シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「悪人伝」 サイボーグ級に頑丈なヤクザ

 

昨日は自宅で、映画「悪人伝」を鑑賞。

 

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2020年公開の韓国映画

 

ヤクザの親分がある晩、帰宅途中に何者かに刺されるのだが、加害者との格闘の末に、なんとか一命は取り留める。

 

親分を刺した男は、実は連続殺人犯で、

警察内の「はみ出し者」、チョン刑事が追っている男だった。

 

この物語は、そんなはみ出し者で、組織の方針から逸脱した行動を取る若き刑事と、

自分を刺した男への復讐を目論むヤクザの親分が、

お互いの利害関係が一致し、協力して連続殺人犯を捕まえに行くという、

かなり無茶なお話である。

 

どこかで

「警察と暴力団は、裏の部分では持ちつ持たれつの関係で、表に出ない水面下では、ひっそりと情報のやり取りをしている・・・」

みたいな話を聞いた事がある人は少なくないと思うが、

この映画における警察と暴力団の関係は、

そんな「ひっそり」としたものではない。

 

最初の方こそ、刑事と2人の同僚、ヤクザの親分とその部下数名で、極秘裏に独自の捜査を進めていたのだが、

途中からはもう、警察署内において、刑事達とヤクザ達の合同捜査チームが一緒になって、

作戦の説明を、ホワイトボードを前に聞いているという、あからさまぶりである(笑)。

 

このシーンはさすがにちょっと笑ってしまったし、

どちらのチームもやたらと血気盛んな奴らばかりで、

「さあ、これから殺人犯捕まえるぞ!」という事で力を合わせないといけないのに、

ちょっとした言葉のやりとりで殴り合いになって、仲間割れを起こしかけたりなんかもして、

基本的に全編にわたって、もうなんだかツッコミどころ満載なのである。

 

致命的なネタバレになってしまうので、詳しくは書けないが、

極め付けのツッコミどころが終盤に出てくる。

 

今日のサブタイトルにつけた「サイボーグ級の・・・」という文言がヒントになっているのだが、

このシーンを見た時、

僕は「えええええーーーー?!マジかよ?!(笑)」と、

他に誰もいない自宅の部屋で思いっきり叫んでしまった。

 

心の中ではなく、本当に声に出して

「いやいやいやいや!!!

それはさすがにやりすぎやろ〜?!」と、

独り言でツッコミをしてしまった。

 

(ちなみに、この「ツッコミ」という言葉自体が若干ヒントになっているが、まあネタバレになるので、これ以上は言わないでおきます)

 

ここは個人的に、笑えるという意味でかなり面白かった。

 

これは僕の勝手な妄想だが、

もしかしてこの映画の現場は、俳優、スタッフみんな、かなり「イイ感じのノリと雰囲気」で撮影してたんじゃないか?

と思ってしまった。

 

僕の目には、この映画はもう完全に

「作り手が確信犯的に、バカ映画として自覚して作っているバカ映画」の領域に入っていて、

大体こういう映画のメイキングシーンは、

和気あいあいとしたものに違いない、という予想(というか、僕の願望)をしてしまう。

 

劇中、とにかくやたらと人を殴るシーンが出てくるのだが、

ジャッキー・チェンの映画みたいに、久しぶりに「NGシーン」が見たい、と思ってしまった。

 

映画の中で、無鉄砲な刑事や屈強なヤクザ、連続殺人犯を演じている俳優さん達が、

セリフを噛んでしまって

「あ、ごめん(テヘペロ)」となっているNGや、

殴っている「フリ」で演技しないといけないのに、本当にちょっと当たってしまって、

「あ、ごめん!大丈夫?!(あたふた)」

「大丈夫大丈夫(ドンマイドンマイ)」的な、

見ている側もちょっとほっこりするようなNGシーン集を、

なんだか見てみたいという気持ちが、エンドロールが流れている時に沸き起こった。

 

まあとにかく、この映画はマ・ドンソク演じるヤクザの親分に尽きる。

 

とにかくやたらと強くて、頑丈なのである。

 

「さすがヤクザの親分。これくらい頑丈でないと、やっていけないよね!」というレベルの頑丈さではない。

 

「あんた本当に人間かよ」レベルである。

 

その頑強さからほとばしる「なんだ、この異常な存在感は?」

という、親分の強力なオーラは、

マ・ドンソクという俳優さんの持つ圧倒的存在感が、そのまま役に転写しているから、とも言えるかもしれない。

 

マ・ドンソクさんは、最近僕がレビューしたマーベルの映画、

「エターナルズ」のヒーローチームの一員の中でも、かなりの存在感を放っていたかと思えば、

白頭山大噴火」では、大学教授というインテリな役などもこなし、

少なくとも僕の目には、今回のヤクザも含めて、どんな役に対しても違和感を感じず、スッと役柄にハマっていける俳優、という印象だ。

 

簡潔に言って「魅力的な俳優さん」である。

 

ちょっと僕はファンになってしまった。

 

映画の評価としては、

先ほども述べた、途中のあの(僕的)衝撃シーンも含めて、

「これはあくまでエンターテイメント映画なのだ」と割り切って見れば、

もう数々のツッコミどころも大目に見過ごせるという感じである。

 

今回の点数は100点満点中、80点といったところだろうか。

 

ちなみに、「悪人伝」というタイトルが、ちょっと弱いというか、映画の内容にあまりフィットしていないような気はする。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。