「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」を鑑賞。
僕が今年見た映画で、最も内容の薄い一本である。
アイドルグループを卒業した30手前の「金なし、仕事なし、男なし」の女性が、
ルームシェアで56歳のおっさんと同居することになる話であるが、
心揺さぶられるような場面は何一つなく、
終盤における唯一のクライマックスにおいても、
個人的にピクリともハートを揺さぶられるものがなかった(というより、ちょっとイライラした。「そんだけ連絡先いじれるくらいの余力あったら、真っ先に自分で救急車呼べや」と)。
とにかく中身がペラい。
ペラッペラ。
実話を元にした作品という売り文句だが、
悪い意味で、映画のタイトルのままの作品である。
それ以上の何かなんて、何もない。
自分の幸せの定義を、
実体のない「世俗的な幸せの基準」と合致するものとして生きていると、
人間はどんどん不幸になっていく、という事実をまざまざと見せてくれるので、
そういった観点から見ると、「ある意味、良い作品」として捉える事は可能かもしれない。
同居するおっさんと何かイベントめいた事が発生することも無く、
途中、主人公の元アイドルが恋した男のエピソードについても深堀りすることも無く、
なぜ元アイドルがその男を好きになっていったか?
なぜ元アイドルは、その男にそんなに執着するのか?もよくわからないし、
表面的な結果だけが淡々と映像として流れ、
鑑賞者として全く感情移入する余地がない。
元アイドルに好きになられた男は、結局のところ、以前から付き合っていた別の女性がいて、その人と結婚するらしいのだが、
そんな段階においても、
何故か元アイドルに「君が大切だから」と、元アイドルにとっては酷な言葉をのたまったりして、
男の僕目線から見ても「なんやコイツ?」というか、
気持ち悪い事この上ないというか、意味不明である(でもいるよね、こういう男。「優勝したい」という欲望を持って、FAで阪神に移籍して、広島カープを出ていくクセに「カープが今でも好きなんで」と言い放った15年前の新井貴浩かよ?と思った)。
テンポ感もゆったりして、途中何度も眠くなったし、まあとにかく、うっすい作品であった。
100点満点で、29点。
種類は違えど、亀梨和也主演の「事故物件」と渡り合えるレベルの、「俺の金と時間を返せ」と思った作品であった。