「貴公子」を鑑賞。
100点満点で、79点。
今回もネタバレを含みます。未見の方はご注意くださいませ。
ざっくりなあらすじとしては、
病気で寝たきりの母親の面倒を見ながら、賭けボクシングの選手として貧しい暮らしをしていた母子家庭の青年の元へ、ある日突然、韓国人の弁護士を名乗る男が訪ねて来る。
そしてその男に、「君のお父さんが韓国にいるので、我々と一緒に韓国に行って会ってくれないか?」と言われたので、
何がなんだかよく分からないまま、会いに行こうとしたら、
高価そうなスーツとブランド物に身を包んだ謎のお洒落イケメンに、これまた理由も分からないまま突如襲撃され、
その後、青年が逃げても逃げても、謎のお洒落マンがしつこく追いかけてくる話である。
念の為に言っておくが、これは鬼ごっこの話ではない(笑)。
のっけから謎のイケメンキザ野郎が、その甘いマスクとは裏腹に、反社連中をけっこう残虐なやり口で殺しまくるのだが、
このシーンを見た時、僕は「あ、この映画はもしかして面白いかも」と思った(もちろん「殺しのシーンから始まるので面白い」とか、そういう意味ではない。一つの物語としてここからの展開が楽しめるかも、という意味である)。
青年は何のために父親の元へ連れて行かれる事になったのか?
青年の元に突然現れた謎のイケメンは、一体何者なのか?
これらの疑問の答えは、もちろん物語の後半で明かされる事になり、その真相がわかった時には「はあ、なるほどねえ・・・」と、
一瞬、脚本の秀逸さに感心しそうになったのだが、冷静にそこに至るまでの過程を思い返すと、けっこうツッコみどころが満載であった。
見た人ならわかるだろうが、橋の上から飛び降りるシーンなどは、「いや、この高さは普通に骨折しますから」と誰もが思っただろう(笑)。
イケメンキザ野郎の殺し屋は、ことあるごとに「僕はプロだから」と余裕しゃくしゃくのフレーズを放つ。
自分の仕事に絶対の自信を持ち、肉弾戦にはやたらと強いナルシシズム全開の主人公であるが、
異常なまでのナルシストであるがゆえに、服や靴が汚れたりするのをやたらと嫌がったり、
余裕をこきすぎて、ギリギリ間一髪でピンチを切り抜ける瞬間もあったりして、
このあたりのキャラクター設定が中々面白く感じたというか、
一瞬、「なんか、少年漫画に出てきそうなキャラというか、『ジョジョの奇妙な冒険』にこういうキャラ登場しそう」と、僕は思ってしまったのだが、わかってくれる人はいるだろうか?
とにかく、いとも簡単に人が殺され、血が飛ぶシーンが数多くあるので、合わない人には徹底的に合わない映画なのかもしれないが、
ミステリー的要素を伴ったバイオレンスアクション映画としては、個人的にけっこう楽しめた作品であるし、
誤解を恐れずに言えば、ダークヒーローものともカテゴライズできる作品かもしれない。
ほぼ完全なネタバレになるが、最終的にイケメンヒットマンは死ぬのかと思いきや、「死にませんでした」というオチであり、
明らかに続編を匂わせるような終わり方ではないものの、興行成績が悪くなければ続編を作りたい、というスケベ心も垣間見えるラストシーンであった。
賛否両論あるとは思うが、僕はこのキザなヒットマンのキャラが気に入った。
あのイケメンヒットマンのドタバタを、また違うシナリオで見てみたい気持ちもあるので、続編の制作を密かに期待している(とはいうものの、続編って大概の場合、一作目よりパワーダウンするんだけどな)。