シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「ロッキー3」(一部ネタバレあり) ハルク・ホーガン出演シーンをぶった斬って、クラバーの少年時代のエピソードなどを盛り込めば、良い映画になったと思う。

 

8月18日、自宅で「ロッキー3」を鑑賞。

今回も「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」の予習のためである。

 

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1982年公開。

製作国はアメリカ。

 

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前作「ロッキー2」でアポロを下し、

見事世界チャンピオンになったロッキー。

 

その後も順調にタイトルを防衛することで莫大な金が入り、

ロッキーの生活は、本格的に様変わりした。

 

そんな中、世界チャンピオンを目指す一人の野心的な男が、

ロッキーに挑戦状を叩きつけ、

ロッキーとの世界戦が実現する・・・という、あらすじ。

 

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このシリーズ3作目については、

僕は全くの初見である。

 

初代作やロッキー2、

そしてロッキー4などと違って、

テレビで放映されていたものを、

途中からでも何気に断片的に見た、

という事もない。

 

もう当時の事を詳細には覚えていないのだが、

昔、少年ジャンプか、

コロコロコミックだかの何らかの少年雑誌の巻頭特集で、

「ロッキー」シリーズが取り上げられていて(恐らくロッキー4の公開前だったような気がする)、

3作目の敵がモヒカンの黒人であるという事と、

当時、「イチバァーン!」の掛け声で、

日本でも大変な人気者であったプロレスラーのハルク・ホーガンが出演している、

という情報だけは、

僕の脳裏にしっかりと焼き付いている。

 

ハルク・ホーガン↓若い人には馴染みがないだろうが、僕も大好きだった超人気レスラーである)

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そんな「ロッキー3」の感想であるが、

僕の印象としては、

1と2に比べると、

「作品としての品格」が、かなり落ちている印象だ。

 

まず、今回のロッキーの宿敵となる、

「特攻野郎Aチーム」というテレビドラマシリーズ(これも若い人は知らないだろう)でもお馴染みの、

ミスター・T演じるクラバー・ラングについてだが、

非常に個性的なルックスと、わかりやすいキャラクターで印象に残る反面、

やはりアポロ・クリードが携えていたオーラというか、

ある種の威厳を感じさせるキャラクターに比べると、

彼はどうしても「永遠の中ボス止まり感」から抜けきれない印象がある。

 

(ミスター・T↓)

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このクラバーの粗野で、荒々しい言動が目立つキャラクターが、

どのような少年期を経て形成されていったのか、

という背景が、今作で少しでも描かれていれば、

すっかり裕福になったロッキーとの対比になり、

今回のドラマに重厚なものをもたらした可能性がある、

と僕は思ったのだが、

彼は最初から最後まで、

終始ロッキーのことをディスっているだけなので(これがとにかくうるさい)、

モヒカンという髪型も相まってか、

北斗の拳における雑魚キャラのようなイメージとかぶさってしまい、

どうしても、ある種の「小物」というイメージでしか彼を見ることができなかった。

 

そしてハルク・ホーガンの出演シーンであるが、

これが中々にヒドい。

 

ハルク・ホーガンというキャラクター自体は個人的に好きだが、

僕としては、

今までの「ロッキー」という作品から滲み出ていたある種の暗さと泥臭さ、不器用さに、

多少なりとも惹かれていた部分もあるだけに、

エンタメの権化であるかのような華やかさを纏った彼の出演には、

ただただ違和感を感じさせるものがあった。

 

チャリティーであり、エキシビジョンマッチという名目で、

「ボクシング世界チャンピオンと、プロレスラーの異種格闘技戦」という、

まるでかつての「アントニオ猪木VSモハメド・アリ」のような興行が映画内で行われるのだが、

ホーガンの「ただのエキシビジョンという事を忘れているかのような」暴れっぷりに、

興醒めしてしまう。

 

まだチャンピオンベルトを保持している現役ボクサーを担ぎ上げて、

客席に放り投げるなど言語道断であり、

一歩間違えば訴訟問題に発展するだろうに、

試合が終わった後のロッキーは、

ホーガンに「一緒に記念撮影を」とせがんでいる。

 

「チャンピオンになってハングリーさが無くなり、変な方向に向かっているロッキー」

の姿をあらわす象徴として、

このような余興的なシーンも取り入れたのだとは思うが、

僕としては「本当に必要だったか?このシーン」と、

甚だ疑問に思った次第である。

 

何より個人的に嫌気が差したのは、

この作品には、劇中挿入歌として、

SURVIVORというハードロックバンドの

「Eye Of The Tiger」という曲が使われているのだが、

アポロがロッキーに向かって、

しきりに「お前はハングリーさを忘れている!

虎の目になれ!虎の目だ!虎の目だ!」

といった事を叫ぶ部分である。

 

虎の目・・・。

 

要するに英語で「Eye Of The Tiger」なのだが、

まるでアポロがこのフレーズを連呼する事で、

楽曲のプロモーションも兼ねているようで(というか、恐らくプロモーションなのだろう)、

僕としては、

露骨に商売に走っている今作に対して、

なんともいえない嫌悪感を抱いた。

 

ちなみに「Eye Of The Tiger」という曲自体は素晴らしい曲である。

これを読んでいる皆さんも間違いなく、

一度はどこかで聞いたことがあるであろう、

イントロが超絶印象的な名曲だ。

 

曲のタイトルだけ見てわからなくても、

聴けば「あー!これか!」と一発でわかると思う。

(↓SURVIVOR「Eye Of The Tiger」。

再生回数8億回超えのモンスター楽曲である)

 

この頃、主役を務めるスタローン自身も、

かつての無名俳優から、

すっかりハリウッドスターに出世して、

かつてのように、瑞々しい情熱と感性の赴くままに映画作りに取り組むよりも、

本人が望む望まないはさておき、

業界的な付き合いや、

ビジネス的展開を重視した映画製作手法に移行していたのだろう。

 

この作品には、

そういった「商売の匂い」が漂っており、

ストーリー自体は悪くないものの、

個人的には好きになりきれない。

 

僕の評価は100点満点で、52点。

 

ただ、この作品で、

アポロとの間に真の友情が芽生えた事は、

この次の第4作目において大きな意味を持つ事になると思うので、

やはり見ておくに越した事はないのかな、

とも思ったりした。

 

本作の個人的ツッコミどころとしては、

ハングリー精神を思い出すために、

ロッキーが、アポロの勧めで、

若かりし頃のアポロが汗を流したスラム街にあるジムに通い出したのはいいものの、

そこにわざわざエイドリアンも連れて来させたところ。

 

いや、本当にストイックに練習したいのなら、

奥さん連れてきたらダメでしょ(笑)。

 

あとは、エイドリアンの兄のポーリーが、

いつにも増して、うるさかった。

 

ポーリーもなぜかロッキーの練習場所についてきたのだが、

来るなり文句ばっかり言ってて、とにかくうるさかった。

 

「じゃあおっさん、もう帰れや」と思ったくらい(笑)。

 

映画の最初の方の、

ロッキーが描かれたピンボール台を、

ポーリーがぶっ壊して、

留置場までロッキーが迎えに来る、

というくだりも、全然必要ない描写と思ったし・・・。

 

確実に、1と2より見劣りしてしまう3作目であった。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。