シンゴさんの、ふとしたつぶやき。

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「ロッキー」(ネタバレあり) 2022年8月19日から公開の「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」に向けて、シリーズを一作目から鑑賞。

 

8月17日、自宅で「ロッキー」を鑑賞。

 

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1976年の作品。

製作国はアメリカ。

 

シルベスター・スタローンの代表作中の代表作、

「ロッキー」シリーズの記念すべき第1作目である。

 

今回は、8月19日から映画館のみで公開される、

「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」に向けた予習として、

シリーズを一作目から鑑賞してみることにした。

 

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この「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」の

元となっている「ロッキー4/炎の友情」は、

シリーズ史上最大のヒット作。

 

今回、監督・脚本・主演を務めるシルベスター・スタローンが、

このオリジナルの「ロッキー4」を再編集し、

眠らせていた42分の未公開映像と、

オリジナルの数々のシーンを差し替え、

再編集したことによって、

全く新たな「新ロッキー4」として生まれ変わった、との事。

 

僕自身、

オリジナルの「ロッキー4/炎の友情」は、

中学生くらいの頃に見た経験がある。

 

アメリカとソ連が冷戦下にあった当時の物語で、

ソ連が国家を上げて後押しする科学的なトレーニング法で、

「殺人マシーン」と評されるほどの強さを手に入れたドラゴに対して、

昔から続けてきた「手作り感あふれるトレーニング法」で鍛錬に励むロッキー・・・といった対比や、

民主主義と共産主義の代理戦争といった、

わかり易すぎる対立構図が、

当時、中学生の僕の感性に刺さって、

かなり楽しめた記憶がある(中学生の感性で面白いと思ったので、今これを見て楽しめるかどうかはわからない)。

 

そんなロッキーシリーズであるが、

初代作から3作目までは、僕はほぼ未見である。

 

今まで、それらの作品について、

テレビで放送しているのを断片的に見たような記憶はあるが、

今回取り上げる、記念すべき初代作「ロッキー」は、

僕が生まれる1年前の作品ということで、

今まで、きちんと見る機会がなかったわけである。

 

ちなみに、

この第1作目を製作する前の当時のスタローンは、

30歳目前であった。

 

オーディションを受け続けるも惨敗続きの日々で、

すでに結婚して奥さんがいたが、

妊娠しており、毎日の生活費に困っていた。

 

「もはや俳優業は、風前の灯か」と、

キャリア的には岐路に立たされていたわけである。

 

そこでスタローンは、

「オーディションで選ばれないなら、自分が主演する映画を、自分で作ればいい」と、

自ら脚本を書き、映画会社に売り込む。

 

スタローンは、生まれつき言語障害を持って生まれており、

少年時代は、その障害のせいで内気になり、

口が歪んでいる見た目の問題も相まって、

他の子供たちからのイジメの対象になっていたらしい。

 

「ロッキー」は、

そんな逆境にまつわる苦しみを乗り越えて大人になりつつも、

なお俳優として重大な局面に立たされていた、

若きスタローン自身の姿を投影したかのような作品であり、

人生の起死回生を望む彼のハングリーさと、

情熱が叩き込まれた、

まさに「入魂の一作」と言えるであろう。

 

・・・というわけで、2022年の今、

僕が見た「ロッキー」初代作の感想であるが、結論から言うと、

 

 

「思ってたより、相当静かで地味」、

 

そして「ちょっとテンポ悪い」、

 

である。

 

さすがに、

世界チャンピオンであるアポロとの最終対決には、

胸が熱くなるものを感じたが(けど冷静に見ると、なんだかこの辺りも、クライマックスの割にはそんなに尺を取ってなく、演出的にもどことなく淡白さが目立つ)、

 

やはり2022年的視点で本作を見てみると、

古臭さは致し方ないとしても、

とにかく「地味」である。

 

今の若者世代は、動画の類いであれば、

けっこうな割合の者が、

早送り再生で「効率よく」見ようとする傾向があるらしいが、

おそらくそのような世代にとって、

この初代「ロッキー」を標準再生速度で、

じっくりと腰を据えて頭から終わりまで見るのは、

おそらく無理だろう。

 

映画的には、

宿敵アポロが登場するあたりから、

展開的にいよいよ面白くなってくると思うのだが(といっても、やっぱり終始地味)、

それまでの、

ロッキー・バルボアという人間の人物像を把握するための「前置きシーン」の数々に関しては、

僕自身も冒頭十数分で、

早くもある種の「かったるさ」を覚えてしまい、

「あー、これ、今の若い子たちはもう見てられんだろうなあ」と思った。

 

僕の評価は100点満点で、65点。

 

思ってた以上の淡々とした作りは、

意外であったが、別に落胆はしていない。

 

1970年代の映画なんて、

他も大体こんな感じである。

 

今の時代の作品に比べると、

凝りに凝ったといえるカメラワークもないし、

BGMを絡めた演出も少ない。

 

アクションシーン、会話シーン共に、

この頃の映画は、最近の映画と比べて、

相当に地味に感じるものが多いだろう。

 

結末もなんとなく知っていた話なので(最終的にロッキーは判定負け)、

さほど感動することもなかったが、

この原点を通過しないと、ロッキーの何たるかを語ることができないので、

僕としては見るべきだと思った。

 

途中、ロッキーが他の登場人物たちと口論になっているシーンがあるのだが、

その時ふと、

「もしかしたら、この映画、日本語吹き替えで見た方が、感情移入できて面白く感じるんじゃないか?」

と思ったりした。

 

とまあ、若干腐し気味ではあるが、

「三流ボクサーが千載一遇のチャンスに巡り会って、人生を変えようとする」

という話の内容自体は、

時代を超えて人を惹きつけるものがある。

 

脚本自体は、すごく良いと思う。

 

今の僕が見てみたら、

お世辞にも「傑作」とは思えなかったが、

この作品は、

無名俳優であったスタローンの人生を変え、

これを見た多くの人の人生にも影響を与えたので、

色々な意味で「映画史に残る重要作」である事は間違いない。

 

そして誰もが知る「あの曲」を生み出した、

という意味においては、紛れもない大傑作だろう。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。