シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(核心部のネタバレはなし)「幼い依頼人」 キ○ガイマジクズヒステリック女の虐待行為に、総毛立つほどの怒りを覚えた衝撃作。

 

昨日は、自宅で「幼い依頼人」を鑑賞。

 

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2019年の韓国映画

日本公開は2020年。

 

2013年に韓国で実際に起きた

「漆谷(チルゴク)継母児童虐待死亡事件」を基にして作られた本作。

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父子家庭で健気に生活するダビン姉弟のもとに、

ある日、「新しい母親」がやってくる。

 

姉弟と継母が食卓を囲んでいる中、

ダビンの弟ミンジュンは、

まだ箸がうまく扱えないのか、

よく食べ物をテーブルの上に落とし、

それを素手で掴んで食べる癖があった。

 

ミンジュンのその様子が気に食わない継母は、

「弟がしつけられていないのは、姉のお前に責任がある」と、

ダビンに暴行を加える虐待を日常的に行うようになる。

 

ある日、ダビンは児童福祉館(日本で言うところの児童相談所)に自ら赴き、

「母親に小突かれた」と、

職員のユン・ジョンヨプに相談を持ちかける。

 

ジョンヨプは、ダビンの相談内容を

「よくある話」といった感じで、当初は重く受け止めていなかった。

 

元々、ジョンヨプはロースクールを卒業した後、

弁護士として就職する事を目指していたが、

それが叶わず、渋々、児童福祉館で働いていたのである。

 

そんなジョンヨプであったが、

ダビン姉弟の相談の世話と観察を任されていた時に、

ソウルにある大手弁護士事務所への就職が決まる。

 

ジョンヨプにとっては、願ったり叶ったりのキャリアのスタートであったが、

ある日、ダビンが、鼓膜が破れ入院した、という一報を聞く。

 

ひとまず病院に駆けつけたジョンヨプであったが、

せっかく掴んだ仕事を棒に振りたくなく、

ダビンの「ソウルから戻ってきてほしい」という言葉に対して、

首を縦に振ることはなかった。

 

それからしばらくして、

ジョンヨプに、ダビンの担任教師から一本の電話が入る。

 

その内容は、ジョンヨプに姉弟の保護観察を途中放棄したことを後悔させる、

衝撃的なものであった・・・という、あらすじ。

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とにかく、痛ましい物語である。

 

中盤からの展開に、

僕は、かなり激しい怒りと悲しみの感情を覚え、

見終わった後もその余韻がなかなか消えず、

鑑賞後、就寝しようと、ほどなくして布団に入ったが、

映画のシーンがフラッシュバックして、

なかなか眠りにつくことができなかった。

 

それくらい目を覆いたくたるような痛々しいショッキングなシーンと、

クライマックスの裁判でのシーンに、

激しく心を揺さぶられ、

後半は、ほぼずっと泣きながら画面を見つめていた。

 

児童虐待家庭内暴力は、

当事者にとってまさに「この世の地獄」である。

 

ダビンとミンジュンの継母となったジスクも、

ダビンの父親も、

自分の利益の事しか考えていない正真正銘の「クズ」であり、

弁護士として、本来冷静に務めなければならないと言えるジョンヨプが、

たまりかねて2人に言い放った「それでも人間か!」と、

感情を剥き出しにして叫ぶ姿には、

究極的にその純度が研ぎ澄まされたかのような共感を覚える。

 

はっきり言って、

物語の結末としても後味は悪く、

ただただ、悲しさと悔しさが消化されぬまま映画は終了する。

 

実話を基にした話でありながら、

一本の商業映画作品として、

観客の興味を逸らさせないためのさまざまな演出と脚色が凝らされているのは、

劇中にいくつか見て取れるし、

特にクライマックスの証拠提出の下りは、

話の展開として「出来過ぎ」のような気もする(あの証拠動画の件は、さすがに「映画用」と思う)。

 

が、しかし、

そんなことさえ些末に思えるほどに、

現代社会の闇中の闇をストレートに描き切り、

問題提起を促すこの作品には、

高い評価がつけられて然るべきだろう。

 

とにかく、ダビンとミンジュンを演じる子たちの演技力が凄い。

凄すぎる。

 

この子たちの演技に「迫真」などという言葉を与えてしまうと、

逆に陳腐な表現に思えるほどの凄さである。

 

役が憑依してしまって、

撮影中または撮影後、精神的に悪い影響が出なかったのかな?

と、こちらが心配になるくらいのリアリティを感じさせた演技である。

 

当然のことながら、継母ジスクを演じたユソンという女優さんの演技も凄い。

 

よく、ある作品の中で「悪者」を演じた俳優さんが、

プライベートでも世間一般の人々からバッシングや誹謗中傷を受けたりすることがある、

という話を聞くが、

このユソンも、

そのような「的外れな」中傷を受けたりしていないか、心配になったほどだ。

 

この作品の僕の評価は、

100点満点で、90点。

 

それにしても、驚いたのがこの映画で描かれている韓国のマスメディアの様子。

 

核心部ではないものの、ほんの少しネタバレになってしまい、申し訳ないのだが、

殺害容疑で逮捕された10歳の女の子がパトカーに乗り込む時に、

カメラと記者が囲んで、マイクを向けてインタビューするって、

ちょっと日本じゃ考えられない。

 

あれって映画における過剰演出ではなく、

(2022年現在の今はどうか知らないが)韓国では実際にあんな感じなのだろうか?

 

韓国で生活した事がないので、そのあたりは全くわからないが、

あの部分に関しては、韓国のマスメディアは日本以上だな、と思った。

 

まあ、日本も大概だけど。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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