シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【ネタバレあり】「バジーノイズ」 若気の至りという言葉では看過できないレベルのトンデモオープニングで、僕的「今年最もイライラした映画」の最有力候補に。

「バジーノイズ」を鑑賞。

100点満点で、21点。


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※今回もネタバレがあります。未見の方はご注意。そして点数が示す通り、今回は酷評です。なるべく過激な物言いを控えているつもりですが、気分を害される方もいるかもしれないので、その点をご理解の上、御閲読くださいませ。

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「いやいやいやいや、この女性、めっちゃ怖いんですけど。そんでもって、これって普通に犯罪ですやん?」という、

悪い方の意味で衝撃的なオープニングから始まる本作。

 

どういう事かと云うと、

主人公の男性は、若者としては珍しく「集合住宅の管理人」という職業で生計を立てながら、

一人でパソコンを用いた作曲活動(いわゆる「DTM」というやつ)に勤しんでいたのだが、

それを上の階(確か上の階だったと記憶してる。まあ別に僕の記憶が間違ってても、ここでは大した問題ではない)で聴いていた一人暮らしの同年代の若い女性(この時点で、男性とはただの顔見知り程度の関係性)が、

夜中の3時半過ぎに彼の部屋のインタホンを突然鳴らし(この時点でヤバすぎる)、

「彼氏にフラレた。でも、あなたの曲を聴いてたら心が落ち着くから聴かせて」と、まずは迫ってくるのである(怖い怖い怖い怖い)。

 

で、彼はこれまでにも自作曲を部屋で大音量で流し、他の住人から騒音被害の苦情を受けており(君、管理人やぞ。ダメだろ)、

それは流石に彼自身も「ヤバいな」とは自覚はしているので、

「突撃!隣の晩ごはん」でブイブイ言わせてた頃の全盛期のヨネスケばりのインタホン凸女に向かって、

「次やっちゃったら、(この部屋から)出て行かなきゃならないんで・・・」と説得し、

いったん女は自室に帰るのだが(つうか、ここのやり取りも相当おかしい。常識的に考えて、友達でも何でもないヤツに夜中にこんな理由でインタホンを鳴らされたら、

普通、「今何時だと思ってるんですか?てか、あなた何なんですか?ちょっと怖いんですけど。迷惑なんで」と返すものだが・・・。

あ、迷惑といえば、男も大音量の音楽で住人から苦情受けてるから、だったらコイツも大概やんって・・・、あーなんかもうようわからん)、

そこからの女の行動がとんでもない。

 

まず男は、女が自室に戻った後しばらくして、

おそらく「フラレたのか。しゃあねえな。聴かせてやるよ」という慈悲心のようなものが湧き起こってしまったのだろうか、

自作曲を、あろうことか女の部屋にまで届くほどの大音量で演奏し始めるのである(おいおい)。

 

男は近所迷惑も何のその、自分の演奏と曲の世界にどっぷり浸ってしまい、

悦に入った面持ちで音楽に身を委ねていたのだが(僕が隣に住んでいたら、迷わず壁ドンからのインタホン連打ですわ。隣が反社っぽいヤツじゃない限り)、

その刹那を切り裂くように、突然、男の部屋に鋭い衝撃が切り込まれる。

 

 

一体、何が起こったのか?

 

 

・・・ベランダの窓ガラスが割れました。

 

 

は?なんで?

 

 

女さんがフライパンでベランダの窓ガラスをぶち破りました・・・。

 

え?え?ちょっと待って?

女さん、まさか・・・・。

 

ええ、多分ベランダの柵を乗り越えて男の部屋にムーブしてきたかと・・・。

 

 

この女、ジョニー大倉か?(←この喩えがわかる人、オッサンの中でもかなりの芸能ネタ好きでしょう。知らない人は「ジョニー大倉 ベランダ」とでもググってみて。芸能人史上初の「ベランダの柵を乗り越えて懸垂したら、そのまま力尽きて地面に落下。けど死ななかった」という伝説をあなたは知ることになる。ちなみに僕はジョニー大倉のことを「元祖窪塚洋介」と呼んでいる)

 

と、さっきから「お前は誰とやり取りしとるんだ?」という文章で申し訳ないが、

とにかく「はあ?何しとんコイツ(怒)?こんなもん普通に器物損壊罪アンド住居侵入罪やんけ。ガラスの破片で男に怪我負わせたら、過失傷害罪やん」と、

自分が同じ事をされた時のことを想像すると、驚きと恐怖で開いた口が塞がらないというか何というか。

 

もう、このバッドすぎるオープニングの時点で、「あ、席立とうかな?」と一瞬思ったのだが、

まあまあまあ、まだ始まってから体感で十数分も経っていないので、そこは待てと。

 

もうちょい様子を見てみようと。

 

で、その後、男は当然のごとく部屋を退去させられ、寝泊まりする当てが無くなり、

普通ならば「いや、どうしてくれんのよマジで?」と、女に対して怒り心頭であると思われるのだが、

女はユルい関西弁で「ゴメンな〜」という軽い謝罪で済ませ、男も別にそれに対して特に憤っているわけでもない様子で、

僕はこの時点でいよいよ「あ、これ俺には合わんヤツや」と、そこで悟ったわけである。

 

