「ARGYLLE/アーガイル」を鑑賞。
100点満点で、88点。
※今回も部分的にネタバレがあります。未見の方はご注意。
これは思っていた以上に面白かった。
自分なりに、「こういうオチじゃないか?」と、要所要所で予想しながら見ていたが、そんな素人の予想を良い意味でことごとく裏切ってくれる展開の連続に、シビれ倒してしまった(笑)。
終了してスクリーンを出る際に、友人同士と思われる若い女の子2人組が、
「はあ〜、めっちゃ面白かったよな〜」と、キャッキャと嬉しそうに確認しあっていて、
その光景を見た僕は思わず、
「そうやな!」と声をかけたくなってしまったが、それをしてしまったら最後、
「え?誰?何コイツ?」と、変質者認定確実になってしまうので、もちろん声はかけなかった。
けれど見終わった後、そんな風に誰かと共感し合いたいくらいに楽しませてくれた一本である。
冒頭、カーチェイスでのCGが明らかに安っぽくて、
「大丈夫か・・・?」と心配になったが、
話が進むにつれて、
「なるほど、そうきましたか・・・」と感心する事しきりの脚本であり、
終盤における、スパイ2人組が織り成すカラフルな煙幕銃撃アクションシーンと、
主人公のスケートアクションシーンについては、思わず「んなアホな(笑)」となりつつも、
監督のエンタメ具現化スキルのハイレベルぶりに嘆息するほどの秀逸な出来具合。
映画というものは、現実に起きそうな事から乖離するようなテーマや物語になるほど、この「んなアホな」が増えていく事が不可避の表現媒体であるが、
そんなツッコミに対して、「けどまあ、あれくらいは目をつぶろうか」となるのが、
その映画が良いものか、そうでないものかを分ける一つの基準になる、と僕は思っている(そういう意味では、これの前日に見た「変な家」は、本当にダメダメでしたねえ・・・)。
この「アーガイル」においても、数々ツッコミどころがあるものの、
「けどもう、ここまで楽しませてくれたら十分っすわ。あざっす」と言わせてしまう、妙な説得力を感じてしまったわけである。
ただ、そんな中でも、個人的に一つだけ、どうしても引っかかる部分があったので言わせていただくと、
最終盤における、オルゴールの音色で主人公が操られるシーンなのだが、
あの洗脳って、かつて凄腕エージェントだった主人公を、
スパイとしてのスキルを何も持っていない(というか記憶から消されてしまった)小説家に仕立て上げるための洗脳であって、
あのシーンにおいて、悪い奴らの手先として操るための手段では無いんでないかい?
どうなの?
あそこに至るまでに、僕が何か見落としているのかな?
あそこについては、「あれ?これって逆じゃね?」と思って見ていたのだが、
この作品は、とにかく途中から話が二転三転する(いや、二転三転どころか、五転六転、もしくはそれ以上くらい)ので、
まあもしかすると、僕のほうが何か勘違いしているのかもしれない。
とまあ、そんな細かく気になる要素がありつつも、
最初から最後まで、小気味よいテンポで物語が進むこともあって、ほぼ退屈すること無く楽しめた。
そして全体を通してユーモアに溢れるテイストでありながらも、
チャラけ過ぎず、しかしシリアスになり過ぎず、緊張と緩和のバランスにも非常に長けた「これぞエンタメ」な一本であった。