シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

僕の人生における思い出の曲 5曲目 忍者ハットリくんOP「忍者ハットリくん」

 

僕の人生における思い出の曲、5曲目は

アニメ「忍者ハットリくん」のOP曲、その名も

「忍者ハットリくん」である。

 

 

 

 

僕は子供の頃に、安孫子先生、藤本先生ともに

藤子不二雄先生の書いた漫画(アニメ)の洗礼を直撃で受けた世代であるが、

中でもハットリくんはお気に入りで、

この歌を放課後の帰り道や、家でよく歌っていた記憶がある。

 

しかし、お気に入りであったにも関わらず、

どの回が印象に残っているとか、

どの回が面白かったとか、

全く記憶に残ってない(笑)。

 

お気に入りだったはずなのに(笑)。

 

僕が今でも「ああ、あれは良かったね」とか、

「あそこは泣いたね」とか割とちゃんと語れるのは、

ドラえもん」「北斗の拳」「魁!!男塾」あたりだろうか。

 

ドラえもんは、やはり各種の夢溢れる道具たちが登場するので、

それをトリガー(引き金)にして、物語の記憶が喚起されやすいと思うし、

北斗の拳や男塾も、超個性的な敵や、拳法の技などが出てくるので、一度見たらけっこう印象に残りやすいのだと思う。

 

そういう観点からだと、

ジョジョの奇妙な冒険」も、バラエティ溢れるスタンドと紐付けて、割とエピソードを覚えやすいのだと思う。

 

で、この「忍者ハットリくん」に関しては、

ハットリくんの使う忍法があって、それが色々とトリガーになって様々なエピソードを思い出せそうなものなのだが、

よくよく考えたらドラえもんの道具ほど種類があるわけでもないし、

奇想天外なド派手な忍術があるわけでもなかったと思うので、

見てる当時は面白くても、時間が経てばあまり記憶には残っていない。

 

ちなみに「パーマン」や「怪物くん」あたりもよく見ていたのに、一つ一つの物語をよく覚えていない。

ストーリーものではなく、基本的に一話完結だった、というのも関係しているかもしれない。

(ディスってるわけではありません。子供時代、とても楽しんで見ていた事には間違いありません)

 

 

それはさておき、

最終的にハットリくんで何が僕の頭に残ったのかと言えば、この「歌」なのである。

 

この歌については、忘れもしない思い出がある。

 

当時、僕は小学校低学年だったと思うが(何年生の時かはさすがに忘れた)、

ある日、母親にこの曲の入った「カセットテープ」を買ってもらったのである。

 

当時はCDすらまだ存在していなかったので、

自分の好きな曲を、好きな時に再生するには、

レコードを買うか、カセットテープを買うかの2択だったのだ。

 

確か、関西スーパーで買ってもらったと思う。

 

レコード店ではなく、「関西スーパー」。

 

当時の僕の実家近くの関西スーパーは、

子供向けの童謡やアニメの主題歌、歌謡曲などのカセットテープを、レジ横付近の一角で売っていたと思うのだが、

僕があまりにもハットリくんの歌が好きだったので、母親にせがんで買ってもらったのだ。

(いや、ちょっと待てよ?家で遊んでいたら、スーパーに行った母親が、頼みもしてないのに買ってきたんだっけ・・・?まあどっちでもいいや)

 

とにかく、ハットリくんの歌が、これでいつでも聴ける!と大喜びの僕。

 

さっそくケースからテープを取り出し、

ラジカセに入れて再生ボタンを押すと、おなじみの「忍者ハットリカンゾウ、ただいま参上〜」の掛け声とともに、

元気で軽快なイントロが始まった。

 

僕は冒頭から

「♪やーまをとーびー、たにをこえー、僕らの町へーやってきたー」と、

テープの音源と一緒に歌い始めたのだが、

何か変だ。

 

「・・・あれ?

