シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(核心部のネタバレなし)「エスター」 養子として迎え入れた「少女」が地雷すぎた件。

 

今日は自宅で「エスター」を鑑賞。

 

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2009年のアメリカ映画。

 

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かつて、

3人目として生まれる予定だった子供を

死産させてしまったケイト・コールマン。

 

彼女と夫のジョンは、

新たな家族として養子を迎え入れようと、

孤児院を訪ねる。

 

2人の目に留まったのは、

エスター」という名の少女。

 

エスターは孤児院の中で友達も作らず、

浮いた存在であったが、

知的かつ礼儀正しい態度でコールマン夫妻に接した。

 

夫妻はエスターをすぐに気に入り、

養子として彼女を迎え入れる決断をしたのだが、

エスターが来てからというもの、

ほどなくして家庭の内外に様々な問題が発生するのであった・・・という、あらすじ。

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僕は先日、「コリーニ事件」という映画のレビューで以下のようなことを述べた。

 

『僕は基本的に、

「殺人は、人間にとって最大最悪の罪」と考えている人間である。

 

それが、たとえ自分の身を守るためであっても、

「人が人を殺すことに、完全なる正当性が与えられることはない」と考えている』

 

(「コリーニ事件」のレビューはこちら↓ )https://shingosan.hateblo.jp/entry/2022/04/22/101100

 

基本的に、この考え方が変わることはないと思うのだが、

この「エスター」に関しては、さすがにこう思った。

 

「あ、コイツは殺してかまわん」と。

 

「コリーニ事件」のような「過去の罪」を遡っての復讐、というのは、

僕としては、

「復讐に燃える気持ちが、痛いほどわかるような気がする」としつつも、

それを「全肯定」することは、やはり自分には出来ないと思う。

 

しかし、この「エスター」のように、

極悪の所業を、目の前で現在進行形でやられたら、

「これは無理だな」と思った。

 

「警察に捕まえてもらって、法にのっとって裁いてもらおう」とか、無理っす。

 

だって今やらないと、こっちが殺されるもん。

 

もう、物語の最後の方のエスターは、

もはや「人間」じゃない。

 

あれはもう、ワニとかサメといった猛獣の類。

対象物を食う(殺す)ことしか考えてない。

こちらが襲われた場合、武器を持っていたら仕留めるべきだし、

持っていなかったら全力で逃げるしかない。

 

この映画は、

ホラー系の他の作品がそうであるように、

「いかにもホラー映画な」ベタな演出が随所に散見されるのだが、

この手のものとしては一級品の出来だと思う。

 

ただ、物語の最初の方で、

まだエスターが登場する前の段階で、

ケイトが車を発進させたところに大型トラックが横切ってヒヤッとするシーンや、

洗面所の棚の、鏡になっている引き戸を閉めた時に、

いつの間にか旦那のジョンが、ケイトの後ろに

立っていて、ケイトがドキッとするシーンなどは、

はっきり言って全く要らないと思った。

 

特に旦那が後ろに立っているシーンは、

エスターが出てくる前にやっても、本当に意味がない。

 

エスターが本編に出てきた後にあの演出をするなら効果的かもしれないが、

まだ何も起こっていない時点で、ああして観客を驚かせようとするのは、

少し浅はかに思えて仕方がない。

 

まあ、それはさておくとして、

とにかく、エスターの非道ぶりに腹立たしい気持ちになったし、

最後の方までエスターの悪行三昧に気がつかない、

鈍感極まりないジョンに対しても、

終始イライラした気持ちを抱いて見ていたが、

逆に言うと、

それだけ僕の感情を揺り動かしたこの映画には、

かなり高いレベルで見る者を没入させるだけの力がある、と言える。

 

このエスターという不気味な少女は、一体何者なのか?

という秘密は、もちろん終盤に解き明かされることになるのだが、

これについては「なるほどね」と。

 

どうりで何をするにしても、色々こなれているわけである。

 

僕の場合、ホラー系の映画は、

見終わった後に

「ああ、今日は良い映画を見たなあ!」とは、ほぼならないのだが、

なぜか不定期でふと見たくなる時がある。

 

けど、見たら見たで「やっぱり、やめときゃ良かった」となるのがオチで(笑)、

この作品も、エスターの被害に遭った登場人物たちの無念さを思うと、

鑑賞後に良い気分を味わうなど、どだい無理な話なのだが、

先ほども書いたように、

最後まで見る者の興味を引きつける力を持っているか否か、

という評価基準で捉えると、

この作品には高得点をつけたくなる。

 

僕の評価は100点満点で、86点。

 

不快な感情を呼び起こす作品であるが、

前回取り上げた「幼い依頼人」のように、

現実として起こっている社会問題を題材にしたものではない完全なフィクションなので、

僕自身は一つのエンタメとして割り切れる。

 

鑑賞後の精神状態に悪影響が出ることも、今のところはない。

 

(「幼い依頼人」のレビューはこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2022/04/29/144649

 

ただ、ちょっと最近、「死」という題材を重点に置いている作品を立て続けに見ているので、

ちょっと潜在意識下で疲れているかもしれない。

 

次回は、もう少しライトな作品を取り上げようと思っている。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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