シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「AKAI」 現在、俳優・タレントとして活躍する赤井英和の「浪速のロッキー」時代を振り返る貴重なドキュメンタリー。

 

9月9日、なんばパークスシネマにて、

AKAI」を鑑賞。

 

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2022年公開。

製作国は日本。

 

赤井英和氏の息子である英五郎氏が、

本作の監督を務める。

 

新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言によって、

ほぼ全ての仕事がストップした赤井英和氏であったが、

この外出自粛期間の間、自宅にて、

息子・英五郎氏が回すカメラの前で、

かつて「浪速のロッキー」と呼ばれた、

自身のプロボクサー時代を語っていく。

 

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現在45歳で、長年大阪に住んでいる僕であるが、

大阪人である僕にとって、

赤井英和氏はとても馴染み深いタレントである。

 

赤井氏より、一回り半も年下の若輩者である僕が語るのも甚だ恐縮ではあるのだが、

一見コワモテでありながら、

いったん口を開くと、明るい笑顔を見せて、

時折、茶目っ気溢れる表情で人を笑わせようとする赤井氏は、

僕にとって、とても魅力的な方だ。

 

しかし僕は、

赤井氏がボクサーとして現役だった頃の勇姿を、

リアルタイムで見た事がない。

 

いや、もしかしたら、僕の父親がボクシング好きだったので、

「ボクサー赤井英和」を、

当時のテレビで一緒に見ていたのかもしれないのだが、

その頃の僕は、まだよちよち歩き、もしくは幼稚園に通っていたくらいの子供だった、

という事もあって、

リングに上がる赤井氏の姿は、

鮮明な記憶としては、僕の脳裏に何一つ残っていない。

 

赤井氏が、その半生において、

どのような経緯を経て、ボクサーから芸能界の道へ進んだのかは、

昔見た何かのテレビ番組などで、一応は知っていたが、

今回あらためて当時の貴重な映像を、

満載にフィーチャーしたドキュメンタリーというかたちで、

赤井氏のかつての勇姿を見れた事に大満足である。

 

本当に「こんな映像まで残っているのか?!」と、その貴重な映像の数々に感慨深いものを覚えるし、

当たり前の話だが、

赤井氏の若かりし頃の声質、話し方が、

とにかく色んな意味で若い!(そりゃそうだ。若いのだから笑)

 

そして、中高年以上のボクシングファンなら、

ほぼ誰もが知っているであろう、

かつて赤井氏のトレーナーを務めた、

エディ・タウンゼント氏も、映像に数多く登場する。

 

(↓エデ・タウンゼント氏)

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その中で、

赤井氏が試合中に負った大怪我により、

引退という選択を余儀なくされた時の、

エディ氏が赤井氏に語りかけた

「(引退したら)これから、本当の友達がわかってくるよ」という言葉には、

思わず泣きそうになった。

 

エディ氏は、

「友達には、良い天気の時の友達と、悪い天気の時の友達がいるね」

といった表現をしていたが、

これは要するに、世間の注目を浴び、

華やかな栄光の元にある時に寄ってきている友人よりも、

逆境の只中にいる時に、寄り添ってくれる友人こそ真の友人である、

という事を言っているのだろう、

と僕は解釈した。

 

作品中、

赤井氏の、俳優としての初の映画主演作「どついたるねん」の映像も登場するが、

この頃すでに赤井氏の顔が、

ボクサー時代の頃の顔から、

完全に「俳優の顔」になっている事に驚く。

 

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ボクサーという職業も、

「人に見られる」「世間に顔をさらす」という意味では、

芸能人と似た部分があるのかもしれないが、

芸能界のように「人に見てもらう事を第一義に置く世界」へと、

人生のステージが変わった時、

「こうも人の顔というのは変わるものなのか」と、

ボクサー時代とはまた違った、

俳優としての圧倒的な存在感の付き具合に、

とても驚くものがあった。

 

少し個人的な欲を言えば、

世界戦で敗退した後の失踪騒動の話や、

人生を変えた試合で対戦した、

大和田正春氏について今思う事など、

そのあたりの、もう少し深掘りした話というものも聞きたかったところ。

 

このあたりについては、

語り手と聞き手が「親子関係」にある、

という事で、

やはり無意識的に、

多少の「照れ」や「遠慮」と言ったものが生じ、

込み入った話に発展しなかったのかもしれないし、

或いは、インタビューの撮影はもっと長くしていて、

そういった事を語ってはいたものの、

今回は、監督の判断でカットされたのかもしれない。

 

実際のところは、

門外漢の僕には知る由もないが、

全体を通して、

インタビュー部分に若干の物足りなさを感じたのは正直なところである。

 

今作に対する僕の評価は、

100点満点で、82点。

 

この時代を知っている大阪人にとっては、

懐かしい映像満載のこのドキュメンタリー。

 

ボクシングの試合や、

ボクサー時代の赤井氏のインタビュー映像からも、

当時の時代の空気感が伝わってくる、

良質のドキュメンタリーである。

 

ここまで「大阪に愛された」ボクサーは、

今後もう二度と出てこないのではないだろうか?

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。