シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

(結末のネタバレはなし)「グランド・ジャーニー」 ことわざの「かわいい子には旅をさせろ」をエクストリームに実践させる話。

 

昨日は、自宅で「グランド・ジャーニー」を鑑賞。

 

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2019年制作のフランス映画。

 

実話をベースにしたフィクション作品。

 

絶滅危惧種とされている渡り鳥の一種、

カリガネ(カモ科マガン属)を人工孵化させ、

人間が操縦する超軽量飛行機を使って、

鳥たちに飛行ルートを教える、

という試みに挑戦する父子の姿をメインに物語は展開していく。

 

(これがカリガネ↓)

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14歳のトマは、ゲームに夢中の今どきの少年。

 

トマは、母親パオラと、パオラの彼氏ジュリアンと共に3人で生活していたが、

夏休みの間、母親の提案で、

フランス南部のカマルグという地域に住む、

パオラと離婚した気象学者の父親クリスチャンの元で過ごすように言われる。

(パオラとクリスチャンは離婚しているが、お互い友好的な関係は続いている)

 

湿地帯の自然が美しいカマルグであるが、

ゲーム少年のトマにとって、そんな「田舎」で過ごすのは苦痛以外の何物でもない。

 

Wi-Fiの電波も満足に入らない田舎で、

することもなく退屈していたトマだったが、

父親が孵化を試みているカリガネの卵から、

一匹の雛(実は細かく言うと、この卵だけカリガネではない)

が孵るのを目の当たりしてから、

大きく意識が変わっていく・・・

という、あらすじ。

 

この映画、まず何が素晴らしいかと言うと、

小型飛行機と鳥の群れとの飛行シーンである。

 

CGを使わず、実際に一緒に空を飛んでの

リアルな撮影なのだが、

眼下に広がる大自然と、鳥たちの懸命に羽ばたく姿は、

「これは映画館で見たかった」と思わせるほどの、至高の美しさと、生命の躍動を感じさせる。

 

映画館でも、

できればIMAX(アイマックス)シアターの前よりの席で見たい、

と思わせるものがある。

 

繰り返しになるが、

これがほぼCGなしで撮影されたというのだから、驚きである。

言い換えると、逆にCGを駆使した映像が中心だと、

この映画の価値は、中途半端なものか、それ以下に成り下がっていただろう。

 

途中の手に汗握る、あるシーン(これはネタバレになるので秘密)は、

流石に映像の加工に頼ったのではないか、

と推測されるが、

鳥たちが最初に飛行を覚えるシーンや、

飛行機と共に飛び立つシーンなど、

「これ、よくこんなストーリーに沿ったかたちで撮影できたよな・・・」と、

感心しきりであった。

 

物語の最初の方で、

父親のクリスチャンが「ちょっと、それはまずいんじゃないの・・・?」

という事をして、

それが後々、揉め事に発展する。

 

映画の中間部までは、けっこう地味な展開で、

人によったら少し退屈を覚えるかもしれないが(僕は鳥たちが可愛いので楽しめた)、

この「揉め事」が起こってからが、

この映画の真骨頂である。

 

できるだけのネタバレ回避のため、

ぼんやりとした書き方で申し訳ないのだが、

「まさか・・・まさか行く?行っちゃうの?」という展開で、

僕はもう、なんだか理由がよくわからないけど、このあたりで涙が溢れてきてしまった。

 

なんだろうなあ・・・。

 

羨ましさを覚える、というか、

「この大胆さ、俺は忘れてないか?」というか。

 

今回の記事を読んでくださっている、

この映画を未見の人には何のことかさっぱりわからないと思うが(けど、記事のタイトルがだいぶヒントになっている)、

僕は個人的に心にくるものがあった。

 

後半部分の、

父親クリスチャンと母親パオラの感情の移り変わりも、これまたいい感じなのだ(特に母親)。

 

見終わってから、

あくまでも、この作品は実話をベースにした「フィクション」である事を、

公式ページの解説などを読んで、はっきりとわかった時、

僕としては、いささか感動が下がってしまったのであるが、

まあまあ、それを差し引いても「良い映画」という評価は変わらない。

 

100点満点で、89点。

 

久しぶりに「家族揃ってお楽しみください」とおススメできる、爽やかで、心が洗われるような作品。

 

あと、これは映画の評価にあまり影響していないが、

卵の殻を破って雛がかえるシーン。

 

あれを見た時も、なんだか泣きそうになってしまい、自分はどうしたんだろう?と。

 

もう最近は涙腺の防波堤がどんどん低くなっていて、しかも、ところどころ穴だらけになってきている(笑)。

 

若い時に、あんなの見ても「かわいいなあ」くらいだったのに。

 

僕も歳を取った、ということなのだろうか。

 

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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