ある日、急に「コードバンの靴が欲しい」と思い、買ったのがこれ。↓


アメリカの老舗革靴メーカー「オールデン」のチャッカブーツである。
ちなみに「コードバン」とは、
馬のお尻の部分のみから取れる、非常に希少性の高い皮革であり、
独特の光沢を放つその美しい質感から、
別名「革のダイヤモンド」とも呼ばれている素材である。
記事のタイトルにもある通り、今回は、メルカリに出品されていた中古品を購入。
45,999円であった。
高級革靴に興味の無い人からすれば、
「誰が履いたか分からない靴に、よく4万6千円も出せるな」と言われそうだが、
新品では現在21万円以上もする靴である。
いくら最近革靴にハマっているとは言え、今の僕の金銭感覚と経済力では、
そんな金額を一足の靴に対して出すつもりはない。
この品物に関しては、中古とは言え、かなり状態は良いし、
靴の中から他人さんの足の残り香が香ばしく漂ってくる、ということも無かった。
正直、世間一般の多くの人の感覚からすると、
中古靴に数万円を払う僕はどうかしているのかもしれないが、
出品されている品物の画像と金額を見て、
「安っ!」と思ったので、買ってしまったわけである。
で、届いた物をさっそく開封して、実物を見てみたのだが、
確かに、ぱっと見のカッコよさは、「これがオールデンか」といった感じで、
他のブランドには醸し出せない独特の風格を感じる。
だが、細かく見てみると・・・、
悪い意味で、「これがオールデンか」な作りの粗さが目に飛び込んでくるのだ。
まず、これ↓

右足の、「ウェルト」と呼ばれる、靴のまわりを1周する革の部分の一端がしっかりとくっつけられておらず、
外に飛び出したようになっている。
別の角度から↓
↓こっちは左足のウェルトで、こちらは外周のどこかが外に飛び出しているというような事はなかった。
これには、「え〜、20万円以上の靴でこの作りって・・・」と、流石に引いた(笑)。
前オーナーさんも、この箇所に関しては、僕と同じような事を思ったはず、と推測する。
そして、次はこれ↓

これって、塗料を「ピッ」って飛ばしちゃったのかどうか分からないが、
明らかに「付いちゃったけど、放置」ですよね?(笑)
ほんで最後にこれ↓
画像ではピンとこないかもしれないが、
実物を見ると明らかに分かる、「ヒールの安っぽさ」。
正直、「なんだこれ?」と。
ちょっと人より手先が器用なアマチュアが仕上げた工作品レベルの質感。
一応、靴のヒールとしての体は成しているが、
「20万円以上する靴のヒール」とは到底思えない安っぽさ。
僕はこれらの「やっつけ仕事」を見て、
「うーん、こういうのもアメリカっすね!味っすね!USA!USA!」とはならない(笑)。
全体感としてのカッコよさは認めざるを得ないものがあるが、
新品の価格を考えた場合、こういった部分は、如何なものかと思わざるを得ない。
僕が所有している他ブランドの物と比較すると、
作りの丁寧さだけで言えば、カルミナや大塚製靴の方が、
金額的にはオールデンより半分以下なのに、
よっぽど良い仕事をしている。
カルミナのフルブローグ↓
大塚製靴のパンチドキャップトゥメダリオン↓
というわけで今回、初めてオールデンの靴の実物を間近に観察させてもらったが、
良い意味でも悪い意味でも、
「これがオールデンなんだな」であった。
繰り返すが、中古品で約4万6千円。
後悔しているかどうかと問われれば・・・・、
実は全く後悔してません(笑)。
いやむしろ、「やはり買ってよかった」という思いの方が勝っていたりする。
その理由はズバリ、「ダメと思った部分以外は、やっぱりカッコいいから」である。
結局、人の容姿も含め、あらゆるモノについても同じような事が言えるが、
「ぱっと見のカッコよさ」というものは強い。
そして実際に足を入れた時の心地良さも素晴らしいものがある(まだ外を歩いていないので、そこに関しては何とも言えないが)。
これで細部まで作り込みが行き届いていたら、まさに最強だし、
新品価格の高額ぶりにも納得できるのだが、
とにかくこの作り込みの甘さ(適当さ)は、カッコいいだけに残念としか言いようがない。
しかし、この靴は大事にしていく。
いつか、今日挙げ連ねたダメな部分にも、自然に愛着が湧いてしまうのだろうか(でもそういったユーザーの妙な納得が、メーカーの怠慢を助長させるんだろうな)。
何にせよ、人生初オールデンは、色んな意味で衝撃を受けたのであった。