シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(核心部のネタバレはなし)「浅田家!」 写真は心を記録する。

 

昨日は、自宅で「浅田家!」を鑑賞。

 

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2020年の日本映画。

 

実在する写真家、浅田政志氏が、

自分の家族にあらゆるコスプレをさせた写真集「浅田家」を出版し、

それがヒットするまでの軌跡と、

その後の東日本大震災発生時においての、

氏の体験を綴った作品。

 

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「浅田家」という名のユニークな写真集が存在することは、

この映画を見る前から、僕は知っていた。

 

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僕の記憶が正しければ、

たしか「大阪ほんわかテレビ」という関西のローカル番組において、

この写真集が取り上げられたような気がする。

 

もし記憶違いで、

この番組ではなかったとしても、

テレビで取り上げられていた事は鮮明に覚えている。

 

あの家族総出のコスプレ写真の数々を見た時、

僕は素直に「面白い」と思ったし、

なにかしらの心温まる感情が沸き起こった事も記憶している。

 

そんな浅田家のストーリー及び、

この写真集を作った浅田政志氏の、

写真集ヒット後の体験の映画化なのだが、

ひとことで言うと「良い映画」である。

 

特に映画後半の東日本大震災以降のエピソード部分については、

破壊された町並みのリアルさも相まって、

背筋を正して見ざるをえない。

 

当初僕は、

冒頭の政志氏の父親の葬式のシーンで、

母親の泣き方が非常に嘘くさい、というか、

身も蓋もない言い方をすると

「この風吹ジュンの演技はどうなの・・・?」と思ってしまい、

その後も、父親の怪我からの、

兄弟揃って家の中で怪我をする一連のシーンを見た時は、

「しまった・・・。日本映画のアカン部分が凝縮された、中途半端なコメディかよ・・・」

と、一瞬見るのを途中で止めようかと思ったのだが、

最後まで見た時、

「ああ、そういうことだったのね。なるほどね」と、

思わず膝を打ってしまった。

 

あの伏線回収には、まんまとしてやられた、というか、一杯食わされた。

 

繰り返すが、

映画の前半と後半では話の毛色が全く変わり、

特に後半は、

震災の犠牲者の話が絡むシリアスな場面が多いので、

前半とのギャップも影響したのか、

僕としては、見ていて多少の「しんどさ」と「気疲れ」を感じてしまったのも事実。

 

正直なところ、

写真集「浅田家」が出来上がりヒットするまでのエピソードだけで、

一本の映画にできたのではないか?

と見終わってから一瞬、僕は思ったのだが、

 

まあ、これについては、

浅田氏の人生体験として、被災地での経験は、

自身のキャリアの中で欠く事ができない重要な出来事であるはずだし、

後半は、製作者がこの映画においてどうしても描きたかった内容に違いない、

と推察されるので、

そのあたりは尊重はしたい。

 

ただ、

ストーリー以外の部分で引っかかったのが、

言葉のイントネーション。

 

浅田家は三重県津市に在住だが、

劇中の浅田家の面々が話す言葉のイントネーションは、

果たしてあれで「正解」なのだろうか?

 

大阪生まれ大阪育ちの、

生粋の大阪人の僕の耳には、

特に二宮和也妻夫木聡が放つ

「関西弁(正確には三重弁?)」のイントネーションは、

やはり何処かしら不自然に聞こえてしまう。

 

もちろん、大阪の人間が使う関西弁のイントネーションと三重県のそれはまた違う、

とは思うものの、

浅田家の人々の方言は、聞いていてかなり気になった。

 

僕の耳には、

彼らのイントネーションが、

「普段、標準語で話す人が頑張って真似してみた関西弁」にしか聞こえない部分があり、

聞いていて違和感を感じた。

 

ただ、この点に関しては、

僕は三重県津市出身でもなければ、

もしくは在住した経験もなく、

今までの人生で、その地域の方言を使う人も僕の近くにいたことがないので、

このあたりは、正直何とも言えない部分がある。

 

この方言問題については、

僕の耳には、黒木華が一番上手くこなしているように思えたのだが、

そう僕が思ったのも、

黒木華が元々大阪出身であり、

「関西系のアクセント、イントネーションについては彼女なら確かだろう」という、

僕自身の勝手な思い込みが働いているせいかも知れず、

実は彼女の話す「三重県津市の人の言葉」も、

地元の人が聞いた時に、

果たして上手なのかどうか、そのあたりはわからない。

 

なんにせよ序盤は、この方言、

イントネーションがかなり気になってしまい、

なかなか映画に入り込めなかった。

 

後半にいくにつれて、

政志(二宮和也)も東京に住み出し、

生活していくうちに東京弁が混じるだろうことは容易に想像できるので、

途中から僕も、もうあまりその点は気にしていなかったが。

 

冒頭でも書いたように、

全般的に「良い映画」であるのは否定しようがないが、

テンポ感のゆったりさもあってか、途中から少し長く感じた。

 

それと、場面が展開していく時に、

政志の当時の年齢が画面に表示されていくのだが、あの演出は不要に感じた。

あの年齢表示が、何かしらの効果を生んでいる、と僕には思えなかった。

 

僕の評価は、100点満点中、80点。

 

良い映画だが「大感動」や「絶賛」までには至らなかった。

 

しかし、

現代の人々の生活における写真の重要性というものを、

あらためて気づかせてくれた作品である。

 

それにしても、

劇中に出てくる「コスプレ家族写真」の、

実際に撮られた写真と比較した場合の「完コピ度」には恐れ入る。

あれは素直に「すごい」と思ったなあ。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

浅田家

浅田家

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