これ、歌っている人の声がテレビと違う・・・?」

 

そうなのである。

 

歌い手さんの声が、テレビでいつも見ている時の歌手の方の声と微妙に違うのである。

 

歌うのをやめて、みるみる顔が青ざめていく僕。

 

(歌っている人が違う、歌っている人が違う、

歌っている人が・・・違う・・・)

 

心の中で、鈴木雅之ばりに

「違う違う、そうじゃない」と連呼する僕。

 

半ばパニックになりながら歌を聴いていたが、今になってもはっきりと覚えている「衝撃のフレーズ」が、1番の歌詞の終わりで登場する。

 

「♪ござーるござるよ、ハットリくーんはー、

ゆかいな味方、忍者でござるー、忍者でござるー」

の2回目の「忍者でござるー」が、

オリジナルは「ござる」に向けて音程が下がっていくのだが、

僕が聴いていた「カヴァーバージョン」は、

「忍者でござる」の音程が、逆バンジージャンプのような勢い(どう表現していいか、正直よくわからん)で、素っ頓狂に「上がって」いったのだ。

 

これを文面で正確に伝えるのはほぼ不可能なので、音源を聴いてもらうのが一番手っ取り早いのだが、

そのカセットテープも、もうどこにいったかわからないので、このニュアンスを伝えられない事にもどかしさを感じる。

 

まあ一言で言って、「とにかく変」なのである。

 

あれを初めて聴いた時の僕は、

ショックと戸惑いと悔しさと、面白さがごちゃ混ぜになった「わけのわからない感情」が押し寄せて、

次の瞬間、

台所でご飯の支度を忙しくしていた母親に向かって、

「おかあさーーーーん!!!!

これ、歌ってる人ちゃうやん!!!!

最後の音、変やん!!!!」と、

怒って当たり散らした記憶がある。

 

母親としては、

「えー、私にそんな事言われても・・・」という感じだっただろう。

 

とにかく、あの最後に不自然に音程が爆上げされる「忍者でござる〜」は、僕の人生における音楽経験でも相当なインパクトがあった。

 

今となっては笑えるのだが、

ピュアな子供心を傷つけるには十分すぎるほどの威力があった。

 

あれはまさしく「だまされた!」という気持ちだった。

 

僕にとって、音楽で不快な思いをする、という人生初めての経験だったのではないだろうか?

 

大人になった今、なんとなく推測できる事は、

ああいった地元のスーパーなどで売られていた音源は、

音楽業界における、なんらかの「大人の事情」で、オリジナルの音源を販売してはいけないルールのようなものがあったのだと思う。

 

なので、オリジナルに近い声を出せる無名の歌手を起用し、原曲に少しアレンジを加えた、いわゆる「カバー」として売り出すという手法をとっていたのかな?と。

 

まあ、ここらへんは詳しくないので、ただの素人の推測なのだが。

 

ちなみに母親も同じ手口(?)に遭っている。

 

あれは僕が小学校高学年か、中学生になりたてくらいの時だったと思うのだが、

関西スーパーで(またかよ笑)、

美空ひばり特選集」的なCDを買ってきたのである。

 

もうこの話の流れから、

読者の皆さんには、一から話さなくても既に予測がついていると思うが、

母親もまんまと「だまされた」(笑)。

 

CDを再生して「川の流れのように」の歌い出しに入ると母親は、

「は??何これ??

美空ひばりちゃうやん?!

美空ひばりの声ちゃうやん?!

誰よこれ!!!・・・誰?!」と、半狂乱。

 

そして母親の横にいた僕は、

「うわ!ほんまや!

美空ひばりの声ちゃう!

あ!オカン!

なんか隅っこに小さく、全然知らん歌手の名前書いてるで!!!」と、

全然聞いたこともない歌手の名前を発見した。

 

美空ひばりの曲を好きな時に聴ける!と意気揚々としていたのに、

今はただ愕然とした表情で、

「悔しい〜!だまされた〜!」と歯ぎしりする母親の横で、

その母のうろたえぶりを見て大爆笑する僕。

 

恐るべし、関西スーパー

 

いや、関西スーパーのせいちゃうか(笑)。

 

まあ、昔はこういう事がよくあったのだ。

買った当時はお金をドブに捨てたような気持ちになるものだが(お金を出したのは母親で、僕は一銭も出していないが)、

時間が経てばネタの一つである。

 

こういう経験を経て、人は成長していくのだろう。

 

それにしても、あの「ニセハットリくん」の歌の、素っ頓狂な音程の「忍者でござる」を、聴けるものならもう一度聴いてみたいものだ。

 

もはや叶わぬ夢だが。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました