作った痕跡はしっかりと見て取れるが、とにかく冗長でつまらなかった。
ナポレオンの軌跡を映像化して世に遺したという点だけは評価に値するが、本当にそれだけだったのが至極残念。
100点満点で、39点。