シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「ロッキー4/炎の友情」(ネタバレあり) 約30年ぶりに見た「ロッキー4/炎の友情」。今あらためて見たら、内容スカスカ(笑)。

 

8月19日、自宅で「ロッキー4/炎の友情」を鑑賞。

 

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1985年、アメリカ製作。

日本公開は1986年。

 

今回見た作品は、

スタローンが再編集し、

現在、映画館で上映中の「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」ではなく、

1985年に製作、公開されたオリジナルバージョンの方である。

 

8月17日の「ロッキー」初代作のレビュー記事でも書いたとおり、

僕はこの「ロッキー4/炎の友情」を、

中学生か、高校生の時だか(はっきりした時期は覚えていない)に見たことがあり、

ソ連の最先端科学トレーニングで鍛え上げられたイワン・ドラゴと、

ロシアの雪山にこもって、自分の感性の赴くままに、

手作り感満載のトレーニングを実行するロッキー・バルボアとの対比が、

非常に印象的な一本であった。

 

物語の大筋は、

ソ連がプロボクシング界に本格的に進出することを表明し、

プロとしてデビューするドラゴの最初の相手に、

かつてロッキーと死闘を繰り広げたライバルであり、

ロッキーの盟友でもあるアポロが、

自ら名乗りを上げる。

 

5年もリングから遠ざかっているアポロに対して、

ロッキーは「やめておいた方がいい」と試合の辞退を勧めるが、

アポロは聞く耳を持たず。

 

エキシビジョンマッチという名目ではあったが、

久しぶりにリングに上がることに、

アポロは、半ば興奮気味であった。

 

そして迎えた試合当日、悲劇が起きる。

 

アポロは、結果的にドラゴにKO負けを喫したのだが、

ドラゴの人間離れしたパンチ力で、

命までも奪われてしまうのである。

 

悲しみに暮れるロッキーは、

自ら、完全アウェーであるロシアの地に赴き、

アポロの敵討ちため、ドラゴと戦う決意を固める」

・・・・というもの。

 

さて今回、

「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」との比較のために、

約30数年ぶりに、この「ロッキー4/炎の友情」をあらためて見たわけであるが、

映画作品としては、

かなりペラペラで、スカスカな内容である事が判明。

 

まずダメなのが、ロッキーの家で動き回る

「お手伝いロボット」の存在。

 

「あれ?こんなヤツ、いたっけ?」と、

僕もこのロボット君の存在を完全に忘れていたが、

はっきり言って、物語の構成上、このロボットは全くもって必要がない。

 

大して面白いことを言うわけでもなく、

見た目もあまり可愛くない。

 

むしろ、夜帰宅した際に、

照明の付いていない暗闇の部屋で、

このロボットの光る目と、目が合ってしまったら、

さぞかし恐怖を覚えることだろう。

 

本当にこのロボットを、

どういう理由でもって、今作に出演させることにしたのだろうか?

 

ロボットを出演させることで、

ロボットを製作した会社から、宣伝費として、

映画作りのための資金が得られたからだろうか?

 

真相はわからないが、

こういった変に近未来を意識したかのような要素が、

いかにも「80年代の映画の悪いクセ」という感じで、

今作の品位を落とす材料の一つとして、

一役買っている。

 

そして「80年代的」と言えば、

途中で組み込まれる挿入歌の多さである。

 

これが、今作においては、とりわけ多い。

 

アポロの死後、

ドラゴと戦うことを決意したロッキーは、

さまざまな思いを抱えながら、

一人車に乗り込み、夜の街へ繰り出す。

 

この時、熱い曲調のハードロックをバックに、今までの作品の回想シーンが始まるのだが、

ここはまだ良いとして、

その後も、このような演出が事あるごとに登場。

 

