シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」 (極力ネタバレ回避) スケボー持っててよかったな。持ってなかったらどうしてた?

 

7月5日、自宅で「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を鑑賞。

 

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日本公開は2020年。

製作国は、フランス・ベルギー。

 

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世界的ベストセラー小説「デダリュス」の待望の完結編の翻訳作業のために集められた、

9人(9カ国)の翻訳家たち。

 

彼らは、フランスの人里離れた土地にある屋敷の地下室に隔離されることになる。

 

スマホや私用のパソコンは、入館前に全て没収。

翻訳作業が終わるまでは外出も許されない。

 

このある意味、非人道的とも言える措置は、

原稿の流出を恐れる出版元が企てたものであり、

その方策は功を奏すると思われたが、

不幸にも、

原稿は何者かによって外部に流出し、

金銭を要求する犯行声明文までもが、

出版元に届いてしまう。

 

オリジナルの原稿は、

屋敷の中にしか存在しないはずなので、

「その中にいる誰か」が犯人であることは間違いない。

 

出版元のオーナーに詰め寄られた翻訳家たちは、

次第にお互いを怪しむようになり、

やがてそれは、狂気じみた「犯人探し」へと発展していくのであった・・・という、あらすじ。

 

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この作品は、賛否が分かれると思うし、

今回、出来るだけネタバレなしでいくとなると、

非常にレビューが書きにくい。

 

というのも、

本作は、後半から終盤にかけて、

意表を突く展開が待っているからである(「意表を突く展開がある」と言う事自体、ある意味ネタバレのような気がするが・・・その点はご容赦ください)。

 

本作は一言で言うと、

「誰が犯人なのか?」「この事件の真相は?」という命題に基づいた

「謎解きミステリー」なのだが、

全ての真相が明らかになった時に、

僕の中で、

「なるほどなあ〜」という感嘆の思いと、

「けど、ちょっとあれはどうなの?」という、

2つの感想が同時に湧き起こった。

 

個人的には、

先の展開がどうなっていくのか興味津々で、

途中で飽きることなく楽しめたので、

「最後まで興味を持続させる」という点においては、

なかなか優秀な作品ではないかと思う。

 

「なぜ原稿が流出してしまったのか?」

に対する答えは、

多くの鑑賞者の心理、推理の裏をつくであろう、

まさに「ああ!そっちだったか!」というようなカラクリで、

僕もまんまと騙されたというか、

一杯食わされた感じだ(もちろん、途中で「先が読めた」という人もいるだろう)。

 

この感嘆の念を生じさせてくれた点については、

本作を高く評価したい。

 

しかし、映画を見終えた後、

頭の中で数々のシーンを振り返ってみると、

本作の中心人物が、

「やたらと回りくどい計画を立てた」ことに、いまいち共感できないし、

その計画において「犠牲者を出しすぎた」ことも引っかかるし、

けど「最終的に何もかも上手くいきすぎている」ことにも、

かなりの違和感というか、

色々とツッコミたくなる気持ちが生じるのだ。

 

映画を見ている最中はついつい引き込まれて見ていた、

終盤のハラハラドキドキのシーンも、

後から冷静に考えると、

「あんなもん、失敗のリスク高すぎやろ。

そこまでする必要あるか?」と思ってしまったし、

中心人物の企てによって、

流れ弾のような感じで犠牲になった人は、

とにかく不憫である。

 

諸悪の根源的な人物に対して、

鉄槌を下してやろうとする気持ちはわかるが、

その代償も大きかったので、

なんだか鑑賞後に、

スッキリしないというか、

後味の悪さみたいなものを感じたわけである。

 

まあこのあたりは、

別に中心人物の事を、善人のように描こうとしている意図は無いように思うので、

この計画の良し悪しの判断は、

鑑賞者それぞれの評価に委ねられるとは思うのだが、

僕個人は何だかスッキリしないものを感じた。

 

この作品に対する僕の評価は、

100点満点で、76点。

 

繰り返すが、

物語の最後まで、自分を引き込ませてくれた点については、かなり評価したい。

 

と同時に、本作の目玉と言える

「驚きの展開」が、

後から冷静になって考えたら、

「リスキーかつ、穴だらけの計画だったよな」というものだったので、

そこは大きく減点対象。

 

しかし、個人的には、

「どんでん返し」でお馴染みの、

M・ナイト・シャマラン監督のいくつかの作品よりかは全然良かった。

 

シャマラン監督の作品は、

最近だと「オールド」なんて酷かったなあ。

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あれは、最後のオチがもう、

「は?それで客が満足するとでも?」だった。

 

(「オールド」のレビューはこちら↓)

https://shingosan.hateblo.jp/entry/2021/08/30/235440

 

今回の「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」は、

あともう少し、スマートな計画だったら、

僕としては「お見事!」となったかもしれない、

ちょっぴり惜しい作品である。

 

ということで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。