昨日は自宅で「ドント・ブリーズ」を鑑賞。
2016年公開のアメリカ映画。
ひとことで言うと、
3人組の若者窃盗グループが、
盲目の退役軍人の一軒家に忍び込み、
金を奪おうとするが、案の定見つかってボコられる(まあ、ボコられる程度ですまないのだが)という映画。
上映時間は90分弱で、緊張感が持続したまま、ダレる事なくあっという間に終わる。
「途中で飽きさせない」「スリルを味わえる」という点では、優秀な映画と言える。
しかし、これを見終わった後に僕の心に残ったのは、何とも言い難いモヤモヤ感であった。
この盲目の退役軍人、もう「お爺さん」といって差し支えない年齢に見えるのだが(60代中盤くらいか)、
イラクの最前線で戦っていた事もあってか、
めっぽう強い。
「おい、そこまでやられたら普通死ぬぞ」というレベルの攻撃を受けても死なない。
あまりに頑丈すぎるし、
「米国版座頭市」と言わんばかりの(若い人、座頭市ってわかるのかなあ・・・?)
視覚以外の感覚の鋭さで、窃盗グループのガキどもを追い詰めていく。
爺さんの家に盗みに入った3人のガキは、
当初は爺さんが眠りに就いているうちに、こっそり忍び込んで、金だけを奪っておさらばするつもりだったのだが、
映画の展開的に、そんなうまい事いくわけなく、案の定、爺さんに見つかってしまい(盲目なので「気づかれてしまい」の方が適切か)、
殺るか殺られるかの戦いに。
人間の行動パターン的に、
泥棒に侵入されて対峙してしまった以上、
我が身を守る行動に打って出るのは(自分が犯人と肉体的に渡り合えると判断できたならば)当然と思われるので、
僕は基本的に爺さん側の立場になったつもりで、
最初の方は「ちょっと、このクソガキ達をこらしめてやってください」という気持ちだった。
しかし、
ガキたちも根っからのワルとは言い難い連中で、
「爺さんにやっつけられたら、それはそれで可哀想かなあ」という気持ちも湧き起こり、
爺さんに見つかってすぐの時は、
「さっさと謝って、金だけ置いて逃げろ」という、ガキどもに対しての応援(?)の気持ちも微妙に沸き起こってしまった。
この「爺さん、結果的に犯人を殺したら、それはそれでしゃーない。強盗に入られたんだから」という気持ちと、
「クソガキども!確かにお前らの行いはあかんが、なんとか生きてこの家から脱出しろ!」という、相反する気持ちが混濁して、
見ているうちに「自分の中の正義の定義」が、よくわからなくなってきてしまった。
ある意味、哲学的な映画かもしれない。
そして厄介な事に、中盤くらいになると、
爺さんが、世間には決して曝け出す事のできない「隠し事」をしている事が判明して、
またもや話はややこしくなる。
「爺さん・・・・色々あったのはわかるが・・・・それは・・・・あかんやつや・・・・」というレベルの隠し事。
これは重要なネタバレなので、言わないでおこう。
で、そんなこんなで、緊張感が切らされる事なくラストまで辿り着くのだが、
結局、見終わって思ったのは
「・・・・で、何?」である(笑)。
最初の方にも書いたように、ただモヤモヤ感だけが残る。
全くスッキリしないし、何の感動、感懐深さ、感心もない。
「ただ90分間、スリルのあるものを見た」というだけの話。
まあ、ジャンル的にホラー系、スリラー系と言えるものに、心を豊かにしてくれる何かを求めても意味がない、というか、
それはお門違いなのだが。
僕の評価は100点満点で、50点。
クソガキ達の行いを見て、
「やっぱり悪いことはしたらあかん」という教訓は得た。
という事で、今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。