「クワイエット・プレイス DAY1」を鑑賞。
100点満点で、49点。
※今回はネタバレを含みます。未見の方はご注意を。
今作は、「クワイエット・プレイス」シリーズの第3作目で、
2018年に公開された「クワイエット・プレイス」の前日譚にあたる内容らしいが、
僕は1作目も2作目も未見。
「音を立てたら襲ってくる謎の生物」の襲来から逃げ延びようとする人々の様子を描いたモンスター系パニックホラー映画である。
昔、「クローバーフィールド/HAKAISHA」という映画を見たのだが、
今作は、その「クローバーフィールド」とかなり似通った設定に思えた。
ニューヨークの街に、ある日突然、何の前触れもなく正体不明のモンスターが現れるのもクローバーフィールド的だし、
そのモンスター達が、クローバーフィールドにおいて暴れまわっていたモンスターと姿かたちが酷似しているのも、
クローバーフィールドを思い起こさせるものがあった(手足が長く、バイオハザードのリッカーみたいな感じ)。
で、最後まで、人間を襲ってくる奴らが何者かは分からないし、
最終的には切ない結末が待っているのだが(このあたりもクローバーフィールド的)、
まあやっぱり何というか・・・・、
僕みたいな天邪鬼野郎は、この不条理な物語を眺めていると、
要所要所でツッコミを入れざるを得なかったわけである。
まず最初に、空(宇宙)から降ってくるものがモンスター自体なのか、
それともモンスターを乗せている「何か」なのかは、
はっきりとは分からないのだが、
隕石のようなものが多数落ちて来る時点で、
「1個や2個ならまだしも、こんな大量に宇宙から何かが落ちて来るんなら、
もう割と前から、NASAか米軍が地球に何かが接近しとるって情報を掴んどるやろ」と思ってしまった。
それから「奴らは音を立てると襲ってくる」ことについてだが、
これが、意外にも早く、米軍含めニューヨークの住民達に知れ渡っているのも、
不思議と言えば不思議なのである。
あの最初の阿鼻叫喚の中で、いったい誰がどの時点で、
「こいつらは音だけに反応する」と気づけるのだろうか?
襲来してからあれだけの短時間の間に、
音が止むことはまず無いと推測されるので、普通に考えれば、モンスターが襲来して数日間も立たない内に人類は絶滅するだろう。
まあしかし、そんな事になっては作品にならないので(笑)、
そこは強引に、「軍も含めてなぜかみんな、ある時点で、『音を立てなければ襲ってこない』ことを知った」ということになっている。
ほんでもって、僕が見ていて一番理解できなかったのが、主人公の女性が飼っている猫。
「いや、音を立てないようにしたいんだったら、まずその猫を手放せよ」と、
見ながら何度も何度も思った(笑)。
人間なら自分の意志で黙る事もできるが、
獣にそんな知性などあるわけが無く、
コイツ(猫)がモンスターから逃げる上での一番の障壁になるのは間違いないはずなのに、
まわりの誰も「猫はダメだ。いつ鳴くかわからない」と言わないし、
またこの猫が、劇中一度も鳴かないのである。
猫好きの人なら、「この子はお利口さん。だから鳴かない」などと言うかもしれないが、
いやいや、そんな生やさしいフレーズでお茶を濁しにかかるのは勘弁である。
あんな状況で、鳴かない動物などいるもんか(笑)。
あとは、モンスターから逃げている時に、
機転を利かせて、そこら辺に転がっていたコンクリートの破片を車の窓ガラスに投げつけ、車の防犯ブザーを鳴らし、
そこにモンスターの意識を集中させたりする場面が2回ほど出てくるのだが、
これなどについては、
「いやだからさ。みんなその方法をもっと有効活用しろよ」と言いたくなったし、
人が普通に歩いている靴の音には、モンスターがそんなに反応しないのも、
ご都合主義というか、「どこまでの音が奴らの琴線に触れるねん?」と、
どことなく基準が曖昧な感じがして、終始モヤモヤさせられるものがあった。
最初の方で、階段を駆け上がってドタバタと音を立ててしまっているはずなのに、
そこはモンスターが襲って来なかったりで、なんだろな?という感じ。
とまあ、終始なんだかんだとツッコミを入れながら見ていたのだが、
極めつけに面白かったのは(いや面白くないが)、
人々が避難するための船が出港した時に、
その船の汽笛を「ブオーッ!」と、ここぞとばかりに鳴らした事である。
いや、だからさ・・・(今日はこのフレーズが多い)、
鳴らすなよと(笑)。
どうもモンスターは泳げないらしく、水が苦手のようで、
「まあもう船にも乗ったし、安心安心。もうね、アイツら、ここまで来れんよね!」みたいな感じだから鳴らしたのだとは思うのだが、
いやいや、最後まで細心の注意は払えよと(笑)。
モンスターはビルの壁も這い回り、なおかつとんでもない跳躍力を誇るので、
もしかしたら高いビルに登って、岸から離れた船までジャンプして襲ってくる可能性も十分あったはず。
それなのに、まださほど岸壁から離れていないように見えるくらいの距離感で、
「ブオーッ!!」なのだから、
いくら何でも気が緩みすぎではないか?
クライマックスにきての、あの「ブオーッ」は、
まさに苦笑しか出ないというか、僕は心の中で「ちょ、おまえら・・・!」と、
盛大にツッコませていただいた。
上映時間は1時間10分と、そんなに長くはなく、
ダラダラしたシーンもかなり少ないし、
沢山ツッコミどころもあったので(笑)、途中で退屈はしなかったが、
こういう作品は、突然のタイミングでのモンスター出現や、突然の効果音などの演出で、
鑑賞者を驚かせることに最重点を置いた、いわゆる「お化け屋敷ムービー」である。
何か心を芯から揺さぶるようなものは、何も無い。
今回はなぜか奮発してIMAXシアターで見たのだが、
全然普通のスクリーンで見ても良かったと思った。
褒めるところがあるとすれば、ラストシーンは好きである。
絶望と切なさしかない終わり方ではあるが、
全てを受け入れた人間の覚悟を上手く表現できていたし(あの女優さんの演技力は素晴らしいと思った)、
彼女の後ろに、モンスターが「ドンッ」と着地する構図も良い。
最後に関しては、個人的に拍手。