シンゴさん日記

100点満点採点で映画を評価した記事と、あと他愛もない雑談と。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」 映画の一作品としては文句のつけようがないレベルで素晴らしい。

 

今日は自宅で、映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」を鑑賞。

 

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1980年5月に韓国で起きた光州事件において、

西ドイツ人(この頃、まだドイツは東西に分断していた)の記者ユルゲン・ヒンツペーターと、

韓国人のタクシー運転手キム・サボク(劇中ではキム・マンソプという名前になっている)が体験した出来事を、

事実をもとに再構成した物語。

 

僕は「光州事件」なるものを、自身の勉強不足もあって、この映画を見るまで知らなかったのだが、

「こんな事が、僕が幼い頃に韓国であったのか」と今更ながらに驚いた。

 

光州事件の詳細については、

僕の拙い知識と筆力で説明するのは不可能に近いと思うので、興味のある方はネットで調べていただくとして、

映画としては、自分が予想していたよりも遥かに血生臭く、強烈な内容であった。

 

あらすじを簡単に述べると、

 

11歳の娘を男手一つで育てるタクシー運転手、キム・マンソプは、

ある外国人(ユルゲン・ヒンツペーター)が光州に行きたがっている、という話を他のタクシー運転手同士の会話から盗み聞きする。

 

その外国人を無事に光州に送り、通行禁止になる前に、帰りも無事にソウルに戻すことができれば、

10万ウォンもの報酬が支払われる事を知ったマンソプは、

この仕事を元々請け負う予定だった運転手を出し抜いて、その外国人と先に出会い、

自分が「指定されたドライバー」だと偽り、

仕事を「横取り」してしまう。

 

実はマンソプは経済苦から、

娘と暮らす家の家賃を、ちょうど10万ウォン滞納しており、

この話はマンソプにとって、まさに「渡りに船」だったのだ。

 

10万ウォンの大金が手に入る、という事で初めは意気揚々としていたマンソプだったが、

光州に着くやいなや、自分が暮らす街とはあまりにも違う、街の厳戒態勢ぶりに次第に不安を募らせていくのであった・・・というもの。

 

ネタバレになるので多くは書けないが、

「真実を世界に届けてほしい」との思いを胸に、一介のタクシー運転手たちが命をかけて主人公の2人を守るシーンには、

おそらくかなりの脚色と映画的演出が加えられていると薄々感じながらも涙した。

 

あのクライマックスの一連のシーンは素晴らしいと思う。

 

ひとまず「映画としては」全体的に見ても、僕としては大変満足させてもらった。

 

僕の評価は100点満点中、96点。

 

・・・なのだが、「映画としては」と、「カギかっこ」を何故つけたかというと、

後でウィキペディアなどで光州事件に関する事を調べると、

やはりこの映画は「事実をもとに再構成されたもの」であって、

本当のところは事実と異なっている部分が多いからである。

 

特にウィキペディアでの「金砂福(キム・サボク)」の項目を調べると、

「うーん、どうなんだろうなあ」と、

読む前と後では、映画の印象が変わりかねない記述がある。

これについては今回、僕自身の見解を述べることは避けさせていただく。

 

もし映画を見終わった後(別に見る前でもいいけど、そうすると映画を見たい気が、人によっては一気に失せるかもしれない)、

深堀りしたいという人がいれば、下にリンクを貼っておくので、それを読んでいただければと思う。

ウィキペディア「金砂福」↓)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%A0%82%E7%A6%8F

 

上記のリンクを読んで、思うことは皆さんそれぞれであるとは思うが、

 

まあしかし、純粋に「映画作品」と割り切って見れば、この作品は相当に質が高いものであることは間違いないと思う。

 

という事で、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。