※今回、かなり詳細にクライマックスシーンのネタバレがあります。
未見の方は読まない方がいいです。
「身代わり忠臣蔵」を鑑賞。
100点満点で、70点。
ムロツヨシが吉良上野介と、上野介と瓜二つの上野介の弟・孝証(たかあき)の一人二役を演じる、コメディテイストを交えた忠臣蔵。
個人的にはムロツヨシの出ている作品を今までそんなに見てきたわけでもないのに(もしかしたら、「変態仮面」くらいかもしれない)、
なぜだか「この映画、ムロツヨシがすっごく『ムロツヨシ感』を出してきてるなあ」と思ってしまった(笑)。
不思議な感覚である。
もしかしたら、何かのバラエティ番組で喋っていた時のムロツヨシの印象が僕の脳裏に強烈に残っていて、
演じている姿がどことなく、その時の印象と重なるものがあったからなのかもしれない。
この映画におけるムロツヨシは、
ムロツヨシがムロツヨシたる所以である相当に暑苦しいキャラ全開なので、
合わない人には、それだけで合わないだろうが(ムロツヨシさん、失礼な物言いで本当にすみません)、
僕はそんなムロツヨシの一挙手一投足を、基本的に面白く見れた一人である。
作品としては、おふざけを挟みつつも、「しっかりした忠臣蔵の物語」であり、
最終盤の討ち入り直前のシーンまでは引き込まれるものがあったのだが・・・、
討ち入り後の展開が僕には残念に思えた。
ちょっとあれは、都合が良すぎるかな?と。
コメディ系時代劇という体を取っているせいなのか、
討ち入り後の武士同士の戦いにおいて、
不自然なくらい負傷している人がいないし(明らかに刺される人が一人いるが)、
まして死人など一人も出ないのは、まあ仕方がないか、と割り切るとしても、
永山瑛太演じる大石内蔵助が、飛んできた矢をタイミングよく掴んだのには、
流石に「いやいやいや、それは無理でしょ」となったし、
その後、本物の吉良上野介の死体を偶然的に見つけてしまって、
孝証が一命を取り留める、という展開があまりに都合良すぎで、「なんだかなあ」と思ってしまったし、
その後、上野介の生首でラグビーまがいのパス回しについては、
いくら作り物とは言え、この映画の中では、それまでとはテイストの違う異質な笑いの取り方のように思えて、若干やり過ぎのようにも感じたし、流石にちょっと引いた(笑)。
そもそも本物の上野介の死体を隠している場所を、
林遣都が演じている家臣が孝証に教えていないのもなんだか不自然に思えたし、
僕が思うに、最後をあのような行きあたりばったりの展開にするぐらいなら、
むしろ、最初から孝証が上野介の死体が塩漬けで保管されている事を知っていて、
その死体から首を切り落として、ひと芝居打とう、という段取りを、
あの屋形船での二人きりの打合せですでに決めている展開の方が、僕的にはすっきりしたのだが・・・。
とにかく、討ち入りしてからの一連の流れについては、
あまりに都合が良すぎて面白くない、と僕は感じてしまった。
というわけで、討ち入り前の展開までは85点だったが、討ち入り後で、15点マイナスの70点。
途中までは、「思ってたより面白いな、これ」と思いつつ見ていただけに、惜しい作品でした。