「変な家」を鑑賞。
100点満点で、20点。
※今回は大いにネタバレし、なおかつかなりボロクソに書いています。
未見の方、そして素直にこの映画が良かったと思った方は、今記事を読まない事をおすすめします。
僕は全然知らなかったのだが、今作は、
3年ほど前にえらくバズったYouTube動画(この記事を書いている時点で再生回数1700万回超え)と、
その内容を発展させた小説を映画化した作品らしい。
映画の導入部はまだいい。
再生回数が伸び悩んでいるユーチューバーが、ある日、
間取りの不自然なある一軒家の存在を知り、その謎をネタに動画撮影を開始する・・・という始まりで、
体感で開始2、30分くらいまでは「ほうほう、なるほどなるほど」と見ていたが、
ユーチューバーが謎の自宅侵入者に襲われるあたりから「おや・・・?」となり、
そこから話が進んでいって、「闇深い因習を持つ名家が住む謎の村」の存在が明るみになるという、
横溝正史の作品ですか?と言いたくなる既視感ありありの設定になったあたりから、
「あ、そっちにいったか。これやっぱりアカン(おもろない)ヤツや」と、一気に興ざめ。
まあ、随所においてツッコミどころが満載なのだが、
とにかく言いたくなったのは「いや、君ら、さっさと警察に相談せえ」と。
もう普通に考えて、間宮祥太朗演じるユーチューバーが、
自分の家に不法侵入してきた何者かによって襲われた時点で、
それって警察に被害届を出しますよね?という話だし(ちなみにそのユーチューバーも不動産屋の管理下にあるはずの物件に、動画撮影をするために勝手に侵入している。アカンでしょ)、
斉藤由貴が演じる女性の家に行って、佐藤二朗が演じる妙に勘の良い建築設計士が、
「これは幻覚剤のようですね?」と尋ねる場面でも、
「うん、だからもうそれ普通に犯罪やし、警察案件やから、早く出頭させよ?」とツッコミ不可避である。
こんな事を言ってると、
「そんな何でもかんでも警察警察って言ってたら、映画なんて成り立たねえよ」と僕がツッコまれそうだが、
いや、それならせめて、「警察に行ったけど、『バカげた話だ』と一蹴され、取り合ってくれませんでした」くらいの描写をくれ。
いや、それ以前に埼玉と東京で雑木林の中から、どちらも左手だけが欠けている遺体が見つかった時点で、
限りなく高い確率で同一犯の可能性があるので、
警察は事件発生地点周辺の捜査を進める段階で、やたらと短期間に引っ越しを繰り返した家族に不審を抱くのは自然の流れだろう。
謎の村に到着して「呪いの儀式(厳密に言うと、呪いの解除のための儀式)」を行っているという「名家」も、
「ほんまにこの人らって資産持ってる?」というくらいボロボロの屋敷に住んでいるし、
「薬で村中の人間を洗脳」というのも雑すぎる設定だし、
「松明持ったまま、木造の家の玄関くぐるなよ。速攻で燃え移るぞ。なんで誰も懐中電灯持ってないねん」、
「この婆さん、チェーンソーを起動させて、なおかつ振り回せるくらいの腕力あるんかよ(笑)」などなど、
途中から何もかもがバカバカしく見えてくるほどのツッコミのオンパレード。
最後も全くもって不可解。
必死で登場人物たちを逃がすために協力した斉藤由貴が、
実はまだ呪いの儀式を継続させようと企てているのも、それまでの発言と行動を考えるとあまりに矛盾しているし、
間宮祥太朗が、自宅に謎の空間がある事に、最後の最後に気がついて、そこから虫が湧いているのも意味が分からない。
彼がそこにどれくらいの期間住んでいるのかは分からないが、何で以前からそんな事に気が付かないのかな?と。
しかも窓もない壁にカーテンをかけるという不自然な行動をしたのは、そもそも誰?
住む前からカーテンがあったら、不動産屋さんに「え、ここって何でカーテンがあるんですか?そしてこの壁のシミ、ヤバくないですか?」と疑問をぶつけるだろうし、
間宮祥太朗自身が住みだしてから、自分でカーテンを掛けたのなら、そこの壁が単に汚れているから、という動機に至る前に、
「ここだけなんかおかしくないか?」となって、不動産屋に相談したりしないか?
とにかくこの映画は、「鑑賞者を驚かそう」という仕掛けを、ちゃんとした裏付けもなく安直に配置させすぎのような気がする。
間宮祥太朗の元に、「先日のバラバラ殺人で殺された者の妻です」と、突然現れた女性についても、
そもそもそんな嘘をつく必要性は全くなく、最初から本当の事を打ち明けていても何の支障もないはずなのに、そうしたのは、
その後、二人で空き家に潜入する下りで、ホラー風味の演出により鑑賞者を驚かせてやろうという意図があったからのようにしか思えず、
後からそのシーンを思い返してみると、あざとさすら感じた。
さすが、公開してからすぐの映画.comでの平均評価2.5点は伊達じゃない。
原作小説は未読なので、僕はそちらについては言及できないが、
少なくともこの映画については、変な設定と、変な登場人物に満ち溢れた「変な映画」だったと言わざるを得ない。
伝説のクソ映画、亀梨和也主演の「事故物件 恐い間取り」と双璧を成す、ダメダメ不動産ムービーでした。