シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(核心部のネタバレはなし)「Mr.ノーバディ」 どこにでもいるような親父のヤバすぎる正体。

 

昨日は自宅で「Mr.ノーバディ」を鑑賞。

 

f:id:otomiyashintaro:20220325142411j:image

 

2021年のアメリカ映画。

 

家族を持つごく普通のサラリーマンとして働き、

平日の決まった時間に同じ行動をして、

平凡な毎日を送るハッチ・マンセル。

 

ある日、マンセルの自宅に2人組の強盗が押し入り、

マンセルは強盗の要求どおりに、

手元にあった幾らかの現金を受け渡す。

 

その時、

果敢にもマンセルの息子が強盗の一人である男性に抵抗し、

もう一人の強盗仲間の女性がそちらに気を取られて、マンセルに背中を見せた。

 

マンセルは手に掴んだゴルフクラブで、

強盗の女性を後ろから殴打できる千載一遇のチャンスを掴んだのだが、

なぜかマンセルは躊躇し、

強盗を押さえている息子に「放せ」と言い放つ。

 

強盗の男性は息子を殴り、

はした金を奪ってマンセルの家から逃走する。

 

強盗を取り逃がしたマンセルは、

息子から「情けない」と軽蔑されるのだが、

実はそれにはマンセルだからこそ、そう判断した理由があったのである・・・

という冒頭から始まるこの映画。

 

月曜から金曜まで家と職場の往復を繰り返し、

毎週火曜は、ゴミを出すのにいつも遅れて、

収集車が行ってしまった事に一人苛立つ、

くたびれ気味の妻子持ちのオッサンが、

実はとんでもない「戦闘のプロだった」という、この物語を見ていて、

僕の頭にすぐに思い浮かんだのが、

デンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」である。

f:id:otomiyashintaro:20220325144312j:image

 

あれも、普段ホームセンターで働き、

余暇は近所のカフェで読書をして静かに暮らすオッサンが、

実は殺人術に長けためちゃくちゃ強い元CIAエージェントである、

という設定だった。

 

ちなみに「イコライザー」は、

アメリカで1984年から1989年にかけて放送されたテレビドラマ「ザ・シークレット・ハンター」(僕は未見)の劇場版だそうな。

 

設定は似ているのだが、

イコライザー」のデンゼル・ワシントンが圧倒的に強かったのに比べて、

「Mr.ノーバディ」のマンセルは、

確かに「ここぞ」という局面においては、

強いことは強いのだけれども・・・ちょっと、

いや、かなり危なっかしいところがあって、

見ていてけっこうヒヤヒヤさせられる。

 

明らかに感情に任せて無茶してる部分と、

沈着冷静で計算された行動を取れる部分が混在していて、

なかなかツッコミどころが多い。

 

この映画のエンジンが本格的にかかり出す

「バスのシーン」があるのだが、

このシーンは、

数あるアクション系映画にある「ストリート系喧嘩シーン」の中でも、

個人的に見て「生々しさ」という意味で、

けっこう秀逸だと思う。

 

特に目新しい映像表現や派手さはないが、

ちょっと意表を突かれた感じがした。

 

それはどういうことかと言うと、

ほんのちょっとだけネタバレさせてもらうが、

マンセルは持っていた拳銃の弾を、チンピラ達の目の前で全て抜き出し、

「こんなもの(拳銃)に頼らなくても、お前らなんざ素手で充分だぜ」

と言わんばかりの威勢の良さを見せるのだが、

その勢いとは裏腹に、

これが割と苦戦するのである(笑)。

 

大体のアクション映画は、

こういう場面では、主人公が少々のピンチっぽい局面を作りつつも、

基本的に華麗に敵を打ちのめすのだが、

マンセルのピンチっぷりは、

傍目から見ていてもけっこうヤバい(笑)。

 

まあ、チンピラの数が5、6人なのに対し、

マンセルは一人で戦うので、

普通に考えたら袋叩き・・・

という一般的な予想に対して、健闘している(まあ普通に考えたら勝てるわけない)と言えるのだが、

 

「え・・・?これ、主人公死ぬんちゃうん・・・?」と、

僕はけっこうドキドキしながら見ていた。

 

この「おーい大丈夫か!オッサン!」

というバスのシーンで、

すでに僕の心は、この映画に鷲掴みにされてしまったのである。

 

チンピラの中の一人が、

実は「マフィアのかなりヤバいヤツ」の弟であったがために、報復に遭うマンセル。

 

マンセルに元々与えられている役割や大義名分はなく、

この映画は、

「たまたま乗ったバスで、たまたまチンピラに絡まれた」ので、

「隠していた能力を発揮せざるを得なかったオッサンが本気を出す」というだけの、

全く深みがない物語なのだが、

はっきり言って、

途中からもう「深み」がどうとか、

人間ドラマとしての描きが薄いとか、

そんなのはどうでもよくなった。

 

単純に「なんかおもろいぞ、これ」という

アクション映画。

 

アクションシーンの演出手段として、

バックに上手く音楽を絡めているのだが、

その点もかなりセンスを感じた。

 

この手の映画はツッコミどころに対して、

「まあ、あり得んけどオモロいやん」と好感を感じるか、

逆にありえなさ過ぎて冷めるかが、

評価の分かれ道だと思うのだが、

僕としては「ツッコむのも含めて楽しめる映画」であった。

 

100点満点で、81点。

けっこう自分の中では、スマッシュヒット。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。