8月17日、自宅で「ロッキー」を鑑賞。
1976年の作品。
製作国はアメリカ。
シルベスター・スタローンの代表作中の代表作、
「ロッキー」シリーズの記念すべき第1作目である。
今回は、8月19日から映画館のみで公開される、
「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」に向けた予習として、
シリーズを一作目から鑑賞してみることにした。
この「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ」の
元となっている「ロッキー4/炎の友情」は、
シリーズ史上最大のヒット作。
今回、監督・脚本・主演を務めるシルベスター・スタローンが、
このオリジナルの「ロッキー4」を再編集し、
眠らせていた42分の未公開映像と、
オリジナルの数々のシーンを差し替え、
再編集したことによって、
全く新たな「新ロッキー4」として生まれ変わった、との事。
僕自身、
オリジナルの「ロッキー4/炎の友情」は、
中学生くらいの頃に見た経験がある。
「殺人マシーン」と評されるほどの強さを手に入れたドラゴに対して、
昔から続けてきた「手作り感あふれるトレーニング法」で鍛錬に励むロッキー・・・といった対比や、
民主主義と共産主義の代理戦争といった、
わかり易すぎる対立構図が、
当時、中学生の僕の感性に刺さって、
かなり楽しめた記憶がある(中学生の感性で面白いと思ったので、今これを見て楽しめるかどうかはわからない)。
そんなロッキーシリーズであるが、
初代作から3作目までは、僕はほぼ未見である。
今まで、それらの作品について、
テレビで放送しているのを断片的に見たような記憶はあるが、
今回取り上げる、記念すべき初代作「ロッキー」は、
僕が生まれる1年前の作品ということで、
今まで、きちんと見る機会がなかったわけである。
ちなみに、
この第1作目を製作する前の当時のスタローンは、
30歳目前であった。
オーディションを受け続けるも惨敗続きの日々で、
すでに結婚して奥さんがいたが、
妊娠しており、毎日の生活費に困っていた。
「もはや俳優業は、風前の灯か」と、
キャリア的には岐路に立たされていたわけである。
そこでスタローンは、
「オーディションで選ばれないなら、自分が主演する映画を、自分で作ればいい」と、
自ら脚本を書き、映画会社に売り込む。
スタローンは、生まれつき言語障害を持って生まれており、
少年時代は、その障害のせいで内気になり、
口が歪んでいる見た目の問題も相まって、
他の子供たちからのイジメの対象になっていたらしい。
「ロッキー」は、
そんな逆境にまつわる苦しみを乗り越えて大人になりつつも、
なお俳優として重大な局面に立たされていた、
若きスタローン自身の姿を投影したかのような作品であり、
人生の起死回生を望む彼のハングリーさと、
情熱が叩き込まれた、
まさに「入魂の一作」と言えるであろう。
・・・というわけで、2022年の今、
僕が見た「ロッキー」初代作の感想であるが、結論から言うと、
「思ってたより、相当静かで地味」、
そして「ちょっとテンポ悪い」、
である。
さすがに、
世界チャンピオンであるアポロとの最終対決には、
胸が熱くなるものを感じたが(けど冷静に見ると、なんだかこの辺りも、クライマックスの割にはそんなに尺を取ってなく、演出的にもどことなく淡白さが目立つ)、
やはり2022年的視点で本作を見てみると、
古臭さは致し方ないとしても、
とにかく「地味」である。
今の若者世代は、動画の類いであれば、
けっこうな割合の者が、
早送り再生で「効率よく」見ようとする傾向があるらしいが、
おそらくそのような世代にとって、
この初代「ロッキー」を標準再生速度で、
じっくりと腰を据えて頭から終わりまで見るのは、
おそらく無理だろう。
映画的には、
宿敵アポロが登場するあたりから、
展開的にいよいよ面白くなってくると思うのだが(といっても、やっぱり終始地味)、
それまでの、
ロッキー・バルボアという人間の人物像を把握するための「前置きシーン」の数々に関しては、
僕自身も冒頭十数分で、
早くもある種の「かったるさ」を覚えてしまい、
「あー、これ、今の若い子たちはもう見てられんだろうなあ」と思った。
僕の評価は100点満点で、65点。
思ってた以上の淡々とした作りは、
意外であったが、別に落胆はしていない。
1970年代の映画なんて、
他も大体こんな感じである。
今の時代の作品に比べると、
凝りに凝ったといえるカメラワークもないし、
BGMを絡めた演出も少ない。
アクションシーン、会話シーン共に、
この頃の映画は、最近の映画と比べて、
相当に地味に感じるものが多いだろう。
結末もなんとなく知っていた話なので(最終的にロッキーは判定負け)、
さほど感動することもなかったが、
この原点を通過しないと、ロッキーの何たるかを語ることができないので、
僕としては見るべきだと思った。
途中、ロッキーが他の登場人物たちと口論になっているシーンがあるのだが、
その時ふと、
「もしかしたら、この映画、日本語吹き替えで見た方が、感情移入できて面白く感じるんじゃないか?」
と思ったりした。
とまあ、若干腐し気味ではあるが、
「三流ボクサーが千載一遇のチャンスに巡り会って、人生を変えようとする」
という話の内容自体は、
時代を超えて人を惹きつけるものがある。
脚本自体は、すごく良いと思う。
今の僕が見てみたら、
お世辞にも「傑作」とは思えなかったが、
この作品は、
無名俳優であったスタローンの人生を変え、
これを見た多くの人の人生にも影響を与えたので、
色々な意味で「映画史に残る重要作」である事は間違いない。
そして誰もが知る「あの曲」を生み出した、
という意味においては、紛れもない大傑作だろう。
という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。