シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【ネタバレあり】「あまろっく」 僕はこの映画を見て「社長という存在は、とにかく従業員に給料を毎月ちゃんと払いさえしていれば毎日遊び呆けていても構わない」ということを学びました。 

「あまろっく」を鑑賞。

100点満点で、79点。

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※今回はネタバレありです。未見の方はご注意。

 

兵庫県の尼崎を舞台にした人情劇。

 

笑福亭鶴瓶演じる、妻に先立たれた下町の鉄工所の社長(65)が、中条あやみ演じる20歳の美人女性と再婚し、

江口のりこ演じる39歳無職の社長の一人娘と共に、3人そろって一つ屋根の下で暮らすという、そうそう起こり得ない設定の物語である。

 

これだけ年の離れた結婚といえば、僕の記憶している限りで言うと、

ラサール石井夫妻、加藤茶夫妻、「紀州ドンファン」こと野崎幸助夫妻(←そこ出すか)あたりが思い浮かぶが、

経済力に恵まれた壮年以上の男性が、30歳くらいまでの若い女性と結婚すると、

世間的にはどうしても「決め手はやっぱり・・・、お金よね・・・?」といったヒソヒソ話の対象になるのは免れない面があると思う。

 

予告編を見た限り、この物語がどのような顛末を描いていくのか殆どわからず、

「65歳のジイさんが、20歳の女性と再婚」という時点で、保険金が絡んでくるようなキナ臭い展開もありか?と予想していた節があるのだが、

フタを開けてみれば、そのような不穏なテイストは一切無かった。

 

結婚して間もなく社長が突然死するのだが、そういった展開においても、尼崎の商店街のおばちゃん達の、

「あそこの社長さん、再婚してすぐ亡くなってんて。ほんでな・・・その嫁いうのが、なんと20歳やねんて!ちょっと奥さん、おかしいと思わへん?20歳の小娘と社長が結婚して、社長がすぐ亡くなるて、こんな話あるう?なあなあ奥さん、どない思う〜?あっ!噂をすれば何とやらやで。その嫁が向こうから歩いてきた・・・ヒソヒソ、ヒソヒソ」といった井戸端会議シーンなどは一切無し。

 

とにかく20歳の嫁は、純粋に社長のことを想い、好きになったのだが、不幸にも社長の突然死で、やっと掴んだ幸せは逃げていったのである。

 

ちなみに、夫婦の夜の生活を想起させるシーンもあって、

そこは正直ちょっと、鶴瓶師匠と中条あやみ、という絡みを想像すると、

生理的に「きっつー」と思ってしまいました(笑)。

 

で、社長が死んでからは、

残された嫁と39歳プータロー娘の、2人の共同生活での何だかんだがメインになっていき、波乱万丈の人生物語となっていくのだが、

これがまあ、笑いあり涙ありの怒涛のストーリー展開で、けっこう面白かった。

 

ただ、これはあくまで個人的な印象だが、最後の方になるにつれて、なんだか「見ている人を感動させよう、感動させよう」という演出というか、監督の計算が透けて見える感じがして、少々鼻に付いたところはある。

 

それに、無職になったとは言え、以前は東京の大手企業で超優秀な手腕を発揮していた江口のりこが、

まわりへの事前通告や相談も無しに、勝手に家と工場を売却しようとしたり、

事前に上陸するのが分かっている大型台風への備えを殆どしていない事には、かなりの違和感を感じたりして、そのあたりも自分の中ではマイナスである。

 

しかし最後の最後は、「まあ、ベタっちゃあベタやけど、これが一番良い着地点か」といえるようなオチで、

最終的に「色々思うところはあったけど、良い映画やったな」と思えた一本であった。

 

今回、僕はこの作品に、79点という微妙に辛めな点数をつけさせていただいたが、

それはついつい粗探しをしてしまう僕の捻くれた性格(ほんま性格悪いと思う)の賜物であると思うので、

この映画を大絶賛している多くの方に対しては、何の異論もない。

普通に良作。素敵な映画であると思う。

 

といったところで・・・、この映画みたいに、僕にも中条あやみみたいな子が現れてくれないかな?(現れないです)

 

追記:

この映画を見た翌日に、作品内で工場のベテラン職人を演じていた佐川満男さんが、12日にお亡くなりになられていた、との報道を知りました。

佐川さんのお年でないと出せない、とても味のある温かみのある演技でした。この場をお借りして、謹んでご冥福をお祈りします。