シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「万引き家族」 血が繋がっている家族だけが「真の家族」なのか。で、それはさておき、やっぱり窃盗はいかんよ。

 

今回、ネタバレと言える記述があります。

作品未見の方はご注意下さい。

 

6月11日、自宅で「万引き家族」を鑑賞。

 

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2018年の日本映画。

 

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東京の下町に住む、

ある貧しい家族。

 

一家の主である治(リリー・フランキー)は、

生活費を浮かすため、

息子の祥太と協力して、万引きを繰り返す日々。

 

ある日の帰宅途中、

治と祥太は、親から虐待行為を受けていると思われる少女に目が止まる。

 

少女の事を不憫に思った治は、

少女を自宅に連れて帰るのだが・・・

という、あらすじ。

 

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この記事を書いている数日前に、

本日(6月11日)フジテレビ系列で全国放送されるのを知って、

「そういえば、この映画、見てないな」と思ったので、

先んじてAmazonプライム・ビデオで昼間に見てみた次第。

 

作品の感想であるが、

「まあ、概ね良かったんだけど、釈然としない部分が大いにある」という感じだ。

 

やはり、最も「うん?」と思ったのが、

治の家族が「りん」と名付けた少女と、

かなりの長期間、

少女の本当の家族や警察にバレずに、

共に生活できたこと。

 

りん(本当の名前は「じゅり」)は、

行方不明になってから、実の親から2ヶ月間も捜索願いが出されておらず、

それが早期発見に繋がらなかった、

という理由づけができるのだろうが、

それにしても、

僕からすれば「いやあー、それはどうかな?」という感じである。

 

治の自宅から徒歩で辿り着ける距離にある

マンション(団地?)に住んでいた少女を最初に見つけた、

真冬と思われる時期から真夏まで、

少なく見積もって半年間。

 

少女は、ずっと家で過ごしていたわけでも、

人里離れた場所に隔離されていたわけでもなく、

祥太と共に、しょっちゅう近所に外出しているのである。

 

これは、普通に考えて、すぐに見つかってしまうと思うのだが・・・。

 

現に、治の妻の信代(安藤サクラ)が勤めるクリーニング工場の同僚の女が、

少女の存在に気づいているくらいなのだから、

もっと早い段階で、

近所で、もっと「あれ?あの子・・・?」と、

なるような気がするのだ。

 

個人的に、これにはかなり無理を感じた。

 

あと、治たちと共に暮らす亜紀(松岡茉優)が、実のところ、

どういう立ち位置の存在なのか、

理解するのに時間がかかった、

というか、

ぶっちゃけ、見終わった後も、ちゃんと理解できていない。

 

亜紀は、普段「さやか」という源氏名で、

「JK在籍を売りにした風俗店」で働く若い女性なのだが、

 

彼女は、

樹木希林演じる祖母・初枝の、

亡くなった元夫の後妻の息子の娘(僕の文章力のせいもあるが、この時点で、かなりややこしい)で、

「オーストラリアに留学している」ということである。

 

しかし、実際は留学などしておらず、

多分、家出か何かをしていて、

どういうわけか、治たちと共に生活している・・・・

と、僕は解釈した(合ってるのかな?)のだが、

このあたりを一回見ただけで汲み取るのが、

初枝が「元夫の後妻の息子の家を訪れる」という、

映画の中の決して長くないワンシーンの中では、僕には難しかった。

 

亜紀の本当の両親は、

亜紀が家出をしているのは知っているのだが、

世間体を保つために、

長女が留学している事にしている・・・

ということで良いのだろうか?

 

このあたりが、ちょっと僕にはわかりにくかった、というか何というか、

なんだろう・・・?

僕の頭が悪いのか?(笑)

 

読者の方に「そうだよ。君の頭が悪いのだよ」と思われていない事を祈る。

まあ別に思われてもいいけど(笑)。

 

なんにせよ、

「え?今のは、どういう事だってばよ?」と、

モヤりながら、

しばらくその後を見てしまったので、

そのあたりから、いまいち映画に入りきれなかった感じがある。

 

そして、さらにもう一つ、

釈然としなかったのが、

祥太が、

りんにまで万引きをさせている事に罪悪感を感じて(おそらく、その事だけでなく、窃盗している家族の存在自体に疑問を抱き始めたのだろう)、

店員にわざと見つかるようなかたちで商品を盗み、逃げたこと。

 

ここで祥太は、

全速力で店員から逃げようとし、

最終的に、自分の身長を遥かに超える高さの場所から飛び降りて、

怪我をして入院する事になる。

 

結局、これがきっかけで、

家族の犯罪の諸々が警察に知れ渡る事になるのだが、

この後にある、最後の方のシーンで、

祥太は、治に「わざと捕まったんだ」と告白するのである。

 

はっきり言って、これはおかしいと思う。

 

わざと捕まろうとしたのなら、

商品を持って店の外に出た時に、

足を止めて店員に大人しく捕まればいいだけの話だ。

 

それなのに、なぜ全力で逃げたのか?

なぜ、大怪我をするような高さの場所から飛び降りるのか?

それは「逃げ切ろう」と思ったからではないのか?

 

このあたりについては、

「そうは言っても、子供の言っている事だから、その時(万引きした時)は、本能的に逃げるという意識が働いたのかもしれない」

という釈明は、僕は認めたくない。

 

やはり、あれには違和感を感じて仕方がなかった。

 

それに付随して、

再びまた細かい事を言わせてもらうが、

これは「空白」という映画のレビューでも書いたのだが、

祥太を全速力で追いかける、万引きされた店の店員に対して、

「事故が起きたらどうすんねん?追いかけるなよ」と、また思った。

 

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これについて、

「なんで?悪いことしてるヤツは追いかけて捕まえようよ」と思った方は、

よろしければ下のリンク(↓)を参照していただけたら、と思う。

https://www.spnet.biz/hoan_no_iroha/iroha_2.htm

 

(「空白」のレビューはこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2022/02/04/024722

 

まあ、自分もそんな状況になったら、

思わず追いかけてしまうかもしれないけどね・・・。

でも、「空白」みたいに、

追いかけて事故が起きたら、もっとややこしくなるからね・・・(映画のレビューとは関係ない、ただの独り言です)

 

というわけで、

「カンヌのパルムドール受賞作品」という事で、

ある程度の期待をして見た本作であったが、

全体としては「まあまあ」といったところか。

 

個人的に、この作品は、

社会の闇や底辺の部分を掘り起こす、

リアリティに満ちた物語、

というよりは、

おそらく実在しそうにない「擬似家族」を用いて世の問題を提起した、

社会派ファンタジーとして捉えた。

 

僕の評価は、100点満点で、62点。

 

安藤サクラの取り調べのシーンの演技は、

良かった。

 

リリー・フランキーについては、

今作に関しては、なんだか喋り方が、

ところどころ田中邦衛のモノマネのように聞こえた(笑)。

まあ別に、それは僕の中で減点対象ではないが。

 

ということで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。