ロシアに到着した時にも、

ボーカル入りの曲が流れ、

レーニングし始めたら、また音楽が流れる。

途中、エイドリアンがロシアまで一人でやってきて、ロッキーと再会するのだが、

そのあと、またボーカル付きの曲をバックにトレーニングシーン・・・。

 

バックに音楽を流しながら、

レーニングのシーンが展開されるのは、

ロッキーシリーズの定番であるが、

今作に関しては、その配分がかなり多い。

 

いや、はっきり言って多すぎる。

 

中盤以降は、

「プロモーションビデオかよ、この映画は」

と言いたくなるほど。

 

この「音楽プラス頑張っている場面のダイジェストの連続」でもって、

鑑賞者の気持ちを昂らせる手法に、

この映画を初めて見た頃の僕は、

当時まだ10代という事もあって、

その演出に「乗せられてしまった」のであるが、

大人になった今、あらためて見てみると、

こういったシーンの連続が、

極めてあざとく、お手軽な手法に感じて仕方がないわけである。

 

そして、肝心のロッキーとドラゴとの対決についてだが、

やはりどう考えても、

この試合にロッキーが勝てるとは思えない(笑)。

 

体格差(特に身長)、年齢、

ドラゴとロッキーが行なってきたトレーニングの内容を振り返ると、

冷静に見て、

あまりにもロッキーに勝てる要素が見当たらない。

 

なんせロッキーは、ロシアに来る際、

スパーリング相手を同行させていないのである。

これは、あり得ない(笑)。なんでやねん。

 

長らくボクシングの試合から遠ざかっている中年男が、

スパーリングをしていない状態で、

フランケンシュタインの生きてるバージョンみたいな若手と戦うのである。

 

絶対死ぬって(笑)。

 

でもまあ最終的にロッキーは勝つのだが(笑)、

この時のソ連の観衆の反応も、

「何だかなあ」である。

 

殴られても殴られても倒れない、

不屈のロッキーのファイトに、

ソ連の観衆から「ロッキー」コールが巻き起こるのだが、

これがほぼ全員、ロッキーを応援している感じで、正直、うすら寒さとクサさを感じる。

 

この試合で死闘を繰り広げているのは、

ドラゴも同じである。

 

ドラゴもロッキーに相当殴られながらも、

頑張ってロッキーに対峙しているのだ。

 

試合会場はドラゴのホームであり、

観衆のほとんどが、ドラゴと同じロシア人である事、

そして何といっても、

ある種の恐怖政治下にあると言ってもいい共産主義国で、この試合が開催されている、

という要素を考えると、

むしろ「ドラゴコール」が起こるのが普通であろう。

 

万雷のロッキーコールと、

試合後のロッキーの演説に対する賞賛の拍手は、

僕の目には、いかにもアメリカ人の気分を高揚させるための、

バランスを欠いた不自然な描写に見え、

製作者が意図したであろう爽快感を感じることはなかった。

 

僕の評価は100点満点で、51点。

 

「友が試合で死んだので、友を倒した相手に挑む」というだけの、

ロッキーシリーズ史上もっともシンプルな内容は、

よく言えば「誰にとってもわかりやすい、親しみやすいストーリー」である反面、

その内実は、

「音楽とダイジェスト場面を多用しただけの、スカスカムービー」

と批判されても仕方がない出来である。

 

・・・と、40代半ばで今作を見て、

かなり否定的な感想になってしまったが、

10代の頃に「ロッキー4おもしれー!」

となっていた自分の感性も、

実は完全には消え失せていない事に気がついた。

 

というのも、

ロッキーが試合終盤で巻き返してきた時、

やっぱり「よし!ええぞ、ロッキー!」となっている自分がいたのである(笑)。

 

どないやねん(笑)。

 

なんだかんだでロッキーという存在は、

「そんなバカな」と思いつつ、

どこかで男心を捉えて離さない何かがある。

 

ロッキーマジック恐るべし。

 

という事で、

次の休日は「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」を見に行くとしよう。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。