今日は、あべのアポロシネマにて、
「そして、バトンは渡された」を鑑賞。
第16回本屋大賞を受賞した小説の映画化。
僕自身は原作は未読。
幼い頃から、義理の父親「森宮さん」の元で、父子家庭の一人娘として育てられ、高校卒業を目前に控えた「優子」。
そして、同じく父子家庭で、こちらは実の父親に育てられている小学生の女の子「みぃたん」。
みぃたんは、父親の愛情をかけた子育てによって元気に学校生活を送っているが、
時折、母親がいない事(実の母親は、みぃたんが赤ちゃんの頃に亡くなっている)への寂しさが発露し、
どうしようもなく悲しい気持ちになってしまう。
そんな時、みぃたんの父親は「梨花さん」という女性と再婚することになる。
みぃたんと新しいお母さんの、血が繋がらない親子の波乱に満ちた生活が始まるのだが・・・というあらすじ。
今回は最初に得点評価から。
僕の評価は100点満点中、95点。
たぶん今年、僕がこのブログで紹介した映画(と言っても、そんなに多くはないが)の中で、最高の得点じゃないだろうか。
良かった。
素晴らしかった。
これはシンプルに「良い映画」だと思う。
石原さとみ演じる田中梨花という女性は、その美貌を生かして、自分のお眼鏡にかなう「優良物件の男性」を見つけ出しては、口八丁手八丁で結婚に漕ぎ着ける、いわゆる「魔性の女」で、
その猛烈な行動力によって、みぃたんの人生も翻弄されまくるのだが、
これが最終的に、思いもよらない展開へと発展していく。
僕も見ながら途中、「森宮さん」「優子」「みぃたん」「梨花さん」の関係性が、どう繋がっていくんだろう?と、あれこれ考えながら見ていたが、「なるほどね」と。
よくできた話だわ、これ。
元々の上映時間が長め(137分)という事もあり、正直、途中ダレかけたのだが、
終盤からの展開は、その僕がダレかけたあたりの伏線も回収していくので、
終わってみれば、基本的に「あそこらへんはバッサリ切っていい」というものもない、と個人的には思った。
とにかく伏線回収は見事だった。
先ほども書いたように、梨花の一見自分勝手と思える生き方によって、みぃたんは人生を振り回されるのだが、
終わってみて気づいたのは、結果的に登場人物全員「悪い人、ダメな人がいない」のだ。
人間みんな誰しも失敗はあるし、長所もあるけど短所もある「未熟な存在」なのである。
「あなたのためを思って」やった事、言った事が、その「あなた」には真意が伝わっていない、という事が人生には往々にしてあるだろう。
この映画を見た人の中には、梨花のような女性、というか、梨花の行動を全く受け入れる事ができない人もいるかもしれない。
たしかに、作り物の話だからこそ生み出す事のできる荒唐無稽なキャラクターであるとは思う。
クライマックスへの展開を見て、
「都合よくできすぎ。親がコロコロ変わったり、片親で育てられた子供みんなが、こんな理解ある子供じゃない」という批判もあるかもしれない。
そういう意見もわかる。
わかるけど、やっぱりまあ何というか、
「過去は大変だったけど、最終的にポジティブに捉えたほうが、やっぱり幸せじゃない?」という、この作品が放つメッセージに、僕は同意した。
同意できない人の気持ちもわかるが、僕は同意した。
自分がみぃたんの立場になったら、これを受け入れる事ができるかどうかわからないが、どうなんだろう?
石原さとみ演じる梨花は、僕の目には「魅力のあるお母さん」だ(美人やし・・・というのは冗談)。
と言っても、やはり梨花は無茶苦茶なのだが(笑)。
劇中、心に響くというか、刺さる台詞もいくつか出てくる。
結論。
人生、やはり「笑顔」が大切だ。
エンドロールが流れた時、僕は心の中で拍手しながらそう思っていた。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。