シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【ネタバレあり】「ネクスト・ゴール・ウィンズ」 少し喩えが古いが「勝つと思うな、思えば負けよ(by美空ひばり)」なサッカー物語。

ネクスト・ゴール・ウィンズ」を鑑賞。

100点満点で、70点。


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※今回、ネタバレしてます。未見の方はこの後の本文を読まない方がいいです。

 

 

2001年のサッカーWカップの予選で、
オーストラリア相手に、31−0というサッカー史上に残る記録的得点差で負けた米領サモアが、
10年後のWカップ予選で初勝利を収めるまでの実話を元にした物語である。


この、サッカーで31−0という有り得ないレベルの得点差の試合が発生してしまったというニュースは、
サッカーに全くと言っていいほど詳しくない僕でも(オフサイドもちゃんと説明できないレベルです)、
何となく「そういえば、昔そんな事が報じられていたな」と、かすかながら覚えていた。


長年、阪神タイガースファンである僕は、
2005年の日本シリーズにおいて、
阪神千葉ロッテマリーンズに、
4試合の合計得点が33-4という屈辱的なスコアで敗北しているのをこの目で目撃しているので、
この米領サモアにはシンパシーを感じた次第(笑)。


映画の作りとしては、
過去のスポ根もの作品でも何度も見てきたような演出手法がふんだんに使われており、
良く言えば安定感はあるが、
悪く言えば「スポ根あるある」だらけで、新鮮味が全くと言っていいくらい無い。


まあしかし、このような「ダメ集団が成長して、最後にたくましく勝利する話」は、
なんだかんだで涙腺を刺激するものがあって、低い評価にもなりにくいので、
まあそこそこ感動できたという感じで、
70点という点数をつけさせてもらった。


ただオープニングで、教会の神父役で出演しているタイカ・ワイティティ監督自身が登場して、
この物語について「(実話だけど)ちょっと盛ってるけどね」というコメントを鑑賞者に向けて発するのだが、
あれは正直いらなかった、と個人的に思う。


その前に(その後だったかも?忘れた)黒バックで「実話を元にした物語」と注釈が入った時点で、
「まあ、映画作品として色々と脚色はしてるだろうね」と、
僕らはある程度見越しているのだから、
それに加えてわざわざ「盛ってるけどね」なんて言われると、
「脚色過多に見えるところも大目に見てね」という監督の言い訳みたいに思えてしまい、
別にそんな事言わなくてもいいのになあ、と思ってしまった。


なんか、あれはちょっと本当に余計だったと思う。


ちなみに、映画を見終わった後に、
米領サモアにチーム初勝利を献上してしまったトンガが、
米領サモアとどれくらいの実力差があったのかな?と気になったので調べてみたら、
試合があった2011年11月のFIFAランキングで202位だった。

(↓トンガのランキング推移)
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当時FIFAランキング204位だった米領サモアと、大して変わらん弱さというね(笑)。


個人的感覚としては、別に米領サモアの勝利は大金星でもなんでもなく、
いわば弱いチーム同士のどんぐりの背比べ的な感じで、
もしこの情報が、鑑賞前に僕の頭に入っていたら、
僕は、作品内で米領サモアのメンバー相手にイキり倒しているトンガチームのメンバーに対して、
「いや、お前らもたいがいやろ」とツッコんでいたと思う(笑)。


勝負事においては、「勝利」は喜びそのものであると思うし、
勝利こそが、そこに至るまでの苦悩や困難を美しい思い出に変換するのかもしれないが、
「勝つことだけに囚われる」と、本当に大事なものを見失う。


美しい海に浮かぶのどかな小国の人々に、
とても大事な事を教わった一本でもあった。