シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(核心部のネタバレはなし)「KAPPEI カッペイ」 「何もかも」ではないが、面白かった。ただ、ひとつ気になった事もある。

 

3月21日(祝)に、

TOHOシネマズなんばにて、

「KAPPEI カッペイ」を鑑賞。

 

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漫画家・若杉公徳の原作の映画化。

 

かつてノストラダムスが予言した1999年の人類滅亡の時に備え、

絶海の孤島にて、密かに己の心と体を鍛え続ける少年たちがいた。

 

彼らは、世の秩序が乱れた時に人々を救う

「終末の戦士」になるべく、

「無戒殺風拳(むかいさっぷうけん)」という殺人拳法の習得のため、

老師(古田新太)の指導のもと、

日々厳しい修行に耐えていたのだが、

1999年を過ぎても人類が滅亡する気配はなく、

いつしか時は過ぎて2022年になってしまう。

 

そして老師は、

成長して立派な戦士となったものの、

2022年の平和な世の中において、

役割を失ってしまっているかつての少年たちに対して、

「一同解散」を言い渡す。

 

世間を全く知らずに大人になった終末の戦士の一人「勝平(伊藤英明)」は、

いきなり東京という大都会に放り込まれるのだが、

そこで偶然「山瀬ハル(上白石萌歌)」という女子大生に出会い、一目惚れしてしまう。

 

人類を救うために、強くなることだけを考えて生きてきた男、

勝平の初めての恋は、果たして実るのだろうか?・・・

という、あらすじ。

 

僕は原作は未読であるが、

1月頃、映画館で初めてこの映画の予告編を

見た時から気になっていた作品であった。

 

主演の伊藤英明山本耕史小澤征悦らの

扮装ぶりに、

「みんな、よくやるな(笑)」とニヤニヤしながら、

3月18日の公開日を楽しみにしていたのである。

 

僕は基本的に、劇場に映画を見に行くときは、料金が割引になる日を狙っているのだが、

今回はできるだけ早く見たかったので、

公開日からの直近の休日が、割引のない日であるにも関わらず、

朝イチの回から見に行った次第。

 

結論から言うと、

ネタ部分の全てが僕の笑いのツボにハマったわけではないが、まあけっこう面白かった。

 

映画のジャンル的にはコメディ映画になるのだろうけど、

僕の感覚では「コメディ」というよりは、

最近、当ブログでもレビューした「HK/変態仮面」と同じ類の「バカ映画」である。

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(「HK/変態仮面」のレビュー記事はこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2022/03/04/000606

 

あまり真剣に語るようなタイプの映画ではない。

 

「KAPPEI カッペイ」は、

僕としては、全編を通して「大笑い」レベルのシーンはなかったが、

随所に「フフッ」「クスッ」、

そして「まわりに誰もいなかったら思わず声に出そうな笑い」が散らばっていて、

なかなかいい感じであった。

 

海外ではどうなるだろう?

割とウケそうな気はするが。

 

中には、日本人が見るからこそ理解できる、

というネタがあったりするので、

そこはあまり伝わらないかもしれないが、

外国の人から見たら、

この映画はかなり奇異な映画だと思うので、

外国人のカルト映画好きの人は、けっこう気にいるかもしれない。

 

僕たち日本人が見ていると、

主演の伊藤英明に代表されるように、

「この俳優さんが、こんな役を真剣に演じているなんて」といった部分での面白さや、

楽しみ方が加わるのだが、

外国人にとっては、その人がよほどの日本の芸能マニアでもない限り、

そこが多分伝わらないと思う。

 

しかし、このバカバカしさ加減は、海を越えて響くものがあるはず、と期待したい。

 

マイナス点としては、

笑いを取るためのアプローチがベタすぎる部分があって、

そこは僕的に「うーん」となった箇所がいくつかあるのと、

少し長く感じたこと。

 

あとは、戦いの部分などは、

もうちょっとハチャメチで、ド派手な映像表現があったら、もっと面白くなったかもしれない、

と思ったりもした。

 

それと、映画の出来とは別の部分で気になったのが、

こういった「コメディ映画」というか「ギャグ系映画」における予告編の功罪について。

 

一本の映画を世の人に知らしめるため、

「予告編」や「予告CM」というのは欠かせないものである。

 

しかし、

こと「笑い」を主軸に据えた映画においては、

予告編というものには、その存在に善し悪しがある事を、この映画を見て痛感した。

 

要するに、日本の笑いで言うところの「ボケ」を、ところどころ編集で抜き出して、

予告編の中で先に見せられると、

あらためて本編を一から見た時に、

予告で先にボケを見せられているので、

「あの場面か」と客観的になってしまって、

少なくとも僕の場合は、笑いが抑制されてしまったのである。

 

もちろん本当に笑えるものは、

「来るのがわかっていても面白い」ものであるが、

やはり初めて見た時の刺激を存分に味わいたいのであれば、

ダイジェストとも言える予告編でのネタの抜き出しを見ずして本編を見た方がいい、

と思うのである。

 

もしM-1グランプリや、キングオブコントが録画放送だとして、

番宣やCMなどで笑いの発生する部分を編集して先に見せたら、

本放送をどんな気持ちで見ることになるだろうか?

 

予告編の功罪とはそういう事である。

 

作品が「笑い」を中心に展開していくものほど、

予告編でどこまで見せるのか?

見せていいのか?というサジ加減が難しくなると思う。

 

繰り返すが、僕としては、

映画を見ている中で、やはりいくつかのシーンで、

「あ、ここは予告編で何度も見たやつだ」となってしまったので、

面白いことは面白いのだけれど、

見ている最中に「もうそろそろ、予告編でやってたあの部分が出てくるな」と、

余計な事を考えてしまったのである。

 

幸いにも今回の「KAPPEI カッペイ」は、

個人的には、予告編で見た部分以外にも面白いネタが割とあって、

つまらない映画にありがちな

「実際のところ、予告編の方が面白かった現象」に出くわす事はなかった。

 

僕の評価は、

100点満点で、79点。

物足りない部分もあったが、まあ割と楽しい時間を過ごさせてもらった。

 

くどいようだが、

やはり、あともう少し、

変態仮面の最後の決め技のシーンレベルに匹敵するような

「もう、バカすぎるだろw」という映像表現があれば良かったかな、と。

 

この映画を見ていると、日本って平和だよな、本当によかった、と思った次第。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。