シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

【詳細なネタバレなし】「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」 当選宝くじへの執着心は、イデオロギーの壁を超える。

「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」を鑑賞。


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韓国産のコメディ映画である。


やたらと長くて説明的なタイトルの邦題だが、
韓国での原題は短く、「6/45」。


6/45とは、韓国の宝くじ(ロト)の名称のようで、
文字通り45個の数字の中から6個の数字を選び、
抽選で選ばれた数字と完全一致すると、
1等賞金が当たるというシステムである。


このクジの1枚が、後に当選くじになる事など誰にも知られぬまま、
韓国の下町の居酒屋から、風に乗って飛び続けた後、
韓国と北朝鮮の国境線までたどり着き、
韓国側の兵士の一人が、それを拾う事になる。

彼は自分の拾ったクジが当選している事を知り有頂天になるのだが、
彼自身の凡ミスにより、あろうことか、クジは再び風に乗って飛ばされ、
最終的に拾い上げたのは、韓国と敵対する北朝鮮の兵士だった・・・・ という、あらすじである。


予備知識もほぼなく、何の期待もせずに見に行ったのだが、
これがかなり面白かった。


まず設定からして面白いし、
脚本もかなり優秀。


物語のテンポ感も非常に軽快で、
途中の方では、僕を含めた客のほとんどが、
笑い声を抑えるのをこらえきれずに笑ってしまう場面があったりで、
大いに楽しませてもらった。


「これ、韓国語を理解していたら、もっと面白く見れただろうな」という、
言葉遣いの可笑しみをネタにしたパートもあったが、
字幕担当と監修の方の腕もあってか、
日本語字幕でも、かなり面白さは伝えきれていると思う(ちなみに字幕監修は、劇団「大人計画」主宰の松尾スズキさん)。


最初の方にあった、ドイツ語がキーワードになる、ちょっとした伏線回収もお見事だったし(ここが一番ウケていたと思う)、
なんと言ってもこの映画に対して、
僕が好感を抱いたのは、
「北と南の平和友好を願う」と受け取れるメッセージで完結したことだ。


最終盤における決着の付け方が、
ちょっと雑に感じるものがあったので、
そのあたりは減点材料であるが、
作品全体としては、韓国映画の実力をコメディというジャンルでも見せつけられた感がある。


おそらく日本では、数字的なヒットはしないんだろうけど、個人的には紛れもなく快作。


100点満点で、83点。