そこからは、この作品に対する嫌悪感バイアスが多少なりとも掛かってしまったせいもあるかもしれないが、

そこから出てくる登場人物たちに対しては、ほとんど共感や好感を抱けなくなってしまい、

中々に苦痛な2時間を過ごす羽目に陥るのであった。

 

特に音楽プロデューサー?ディレクター?みたいな、いかにも業界人なカッコつけキザ野郎と、

「この人、多分バレると捕まる類のおクスリをやってそうですね」と勘ぐってしまう、

ダウナー系オーラ撒き散らしで、言動にかなり難ありのレコーディングエンジニアの一挙手一投足には、

非常に短い出演時間であるものの、ことごとくこちらをイラッとさせるものがあった(ま、それは作品における意図したキャラ付けであることをもちろん理解はしているが、それにしても「あ~なんかこういう連中、一番嫌い」と思いながら見ていたなあ)。

 

ストーリー全体としても、新鮮味や斬新な切り口、意外性のある展開は見られず(窓ガラスのぶち破りだけは意外性十分)、

全体を通して、「なんか、どこかで見たような音楽業界あるあるのストーリーやな」と感じる以上の何かを、僕はついぞ見つけることができなかった。

 

クライマックスにおける突撃にしても、

客観的に見ているこちらとしては、思わずため息をついてしまうような主人公たちの自分勝手な論理のゴリ押しであり、

あの一連のシーンについてもツッコミ要素しかない。

 

「あの・・・、これって主人公の男の子は、おそらく間違いなくレーベルと交わした契約に基づいて仕事してるはずですよね。で、そのまさに仕事中の現場に突然、事前連絡無しでズカズカ乗り込んできたバンド仲間たちが、

『これがあんたの本当にやりたい事なんか?出てきてくれ!』とか言うて、作業してる部屋のドアを、近くにあった椅子でもって、あの時の窓ガラスよろしく、またもやブチ破ろうとしますと。

・・・・この器物損壊女、一体お前はなんやねん!!!!」と、

僕の怒りもここに来てついにクライマックスなのであった(笑)。

 

もうあとは、この場面をピークとして、

以前のシーンにおいても、とにかく色んな描写がペラいし、浅いし、感情に振り回されすぎだし、いやぁ、なんか本当に見続けるのがしんどかったなあ・・・。

 

 

結果的に、主役の男の子は、デビューの決まったウブな新人アーティストのための作曲をほっぽらかして職場放棄し、かつての仲間たちに合流するのだが(笑)、

その一部始終に関わっていた、あのキザヤロー(カタカナにしたらキダタローみたい。あ、どうでもいい事をスイマセン)も、

「お前ら、仕事の途中だぞ!!!作曲の追い込み中だぞ!!今、お前らは自分が何をしてるのか、わかってるのか!!!」とは一喝せずに、

職場放棄野郎とその仲間たちを、

「若えな、あいつら。俺もあんなガムシャラな頃があったっけな・・・」みたいな表情で、

一瞬フッと「グッドラック・・・!」みたいな含み笑いをするもんだから、

もう何というか、クサい!クサい!鼻が曲がるほどクセえわ!って感じで、とにかく見てられなかった。

 

・・・とまあ、今回は腐しまくりのレビューになってしまったが、

もしかして原作のコミックで読むなら、こういった青臭い香りの作品も「まあ漫画やしな」とツッコミつつ、ある程度は許容できてしまうのかもしれない(わからんけどね)。

 

けれど実写化して実際の人間が演じるとなると、これはもうダメでしたね。

 

全くダメだった。

 

それはもう振り返って見れば、あの最初のベランダのガラスぶち破りの時点で決定的であった。

 

(↓ここで「正欲」という、今回レビューした作品とは別の作品のネタバレが入ります。未見の方はご注意)

 

 

そうそう、ガラスのぶち破りと言えば、

いつだかに見た新垣結衣主演の「正欲」という映画内でも、

新垣結衣演じる女性が、磯村勇斗演じる男性の自宅の窓ガラスに植木鉢を放り込んでぶち割るシーンがあったが、

あれも磯村勇斗は、「あれは、○○さん(新垣結衣)だったのかあ」で終わりやもんね。

 

あの作品については、それまでに築かれた二人の関係性というか、二人だけの暗黙の了解もあると思うので、

僕も「そこはもうちょいマジに怒れよ」とまでは思わないが、

けどなんで「な〜んだ、犯人は君だったのか〜(かっぱえびせんポリポリ←実際はかっぱえびせんは食べてません。イメージね)」みたいなテンションで済ますん?(笑)。

 

なんだかなあ、という感じである。

 

ま、「こうなったら、普通こうなりますよね」から逸脱するからこそ「映画」であり「フィクション」なんだろうけど、でもやっぱり何というか「ファンタジー的な作品ならまだしも、現実世界に起こりそうな題材の作品なら、それはちょっとおかしくないですか?」と、どうしても言いたくなるシーンがある。

 

最後に、それにしても、あの作曲を放棄された新人バンドの男子たちは可哀想すぎやしないか(笑)。

「おたくら、最終的には好きにしてくれてもいいですけど、せめて今やってる僕らの曲だけは最後まで完成させてからにしてくれません?(泣)」という感じだろう。

 

まことに音楽の世界は厳しいっすね(適当)。