「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を鑑賞。
100点満点で、85点。
僕が今年見たハリウッド系の映画では、「ARGYLLE/アーガイル」以来、
久しぶりに脚本の秀逸さに唸った作品。
アポロ11号による人類初の月面着陸は、
世界の多くの人が知っているであろう人類史上における一大イベントであるが、
一方で、「実は人類は月になど行ってなくて、月面を歩く宇宙飛行士の映像は、ハリウッドの映画スタジオで撮影されたフェイク映像である」
という都市伝説もまことしやかに囁かれていたりする。
今作は、そんな「人類は本当に月へ行ったのか論争」に対する、
NASAとハリウッド、そしてアメリカ政府からのアンサー、というと少し大袈裟なのかもしれないが、
とにもかくにも都市伝説ネタ好きの僕としては、
シンプルに「これは面白い」と思わせてくれた一本であった。
この題材で映画を作るとなると、
かなりシリアスな雰囲気をまとった作風に仕立て上げる事も可能であると思うし、
実際にもう少し大真面目に作り上げても興味深い、と思わせるような内容ではあったのだが、
フリーランスで活動し、あらゆる商品を時にウソも交えた巧みなPR戦略で売り込む仕掛け人(スカーレット・ヨハンソン)と、
アポロ計画のロケット打ち上げ責任者(チャニング・テイタム)の恋愛も絡ませるなど、
映画全体としては、軽快なBGMと共に小気味良いテンポ展開で観客を魅了する、
かなりライトテイストな作風だ。
ただ、この「軽いタッチの作風」が、人によっては好き嫌いが分かれる要因にもなるかもしれない。
僕としては、いよいよ月面着陸のフェイク映像を作る計画に入るまでの前置きとも言える映画前半部分に関しては、
少々盛り上がりに欠けていて、少し長いかな?と感じた。
しかし、その分を補うかのように、後半の展開は面白かったし、
当時の実際の映像も交えたと思われる、今作のロケット発射シーンは、
似たような描写を、過去のアポロ計画を扱った作品などでも何度か見ているはずなのに、
思わず胸に熱いものが込み上げてくるほど、やはり感動的。
あと、前半を見ている限りは、
「これが、ストーリーに対して、なにかの意味があるのかな?」と思っていた「ある動物」が、
後半においての重要な伏線となっており、
この伏線回収などにもニヤリとさせられるものがあった。
今回、この映画については、予告編も見ておらず、
公開初日の前日、仕事帰りの電車の中でスマホを眺めていたら今作の存在を知って、
内容も事前にほとんど調べずに見に行ったのだが、
個人的には予想以上の良作であった。
ツッコミどころもあるが、それも「まあまあまあ」といった感じで、
個人的には許容範囲というか、作品としての全体的な良質さに唸らされるものがあったので、
そういったものは些末な事として目を潰れるレベルかな?と思う。
もしかすると、ガチの陰謀論者がこの映画を見ると、
「みんな騙されるな!こうやって米政府は俺達を騙すんだ!人は月面には行っていない!」と、
鼻息を荒くして怒りそうな内容かもしれないが(そうでもないかな?笑)、
そんな人たちも、最後の「宇宙人の存在」に言及する、あるシーンを見ると、
「それは当たってる。これはいよいよ情報の開示に向かってる。これは重要な映画だ」と、
その怒りも幾分和らぐのかもしれない(これもそうでもないか?笑)。
何にせよ、都市伝説系ネタが好きな人にはオススメの一本です。