昨日は自宅で、「スウィング・キッズ」を鑑賞。
2018年公開の韓国映画。
朝鮮戦争下の捕虜収容所にて結成された異色のタップダンスチームの物語。
タップダンスチームのメンバーは、
かつてブロードウェイのタップダンサーであった黒人下士官ジャクソン、
北朝鮮の兵士ロ・ギス、
歌の才能に恵まれた通訳士ヤン・パンネ、
生き別れになった妻を探していたが、乗る車を間違えて捕虜収容所に辿り着いてしまった民間人の男カン・ビョンサム、
踊りの才能は抜群ながらも栄養失調のため1分も踊れない中国人兵士シャオパン・・・
と、立場も個性もバラバラ。
元々、このチームが結成されたいきさつは、
収容所の所長が、収容所に対する対外的なイメージを良くするため・・・
ようするに、
「我が収容所は、捕虜に虐待を加えたりするような非人道的な扱いはしていませんよ。
ちゃんとした食事も出しているし、文化的な生活もさせていますよ」
という事をアピールするためだった。
そして、収容所内で行われるクリスマスのデビュー公演に向けて、
奮闘する彼らに待ち受けていたものは・・・・というのが、この映画の大まかなあらすじ。
見始めて最初の1時間くらいは、
若干のコメディ要素も盛り込んだ
ミュージカル系ムービー(と言ってもセリフの途中で唐突に歌ったりはしない。基本はダンス)という雰囲気で、
僕は正直、
「ああ、この手のヤツかー」と思い、
気持ちが萎えそうになりながら見ていた。
僕はこの手の映画が基本的に苦手である。
苦手ではあるが、ダンスシーンの時に流れる曲は悪くないし(と言っても、「こんな時代にそんな曲ないやろ」とツッコミを入れたくなるシーンもあった)、
タップダンス(スゴ技連発)も見ていてかなり気持ちいいし、
やはり最終的にどういった終わり方をするのかな?と気にはなるので、
ちょっと我慢しながら見ていた。
この前半は、本音を言うと「見る映画、間違ったかなー」と思っていた(もちろん、この手のミュージカルチックな映画に抵抗のない人は数多くいると思うので、そういう人たちにとっては、見ていてシンプルに楽しいものだと思う)。
しかし後半、
大きな負傷を負いながら捕虜として収容所にやってきた、ある北朝鮮兵士の登場から、物語の様相は一変。
僕もこのあたりから、
「お?これは急に面白くなってきたぞ・・・」と身を乗り出すような感じになる。
そしてクライマックス・・・。
まさか、と言えるような驚愕の結末に、
僕は画面の前で、声を出して「えー・・・マジか・・・」と呟いてしまった。
これはもちろん言わない事にする。
興味を持った人はご自分の目で確かめていただきたい。
最後まで見終わった時、
「ああ、このラストのために、あの前半があったんだな」と思った。
戦時下でありながら、どこか平和さ、呑気さを感じさせる前半部分の演出は、僕にとっては少し退屈で、
見ていて何となく気恥ずかしいものであったのだけれど、
最後まで見た時に素直にこう思った。
「あの前半だから、良かった。あの前半じゃないとダメだった」と。
そして「戦争は絶対にダメだ」と、
見る者に強く思わせることが戦争映画の使命だとするならば(僕はそれこそが戦争を描く映画の役目だと思っている)、
この映画は間違いなく、そのメッセージを伝えきれている。
僕の評価は100点満点で、90点。
映画を見ていて、ひとつとても気になったのが、通常の会話のシーンと音楽が流れるシーンの音量の差。
普通に会話が聞き取れる音量で見ていると、音楽が始まった時にかなり音が大きくなって、
何度もテレビの音量を調節しなければならなかった。
これは僕の家のテレビに問題があるわけではないと思う。
音楽シーンの迫力を際立たせるために、そこの部分はあえて元々の出力レベルを上げているのだろうけど、
ちょっとこの音量の差が激しかった。
音楽が鳴っている時に音量を適切なボリュームにすると、今度は会話が小さくなって聞き取りにくくなるのである。
こういうのは、ちょっと考えて欲しかったなと思う。
けどまあ、そういった細かい事はさておき、
本当に戦争はただただ悲惨しか生まない、ということをあらためて思った一本。
という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。