シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【ネタバレあり】「流転の地球 太陽系脱出計画」 人類は生き残りをかけて地球ごと太陽系から離れることにした・・・って、いや重力のバランス崩れて全員死亡でしょ(笑)。

「流転の地球 太陽系脱出計画」を鑑賞。

100点満点で、63点。


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※今回ネタバレを含みます。未見の方はご注意。

 

この作品は、現在Netflixで絶賛配信中のドラマ「三体」の原作者である劉慈欣(りゅう・じきん、又はリウ・ツーシン)の書いた「さまよえる地球」という短編小説を映画化したものらしい。


あらすじを端的に述べると、
「なんか気がついたら、太陽が急に膨張してて、このままだと地球を飲み込みそう。
どうしようどうしよう?
あっ、そうだ!
地球にエンジンを装着して、地球ごと太陽系から脱出しよう!」というもの。


そんなバカな。


無茶苦茶である。


ちなみに中盤からは、
月が地球にぶつかって来そう、という想定外の事態も発生して、
「ああ、もう月までこんな事になってしまってどうしよう・・・。そうだ!
世界中の核爆弾を集めて、月を爆破しよう!」となるんだから(笑)、
無茶苦茶要素マシマシの、まさに二郎系SFムービーといった具合である。


こんな荒唐無稽な設定で、なおかつ中国産のSF映画なんて、
僕の記憶ではほとんど見た覚えが無いので、
見る前から色んな意味で期待していたのだが、
これが思いのほか、映像的にはかなりしっかり作られていて、けっこう驚いた。


ところどころCG感が出すぎの部分も見受けられたものの、
総合的に見て相当ハイレベル。


「いつの間にか、中国はこういう映画も作れるようになっていたんですね」と感心しながら見ていたのだが、 
シナリオと演出については、これまでのハリウッド映画で散々描かれてきたような描写が多くて、
「地球ごと動かす」「月をまるごと破壊する」というブッ飛んだ発想がありつつも、
何やら新鮮味をあまり感じる事ができなかったのが残念である。


終盤では、「つうかこれ、アルマゲドンですやん」という、
まんまアルマゲドンな描写に苦笑してしまったし(もしかしたら、リスペクトを込めたオマージュかもしれないが)、
「地球は、基本的に中国が救いますので!!
あと、ロシアさんも頑張って手伝ってくれてます」という流れにも、
「ま、中国が作るとこうなるか」という感じで、
心の中でちょっと苦笑しつつ見ていた。


太陽系脱出計画に反対するテロリストが標榜する「デジタル生命」の概念を最初に語っていた科学者が、
中国と国交的にあまり仲のよろしくないインド系の人であったりという構図も、もう分かり易すぎる。


まあでも、それを言い出すと、アメリカ映画も同じような感じで、
「USA!USA!アメリカ万歳!」な映画を数多く作り続けてきたわけなので、
別にそういうのも、いいっちゃあ良いんだけどもね(最近はハリウッドも妙に中国に忖度したかのような作品があったり、殊更に人種の多様性を強調した作品も多いが)。


中国のクリエイター達も、中国共産党の目が光っていることを意識しながら作品を作っている部分は絶対あると思うし、
色々と配慮することがあって大変なんだろうなあ、と思ったりしてしまう。


ということで、全体的評価としては、
「かなりやるやん」と思いつつも、
「こういう感じ、どこかで見たよね」も散見される作りであったので、
僕としては少々辛めの点数になったわけだが、中国では、今作はかなりの大ヒットを記録したらしい。


ツッコみどころは満載だし、色々と思う部分はありつつも、
最後の方で、お父さんと娘がまさかの形で再会できたシーンについては、
号泣レベルとまでは行かなかったが、不覚にも思わず泣いてしまった。


あそこは良かった。


先ほど述べた「アルマゲドン」など、

往年の同路線作品を見たことがない若い人などは、
この「流転の地球 太陽系脱出計画」は、もしかしたら相当に面白く見れるのかもしれない。


ちなみに、今作は続編作品であり、
これの前作は「流転の地球」という、サブタイトル無しの作品であるが、
この続編から見ても十分に内容は理解できるはず。

前作を見ていないとよく分からない、という事はないと思う。